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めめんともり

わたしたちが ふたたび
生きるためのものは

と おそらくは 死
だけだ

詩「毒虫飼育」を読んで。

2008-08-21 22:47:17 | 読書全般
「毒虫飼育」は黒田喜夫が書いた詩である。
この文章は、ゼミの選抜課題に出したもの。
字数制限は1200字くらいだったはず。
今読み返すと稚拙すぎて恥ずかしいのだが、自戒も込めて適当に。
読書感想文に悩んでいても、うつして出さないでください、本当にorz
著作権は放棄してません。恥ずかしくて出来ません。

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 虫の声、と言われて、最初に思い浮かんだのは、「革命ってなんだえ」の一言であった。いつ読んだのかは忘れたが、これは、黒田喜夫の詩、「毒虫飼育」の一節だ。懐かしく思い、改めてこの詩を読んでみたのだが、そこで私は自分が勘違いしているのではないか、と思った。これはもしかして虫の声ではなく、母の声なのではないか、と。
 この詩で登場するのは、僕と母と虫である。いきなり母がアパートで蚕を飼い始めるというので、僕は悩むが、結局、それを捨てようと決意する。しかし、孵化したのは蚕ではなく、猛毒を持つジヒギトリという虫であった。僕は覚悟を決めて、「おかあさん革命は遠く去りました」「この虫は蚕じゃない」と告げるのであるが、虫は母にまとわりついている。そして虫を否定した僕は、逆に「革命ってなんだえ/またおまえの夢が戻ってきたのかえ」と言われてしまうのである。「それから足指に数匹の虫がとりつくのを感じたが」虫のために、僕が「けいれんする両手で青菜をちぎり始めた」ところで詩は終わる。 面白いのは、虫に対する母と僕の認識の奇妙なズレで、母にとって虫は生活を支える命の糧でしかないのだが、僕にとってそれは、果たせなかった革命の象徴だということである(だからこそ、僕は虫を否定するときに「革命は遠く去った」といったのだ)。
 そう考えると、「革命ってなんだえ」の発言を、虫の声とするのは間違いである。なぜなら、「革命」と虫はイコールだからだ。一般的に、自分のことを「なんだえ」と相手に問うことはない。また、僕が話しかけた相手は「おかあさん」であり、返事をするのは普通、話しかけられた人なのだから、やはり虫の声と考えるのはおかしい。
 しかし、「革命ってなんだえ」を虫の声だというのは、本当に私の勘違いに過ぎないのであろうか。このセリフの直前は「だが嬉しげに笑う鬢のあたりに虫が這っている/肩にまつわって蠢いている/そのまま迫ってきて」となっている。これを素直に受け取れば、這っているのも蠢いているのも虫なのだから、迫ってくるのも虫に間違いないだろう。そうすると、迫ってきて話したのは、母ではなく虫だ、ということになる。
 結局、このセリフは、虫の声なのか、母の声なのか。今の私には結論を出せそうにない。ただ、セミやコロオギなどの一般的な虫の声を差し置いて、真っ先にこれを思いついたということから、私が「革命ってなんだえ」という言葉に、虫の声として強烈な印象と拘りを持っているのは間違いない。ならば、これが虫の声である、という昔の私の受け取り方は、私の中でのひとつの真実なのだろう。

『万葉集の歌を推理する』

2008-04-19 03:12:51 | 読書全般
『万葉集の歌を推理する』(文藝春秋、間宮厚司、2003)

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主に、万葉集にある歌の解釈・訓じ方を扱っている、考察集。

万葉集は8世紀末(奈良時代末)につくられたが、全て漢字(漢文ではない)で表記されている。
(これは当時、ひらがなもカタカナもなかったため)
したがって、現在ではよめなくなってしまった歌も多いのだが、
当然、よめなければ何が書いてあるのかもわからない。
それを解明する過程が、詳しく書かれている。

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文章が独特というか、何というか。
はっきりいって、古典が好きじゃない、苦手、という人にはキツいと思う。
助動詞だとか助詞の問題が絡んでくるので。
もちろん、説明はありますけど、その所為でテンポが悪くなっている感じ。
(だからといって、省いたら理解できねーって人が爆発的に増えるだろうけど)
わざとわかりにくく書いてある、ということではなくて、題材があれだから読みにくいだけ。
勉強不足なんでわかりませんけど、むしろ読みやすい部類の本なんじゃないでしょうか。
何処か理屈っぽさというか、そういうのはあるけど、うーん。
仕方ないんだろうなぁ。考察集だから。

古典の研究ってどんなことするのかなー、という人なんかに良いかも。
好きな人には凄く面白い本だと思う。好きじゃなくても、理解さえできれば面白い。

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どんなことをしているか、はわかったけれど、
それが何に結びつくのか、が未だにわからない自分。

極端な話、万葉集の歌が読める・読めない、ってどうでもいいことじゃないですか?
実際、古文の勉強をしていて「なんでこんなことをしないといけないんだ」と思っていた人も多いでしょう。
やりたいやつだけやってろよ、みたいな。

人間が言葉に支配されている(考えている)以上、言葉について知ることは重要で。
だから、言葉で作られているものについても知るべきなのだ。
……というのはあるかもしれません。適当ですけど。
昔の表現方法を学ぶことで、自分の表現能力を鍛えることができる、とか?
読みたいと思った人が、すんなり読めるような手助けをするために、研究は行われるのだろうか。

難しい。
文学って何なんでしょう。

『大人のための読書法』

2008-04-19 02:29:48 | 読書全般
『大人のための読書法』(川角oneテーマ21、和田秀樹、2005年)

