カール・ハインリヒ・シュトラッツ
Carl Heinrich Stratz 1858年6月14日オデッサ(Odessa)に生まれ、1924年4月21日ハーグ(Haag)にて没す。
カール·ハインリヒシュトラッツは、医療と人類学の課題に関して、いくつかの著名な科学の本を出版しているドイツの婦人科医。彼の最も有名な著作で、女性の美しさの評価と、美育推進のための基準を提言している。子どもと思春期の健康分野で、彼は健やかな体の形態に、多大な貢献をなした。
この「C.H.Stratz氏」はカール・ハインリヒ・シュトラッツであり、その「著書」とは主として『女体の美』と『生活と芸術にあらわれた日本人のからだ』である。後者は東京帝国大学講師として日本滞留中の観察と資料収集に基づくとされる。私が参照しているのは西田書店版『シュトラッツ選集』(全七冊)所収のものだが、これは今でも古本屋でよく刀江書院版を見かけることができる。
シュトラッツは一八五八年に南ロシアのオデッサに生まれ、八三年にハイデルベルグ大学で医学博士を取得し、同大学などの付属病院で助手として働き、八七年にオランダ軍衛生士官としてインドネシアのジャワに赴任し、九二年まで病院長を務めた。その後アメリカ、中国、日本に滞在し、九六年からはオランダのハーグに婦人科医として定住するかたわらで、女性美の研究と著述活動を始め、多くの著書を刊行し、一九二四年に亡くなっている。
「人体学的人類学」を唱え、ジャワや日本に関する著作を残したシュトラッツは、『鯰絵』(小松和彦他訳、せりか書房)のC・アウエハントや『古代中国の性生活』(松平いを子訳、同前)のR.H.フーリックといったオランダ生まれの日本、中国、東南アジア研究者たちの先達であり、おそらくオランダ構造人類学の先駆者だったと思われる。インドネシアについての研究はヨセリン=デ=ヨング他『オランダ構造人類学』(宮崎恒二他編訳、同前)を参照されたい。
http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20111116/1321369234