Rising斬 the侍銃士

音楽のこと、時代小説、映画を中心にしていくと思います。タイトルは自分のHNの由来になったゲームから

畠山重忠

2005-11-30 18:47:59 | アニメ・コミック・ゲーム
おふくろ曰く、母方の祖母の家系は「鎌倉武士の鏡」と言われた畠山重忠(はたけやましげただ)の血筋らしい。
畠山重忠は平安末期に登場した武士。平家だったが源氏に味方し、源頼朝に気に入られて源氏の先陣を任されることになり、源義経の側近としても有名。
今年は没後800年に当たる。

なにげに今住んでいる所は平将門に由来する地名らしいし、800年を経て将門の地に源氏の血筋がやってきたのも何かの縁かもしれない。

自分の先祖が畠山重忠であることを友人に話したら「すげえじゃん」とやたら詳しかったのが情けなかったし、最近ちょっと話題にもなり、ようやく興味が湧いて来たので幾つか本を読んでみた。


まずは研究書的な「 畠山重忠 」(貫 達人/人物叢書)。

重忠、有名な「一の谷の合戦」で義経達が平家軍背後の崖を馬で駆け降り奇襲した有名な「ひよどり越えの逆落とし」ではかわいそうだからと馬を担いで降りていったと言われるが、実際は別行動だったらしい。(ちなみに18歳未満の人は「ひよどり越え」をネットで検索しちゃダメだよ。「義経」とか「一の谷の合戦」とかをつけて検索しよう)
連戦連勝の力士を投げ飛ばしたとか、三メートルの岩を持ち上げたとか、子孫ながら俺には絶対無理、兄貴ならがんばりゃいつかできるかもしれないエピソードが多いが、この辺も後から生まれた逸話。当時の世間的には力持ちのイメージを持たせたかったらしく、嘘の逸話が出るのもそれだけ人気があった証拠だ。

事実を挙げると、後に「名を揚るか名をくだすかなり」と言われた宇治川の合戦において、身も凍るような雪解け水にたじろぐ坂東武者たちの中で先陣を切り、馬が倒れたため川を歩き、更に同じく馬を失った仲間を担いで渡りきり、見事この合戦で名を揚げた。
また、都の文化にも精通し、和歌は詠めるし歌も歌える。山の向こうで馬がいなないたときに「将軍の馬だ」とズバリ当てた逸話が生まれたほど耳が良い。
そして、義経逃亡後、頼朝の前で静御前が舞った時も重忠が鼓を打ったらしい。
へえ~、そっかそっかあ。石原さとみのバックは俺の先祖だったのかあ(大河ドラマ見てないけど)。野川さくらが静御前なら俺は彼女をプロデュースしている影山ヒロノブに当たるわけかあ。かっこいいなあ。
うちら兄弟がバンド活動に燃えたのも血筋か、と言いたいところだが肝心のおふくろはカラオケやる程度だ。まあ、俺らが音楽好きなのはご先祖様には嬉しいのかな。でも都の文化と言うより戦(いくさ)の文化に浸っているのは納得していただけるのだろうか。

そういったエピソードもあるが圧巻なのは後半。
頼朝の天下統一後、重忠は謀反の疑いを何度もかけられるが、正々堂々対応して更に信頼を勝ち取るのは良かった。

北条の世になり、忠義人としても有力者としても当時では問題になるからか結局処刑されてしまう。
その際「我が心正しければ、この矢に枝葉を生じ繁茂せよ」と地面に刺した矢が根づき、茂り続けたらしい。多分後の人がそこになんか植えただけかもしれない。でもその人は、重忠の心が正しかったことを証明したかったのだろう。

当時は封建時代で、お上にうまく取り入って生き残っていた時代。我らがご先祖様は世渡りの下手な負け組だったけど、死んでまで立派な人間を貫き通した所は、俺も好きだし、後世の大勢が誉めているよ。
すごく偉い人だったら変に恐縮したかもしれないけど、好感もてるし、がんばりゃなれそうな気もするし、こういう人が先祖でよかったと思う。


で、他に畠山重忠が出ている本というと、だいぶ前に読んだ
火の鳥 -乱世編- 」(手塚治虫/KADOKAWA絶品コミック)がある。
もちろんかの有名な手塚先生による壮大なシリーズの一つで初の上下巻物。
手塚治虫の抜群な想像力というか創造力から生まれるすごい話の中で、ある意味一番の異色作。

