梅雨時期には珍しい雲ひとつない青空を
電車に揺られながらただ眺めている。
僕の住んでいる場所から中部国際空港までは
電車を数回乗り換える必要があり、
時間にして約一時間程度。
普段なら手持ち無沙汰になってしまう
時間ではあるけど、
今日はそんな気にはならず、
逆に気持ちは昂ぶっていた。
3回目の乗り換えを終え、
伊勢湾に架かる橋を電車が渡り終えると、
場内アナウンスが目的地が近いことを告げる。
その数分後、電車は中部国際空港に到着した。
改札を抜け、空港内でスカイマーク社の
受付を探す。
平日ということもあり、
広々とした空港内に人はまばらで
どこか寂しさを感じる。
空港内の地図を確認すると右奥に受付があり、
そこまで行くと後はスタッフに言われるがままに
受付を済ませ、小さな黒のキャリーバッグを
スタッフに預けた。
飛行機が飛び立つまでは
まだ若干の時間があるので、
３階にあるカフェでアイスコーヒーと
サンドウィッチを
食べながら司馬遼太郎の著書「沖縄・先島への道」を開き、
これから行こうとする沖縄に思いを馳せる。
今回、沖縄に行くことになったきっかけは
ほんの些細なことから始まった。
約一ヶ月前、
携帯アプリ「ＬＩＮＥ」の
タイムラインを何気なく回覧すると、
何年も連絡をしていないアパレル時代の
友達がプロフィール写真を変更していた。
懐かしさから連絡をしてみると、
現在、友達は故郷である沖縄に帰って
仕事をしているとのことだった。
そんな近況報告をした最後に
何気なく「今度行くよ。」と、
軽い挨拶程度にＬＩＮＥを送ると、
「そう言ってるやつが来たためしがない。」と
返信があり、そこから僕もムキになって、
何だかんだで本当に行くことになり、
今日に至る。
行くからには何か目的がほしくなるもので。
沖縄の歴史を知ることと、
離島の行くことをこの旅の
目的として付け加えることにした。
離島は未知の場所に行きたいという
中学生的発想からきた理由で、
どこに行くかすら現時点では決めていない。
サンドウィッチを食べ終え、
アイスコーヒーを飲み干すと
身体の冷えを感じたので、
途中の本を閉じて外の展望デッキに向かった。
デッキに出ると、
各航空会社のロゴが入った大小の飛行機が
青空の下にずらりと並んでいる。
日差しは強く、数分もすると
じんわりと汗がにじみ出てくる。
そのまま少しの間、
何も考えずに日陰のベンチに座っていて、
気がついた時には離陸３０分前。
急いで搭乗ゲートに向かい、
荷物チェックやチケットチェックを済ませて
いざ、搭乗。
座席に着くと、
楽しみからか高所恐怖症からか、
胸の鼓動が速かったのだけれど、
そんなことはお構いなしに僕を乗せた
飛行機はエンジン音を徐々に上げながら
中部国際空港を飛び立った。
つづく
