当時のインドの携帯は、ガラ系でプリペイドのシムカードを買って使うというものでした。どこの国も同じでしょうが?地域によって電波が強い弱いによって使う電話会社を変えるのですが、その会社のシムカードを買える小さな代理店で買う事になります。チェンナイはボーダホンの電波が強いので、当然ボーダホンの代理店でシムカードを買い電話をするのですが、良く繋がらない、すぐにシムカードが減るので困り果てて、代理店に行ったらお休みだったのです。何故か調べてみる必要もあると思い、少し離れたボーダーホンの支社に行く事にしました。
一通り調べて頂いた結果、使い古しを売られた詐欺行為である事が判明したのです。そこで翌日シムカードを買った小さな代理店を訪ね、再度調べて頂き支社に行った事を告げると、奥から店長が出て来て呶鳴り声を上げだしたのです。なぜお前は、ここに来ずに支社に行ったのだと凄い剣幕で怒るのです。事情を知っている女性の店員は頭を下げたままです。
私もひるまなかったので、店長は頭に来て友人の警察官に連絡しパトカーが来てパトカーに乗せられ警察署に連行されました。悪くない私が何故警察署に連れて行かれるのか?合点がいかないが、警察署に連れて行かれたら地獄です。取り調べ室で13~4人の警察官に取り囲まれ尋問が始まるのです。こちらの言い分は全く聞かず、犯罪者扱いの取り調べです。
お前が悪い、お前が悪いの連続です。もう少し、私の言い分も聞いて下さいよと訴えるが、お前の英語は分からない。なぜ、インドに来るのに英語も話せないのだ。と言いがかりや警棒を叩く人もおり、恐怖の連続の中、一人のややまともな警察官がボーダホンの支社に確認の電話を入れて頂けたのです。その回答は代理店の詐欺の疑いがある返答のようでした。
その後気まずくなったのか、その警察官に日本大使館に電話を入れて頂き、一部始終を話すと大使館員が警察署に来ることになり、大勢の警察官を排除して頂くことにして頂きました。4人の警察官と話しているとやっと空気は和み、私の話を聞いて頂ける雰囲気になったので、私はインドに対して訴えました。インドは日本人の観光客に迷惑しているのですか?私たちは英語の出来ない日本人は来てはいけないのですか?英語の出来ない日本人には意見は聞かないのですか?はっきりして下さい。
警察と代理店は癒着しているのですか?大使館の人がいるので、やっと自分の意見をいう事が出来、事情を察知した警察官と一緒に代理店に行く事になりました。先ずはお金を返せという事になったら、その代理店の店長は、投げつけるようにお金を机に叩きつけました。そして、誤ってお礼を言えというのです。そのお金は、私のでしょう。何を言っているのかと言い返しました。それを見ていた警察官の一人が被害届を出しますかと、優しく問いかけてくれたのです。
その一言で店長は顔面蒼白です。もし被害届がだされたら、代理店の権利がはく奪されることになるからです。そこは、丸く収め警察署に戻り、こちらは3~4時間拘束されたのと、今後の予防のために、警察は謝るべきだと主張したら、一時して署長が下りて来て申し訳なかったと謝ったので被害届も出すことなく署を出たのです。最初からインドの洗礼を受けらされたのです。
インドの公務員の給料は安く、ワイロが普通ですから、なるべく最大の努力をして警察署に連れて行かれる前にワイロで済むなら、ワイロで済ました方が得策です。警察のさ匙加減で何日でも拘留出来るし、無罪を有罪にすることも簡単に出来るそうです。半分は悪徳警察官と思っても間違いないでしょう。人格が備わってない方が権力を持つと本人も周りも大変です。
霊性修行も同じでしょうが?魂が育ってない時に、強力なエネルギーが入るとおかしくなる人がいます。インドにいると半分くらいのおかしい人を見かけます。インドに来ただけで、自分は魂が高いのだと錯覚する人を見かけます。本を読みインドを旅して悟ったという人もおり、インドの全てや聖者の全てを知ったかの様に吹聴する人もいます。氷山の上だけを見て氷の全てを見たと錯覚する人もいます。
私は、錯覚のマーヤの世界を脱出するためのきつい洗礼 をチェンナイで勉強させて頂きました。結局、尋ねた聖者は大したことはなく、がっかりのチェンナイでした。幸か不幸かスリ、カレシュワーラに最初に出会うと大変だという事が身に染みる旅になるとは、この時は想像も出来ないのでした。

仙人に写真をお借りしました。プリペイドの携帯が出る前は、写真のように各地区にある電話屋さんに行って電話するのが普通でした。