Rising斬 the侍銃士

音楽のこと、時代小説、映画を中心にしていくと思います。タイトルは自分のHNの由来になったゲームから

短編小説「暗殺の年輪」

2010-08-13 01:33:46 | 本と雑誌

だいぶ前に読んだ藤沢周平の短篇集「暗殺の年輪」の感想も書こうと思って書いてなかった。
ここ何年か映画化が多い作家の時代物の短篇集です。実は駅のトイレにてタダでいただいたというシロモノ。


表題作は、実は父親が暗殺者であり、主人公もそれを継いで暗殺者の道を行くという物。
それと最初にあったヒロインの好きだった人が殺人の疑いをかけられる話はサスペンスでもあり二転三転していてとても面白かった。


昔はよく「今の日本には侍がいない」とか「こんな時代よりも戦国時代に生きてみたかった」とかいう人がいたものでしたけど、そういう人は一度ちゃんと歴史小説とか読んでみろと思いますかね。
小説だからフィクションだし、盛り上げるための演出でもあるのは前提だけども、この小説の主人公を苦しめる連中の裏切りのエグさっぷりとか見ていると、むしろ今の方が生きるには楽なんじゃないかと。
今の時代がどうこう言う人はけっきょく他の時代でも主人公の邪魔でもするしかないんじゃないかな。
侍的な生き方は今の時代の方が希少価値がある分受け入れられそうだし、当時の時代は正直な人がとにかく陥れられて、実は結構それで信念を曲げた り、曲げずに生きることができなくなったりした人が多い中で、信念を貫いて、しかも成功することまでできたごく一部の人がこうして歴史に残れているのかな と思った。
どうやったらそのように信念をうまくいく形で貫けるのかが気になる。そういう人たちも歴史を学んだのか、親に学んだのか、宗教とかでそう教えていたりしたのかな?


この小説で一番気に入っているのは「ただ一撃」という話。
すごく強い浪人者を倒すために藩主が選んだのはヨボヨボのおじいさん。おじいさんは藩主への恩返しにその勝負に挑むため修業を開始。
勝ったかどうかということよりも、おじいさんを応援してくれる嫁さんとおじいさんとの関係がヒジョーに面白かったです。
やはり80になっても90になっても男ならば戦いの中で生きていたいものですね。


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