恋人をさらわれた主人公・弁太が牛若(この名前と一緒にいる弁~といえば?)に味方する形で恋人を探す。
平清盛が求めていた物や、頼朝が義経を裏切った理由に火の鳥が関わる意外はほとんど手塚流源平合戦。
「奢れる者は久しからず」は確かに手塚先生が書くのにもってこいの題材な気はするが、偉大なる「火の鳥」シリーズではワースト3に入るかな?他を読んで、感動して、どうしても全部読みたい人だけ読んだほうが良い。
「火の鳥」は全作品が必ずどれかと繋がっていて、この「乱世編」にはある人気作の主人公のその後が書かれているのが一番の取り柄だ。

気になる畠山重忠は下巻で義経に名前を呼ばれる1コマのみ。セリフもなし。
わざわざ1コマだけでも出演させてくれたことと、色男にしてもらえたことを感謝することにしよう。


畠山重忠というと、曽我兄弟の仇討ちを助けたというのもあるので「 雷鳴の中で―小説・曽我兄弟 」(竹田真砂子/講談社)も読んでみた。
菊鶴長者が手塩に賭けて育てた娘、虎姫。
彼女が恋した侍、曽我十郎は弟の五郎と共に父を殺し自分が継ぐべき領地を奪った宿敵・工藤祐経を討つべく18年の間苦渋に耐えていた。
あまり健康そうでない兄とやたら逞しい弟の兄弟はうちらと逆のような、でも俺らの祖先ではないのだからどうでもいい。

ちょっぴり天然不思議少女の虎姫と十郎の純愛がきっかけで、菊鶴長者を始め鎌倉幕府の要人たちがそれぞれの思惑を兼ねて曽我兄弟を助け、仇討ちをバックアップしていく。その力強さは涙ぐましいほど。
が、結局は、大人達の勝手な都合に兄弟たちが利用された形。一生懸命応援するのもそれだけ自分の欲望が大きくからんでいるから。
目的のためなら汚いことでも利用したほうが良い、とは言いたいものの、それを言うには兄弟たちが綺麗過ぎて悲しかった。

で、ここでの畠山重忠。
名前はよく出る。早くから味方になっている。仇討ちに関しても彼のコネが使われた。
でも、セリフが全然ない。その場にいたかどうかもわからない。
だけど最後の最後にようやく少しだけセリフがあり、その出番が、

よくやった!おまえホントによくやったぞ!

武士ってひでえなと思っていた所で、こんな良い武士だっているんだぞって訴えることに使ってもらえて、満足だ。
いやあ、俺も、もしか将来同じ状況になったら、あんたとおんなじ事するよ。


鎌倉幕府は、畠山重忠を始め優れた人々を大事にしなかったことが原因で滅びたのだろう。てなことを考えさせられた。
さて、次は違う曽我兄弟物語でも読むか、「 平家物語 」か、でもこれ長いしなあ…
源義経や頼朝の話で重忠が活躍するようなの見つけたいな


2 コメント

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うむ! (werewolf)
2005-12-02 07:09:34
うむ!
やっぱ男は義経だよな。
(まあ、真の男は平将門と言って貰いたいものではあるが…)
ってぇか、判官贔屓って日本的で凄い好きだし。

因みに父方の先祖も源氏だったらしいぞ?
何や怪しい話たぁ思うけれどもね?

ってぇか、確かに我ら兄弟で逞しそうなのは俺兄貴の方だが、実際にゃ弟のが健康ってのが妙に笑えもしつつだぁな。
(いやいや笑えないって話もあんだけど…)

因みに俺、最近自分が平将門の生まれ変わりではないかと確信するに至り…
(以下、電波トークは自粛…)
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へえ、父方も源氏 (斬theザーン)
2005-12-03 19:00:26
へえ、父方も源氏
怪しくてもそっちのほうが面白いから信じようかな

健康といえば、ブログ見ると最近大変だったみたいね
俺のほうも最近熱出したし、意外なところで繋がってるなあ

助けてくれる人もいないみたいだし、気をつけてよ
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