厚生労働審議会の結果を否定
民間の医薬品監視機関である「薬害オンブズパースン会議」は1月22日、1月20日に厚生労働省審議会において発表された「子宮頸がんワクチン接種後の広範な疼痛また運動障害は、ワクチンの成分が原因ではない」という結果報告について、否定的な意見を示した。
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結論付けの手法を疑問視
厚労省審議会では、この子宮頸がんワクチン接種後の疼痛や運動障害は、針を刺した疼痛の刺激や不安からくる心身の反応であり、ワクチンの成分が原因ではないと発表した。
同審議会の結論は、1・神経学的疾患、2・中毒、3・免疫反応、4・心身の反応という項目を検討し、この1~3を否定して導いたものであるという。
薬害オンブズパースン会議は、この結果は例えば、「神経疾患による不随意運動は一般に意識的に止められないはずである、しかし採血時には不随意運動が収まるという症例がある」として、そのような症例が全体の何割であるかを示さないまま、1・神経学的疾患である可能性を否定する根拠としているとして、と厚労省の見解を否定している。
また、これまでにない副反応症例が同じ原因で生じているとする根拠はなく、説明できない症例が一部に存在するというだけで、その他の多くの症例まで神経学的疾患ではないとの見解を受け入れることはできないとしている。
新薬に対する姿勢についても問題
子宮頸がんワクチンのような新薬では、これまでではなかったような新しい副反応が発生する可能性がある。しかし、これまでの「通常の医学的見地」だけを根拠として結果をもとめる今回の審議会には、多くの問題があり、はじめから結論ありきの審議であって、真摯に副反応症例の原因を究明したとは言えない、としている。
副反応被害に苦しむ少女たち
厚労省研究班により治療体制が組まれた後も、少女たち被害者が治癒せず副反応に苦しんでいるとされる。薬害オンブズパースン会議は、今回のように十分な科学的検討を行わずに結論を急ぐという厚労省審議会の姿勢は、苦しむ少女たちに対して不誠実であり、原因がきちんと解明されないまま接種の勧奨を再開すれば、さらに多くの少女たちを苦しめることになると危惧している。(たなか牡丹)
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