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受験における勉強法の本で有名な和田秀樹が、読書法を書いてたから買ってみた。
ブックオフで350円。

内容自体は普通、もしくは当たり前。タイトルが怪しいだけ。
和田秀樹氏が進める読書法は、一言で言えば「必要なとこだけ読め」だった。
そのためにはどうすればいいか、といったことが細かく書かれている。
(本の入手から、目次・索引の利用など)
要するに、知識(情報)をつけたい人のために、効率的に知識を得る方法を書いたもの。

したがって、速読法的なことを知りたい人は、読むだけ時間の無駄。
ただ、レポートを書くとか、大量の情報が必要になるときは、
必然的にこのような読み方をすることになるわけだから、そのためには役に立つかも。

構造が少しだけ特殊。
何処から読んでも大丈夫だし、とにかくテーマが細かい。
そのため、目次から自分が知りたい情報を探しやすくなっている。

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効率的に情報を得るためには、とかのほうが、タイトルとしては適切な気が。
比較読みだとか一部熟読なんかは、無意識のうちにみんながやっていることだけれど、
改めて意識しながら読んでみるのも悪くない、と思う。

本が好きで仕方ない人は、たぶんこんな本は読まないでしょう。
実際、自分は本を読むのが好きってわけじゃないしね。
知識を増やしたい、語彙を増やしたい、だけ。
役に立つかはともかく、ないよりはあったほうがいいだろう、と。

まあ、目的意識の薄い行動なんて長続きしないんですがね(
そういうのも改善できるかもしれないなぁ、と読んで思いました。

『人はどうして死にたがるのか』

2008-01-14 05:42:05 | 読書全般
『人はどうして死にたがるのか』(文芸社、下園壮太、2003年)

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専門用語を使っていないのでわかりやすい。
著者は心理療法カウンセラーらしい。
自殺を予防するために書かれた本で、自殺願望を持っている人や、そのような人が周りにいる人が対象。
逆に、自殺で愛する人を失ったばかりの人は、傷つく可能性があるので読まないほうがいい。
心理学はさっぱりなので内容が正しいかどうかは知らない。

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記録をつける前にも、この類の本を読んだ。
たぶん、こういう「タイトル」の本が好きなんだと思う。
中2病だから。もう大学生なのにね。
てかごめん、もう内容忘れた(
今度、修正するかもしれん。

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人は自殺しようとするとき、殆どは「うつ状態」になっている。
「うつ状態」は、「感情のプラグラムが誤作動する」ことによって生じるらしい。
感情のプログラムは、原子人の頃の名残であり、生命の非常事態を対処するためのプログラムだと言え、主に「驚き、悲しみ、怒り、不安」の4つがある。
これら全てが(必要でないにも関わらず)動き出し、ごちゃごちゃしている状態。
それが「うつ」らしい。だから苦しい理由はわからないし、理由がわからないから対処方法もわからない。

『エッセイ上達法』

2007-11-25 00:50:56 | 読書全般
『エッセイ上達法』(フローラル出版、武田輝、2001年)

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ゼミ選抜の課題のため、エッセイを書く参考になるかと思い、大学の図書館で借りた。
書き上げた後だったので、あまり意味はなかったが。

内容は、エッセイとは何なのか、文章の書き方、エッセイを書くポイント、エッセイの懸賞への応募など。
具体例も豊富で、読みやすくわかりやすい。

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エッセイの組み立て、書き方、定義について。
エッセイは、
・トピック(話題、きっかけ)文
・説明(トピック詳細)文
→背景となる知識、因果関係、具体例、専門家の意見
・まとめ文
の3つから構成されている。
書き出しの一行(トピック文)が決まれば、あとはすらすら進む。
トピック文は、新聞の見出しを意識すると発想が楽。
エッセイは読み手を意識して書かなければならない。
つまり、構造を意識し、読みやすく書かなければならない。
(逆にいうと、難解な語彙や非一般的な語句の使用や、似非哲学的な言い回しは避けるべきである)


エッセイを書くにあたって、気をつける点7つについて。
・句読点がない、あっても少ないか位置がおかしい
→最初は多めに用いて、推敲の段階で少なくしていく
・センテンスが長く、文意が不明になる
→とにかく短文で。的確な言葉を選択すること
・段落内の要旨が不明確
→ポイントを要約して、冒頭に置く
・同じ言葉・表現の繰り返し
→同じ言葉を別の言葉(代名詞など)に置き換える。きちんと推敲すること
・無意味な接続詞や指示詞をカットする
→時間の経過や行動を書くことで、接続詞を極力省く
・漢字の多用、ひらがなの多様は読み辛い
・格好をつけた表現や、もって回った表現を避ける


組み立てのコツ5つについて。
・起承転結ではなく、三段階の組み立てで書く(上記参照)
・書き出しのセンテンスは一行がベスト
→トピック文は読者に読む気を持たせるためにも、できるだけ短く、きっかけだけを端的に書く
・説明文は段落の結論を先に書く
→トピック文、説明文と書けば良い。まとめ文はいらない
・まとめ文をきちんとする
→終わりよければ全てよし。余韻を残す工夫を
・書いた後、数日寝かせて発酵させる
→独りよがりな文章になっていないか、時間をかけて調べること


その他のこと色々。
・語彙力を増やす
→読書をする、類語辞典を使う、など
・表現に多様性を
→年代やキャラクターを変えて書いてみる、辞典など資料を使う
・歯切れを良くし、リズム感を出す
→常に映像を意識して書いてみる。シンプル・イズ・ベスト。カッコ内は簡潔に
・セリフをサビ的に使ってみる
・直喩と隠喩を使い分ける
・真似(他人の作品を実際に手でうつして書いてみる)をして練習する