Rising斬 the侍銃士

音楽のこと、時代小説、映画を中心にしていくと思います。タイトルは自分のHNの由来になったゲームから

SW3 シスの復讐

2005-08-30 01:29:51 | 映画
先日やっとこの夏2番目の名作「STAR WARS EPISODE Ⅲ REVENGE OF THE SITH(スターウォーズ エピソード3 シスの復讐)」を見てきた。

実は俺、昔は好きな映画といえば「スターウォーズ」の旧3部作だったのだ。だけどエピソード1~2は非常に歯痒く旧3部作への評価まで下げてしまった。
そういう我慢に継ぐ我慢をエピソード3で解消できると思ったが、結局さらに我慢する結果になった。
「映像のすごさ」だけであらゆる物をねじ伏せる力はあるが、それ以外に取り柄がなさ過ぎだ。壮大なシリーズの最終作として、ハッピーエンドにできないとはいえ全く感動がないと物足りない。せめて悲しみぐらい感じさせて欲しかった。
「逆境ナイン」のようにスカっと共感できる物がないから、どうしても2番手以降に甘んじさせざるを得ない。「スッキリしたけりゃエピソード4~6を観ろ」てことだろう。逆にエピソード1~3は「人間の弱さ」を強調していて、その弱さが自分にもあることを気付かされるから批判したくなるのかもしれない。でもそれと向かい合えるからこそ見る価値がある映画とはいえる。
まあ、アクションの連続で2時間半もあっという間だったし、時間を短く感じたいときには最適の映画だ。
R2-D2がやたら強かったのもナイス。

長所でもないけど、最後はアナキン・スカイウォーカーがダースヴェイダーになるってネタバレ大々的に言っても攻められないのはこの映画だけだろう。エピソード5「帝国の逆襲」でルークとダースヴェイダーの関係を劇場公開されるまでごく数人を除いてスタッフにすら秘密にしていたらしいのとはえらい違いだ。

そういえば、ネタバレずバレをすると、全ての謎が明かされるって宣伝文句にも関わらず、アナキンの出生の秘密は結局謎のままだったな。俺はアナキンの父親がダースシディウスで、秘密を知ってダーク・フォースに堕ちると予想していたんだが、アナキンが堕ちるのは別の理由。これは知っておいた方が俺みたいにがっかりせずにすむと思う。それにしても、それ以外の理由だとたいしたことないようにしか思えない。
アナキンも、人の話に乗せられてないで、ジェダイの真実について調べるなりシスの歴史文書でも探すなりできなかったのかね。自分だけじゃなく多くの人達にとっての一大事なのに。
アナキンに不安を感じていながら手を打たなかったジェダイマスターにも責任あるけど、失敗したら一番馬鹿見るのは自分なんだから、もっと頑張らないと。
こういう安易に流される堕落した精神につけこまれたんだよ。

ただアナキンよりも、Y田(仮名)が、今回の問題に関して、実はカギを握っていたことがラストでわかる。
アナキンを止めるチャンスだってあったのに、なんでこの人黙ってんだろう。
ジェダイの掟にしたがったってのもあるけど、でもジェダイの掟って多くのジェダイを犠牲にしても守るべきものなのか?それこそ「正義に従う」とかいう掟に反してないか?て気がする。
アーノルド・トインビーって歴史学者は組織が長続きすると支配者は「組織の存続」と「目先だけの小さな目的」が関心事で「より広範な影響とか、最終的な結果とかは考慮されない」とか言っていたが、まさに小さな目的だけしか関心が無い支配者に成り下がったのがY田なんじゃないだろうか。

今まで「スターウォーズ」ではヨーダが一番好きだったんだけどなあ。

ツッコミ所はそういう深い所以外にもあり、たとえば、宇宙船で窓開いてもあんなに大丈夫なもんだろうかとか、宇宙船が傾いたって無重力だから落ちていったりしないだろうとか、そもそも無重力なら宇宙船内で走るのが無理だ。
このシリーズは昔からそうだったから、いまさら直しようもないだろうが。
エピソード6(ジェダイの復讐)で、皇帝を穴に落としてたのも、宇宙だとダメージあるのか心配になってきた。
それにさー、ヤバイところのアクションもあるけど、フォースで空ぐらい飛べないのかね?
個人的にも、ライトセイバーも大好きだがもっとフォースを使って奇想天外なアクションをして欲しかったし、フォースで空を飛ぶ設定が加われば、ラストの対決もかなり変わったはずだが。
ルークはC3POを空中に浮かせたから自分のことを浮かべることだってできるはずだ。「ジョジョの奇妙な冒険」の東方仗助のスタンド、クレイジー・ダイヤモンドみたいに自分自身には能力が通じない設定でもあるのか?
若手陣はライトセイバーを動かす程度だけど、ヨーダやダースシディウスはね。ヨーダは飛行機動かしたこともあるんだし。落ちて痛がる前になんかできないのかよ。
考えるとますます「ジェダイの復讐」でホントに空飛べるかも知れない皇帝が突き落とされた程度で死ぬのか疑わしい。
俺は武術に関しては素人だけど、オビワンのクルクル回る戦い方も、あんなに背中ばかり見せてる奴が強いとは思えない。「天外魔境 第四の黙示録」において、魔物ハンター・レッドベアの教え「ハンターの鉄則その1 敵に後ろを見せるな!」に反している。弱すぎる相手を挑発するための戦い方で、常に一緒にいるアナキンとかが対決したら癖を利用し後ろ向きの瞬間攻め方を変えてスキを突けるはずだ。監督が日本人なら確実にそうなってると思う。

アナキン・スカイウォーカーは予言によると「フォースにバランスをもたらす者」。
予言が正しいか、間違っているかも物語の中で関わっているが、「ノストラダムスの大予言」は人類を滅亡させないための「警告」として残した説もあるし、少なくともアナキンが戦いの行方を担っていることは示唆できている。
さらにバランスという面でも考えてみると、
・帝国側(シス)がまだ有利っぽい時にアナキンがジェダイになる。
・共和国側(ジェダイ)が有利になったとき、アナキンがダーク・フォースに落ちてジェダイを大勢殺す(シスを増やしてジェダイを減らす)。
・その後エピソード4にて、ルークがジェダイになったらオビワンを殺す(新しいジェダイが入れば古いジェダイを減らしてプラマイ0にする)。
・エピソード6でヨーダが死んだら皇帝を殺す(ジェダイが減ったらシスも減らす)。
見事に勢力を均等させる役目を果たしているじゃないか。結局ジェダイ・マスターたちは自分らに都合良く予言を読み過ぎなんじゃないかと、更に上層部の腐敗を糾弾してみたくなってくる。
そしてよくよく考えてみると、ラストでシスが滅び、ジェダイだけが残るのは、最後の最後で役目を果たせなかったのか?そうすると先ほどから気になっている「皇帝の死」がいよいよ怪しい。なんか、むしろ皇帝が死んでないから自分が死んでバランスをもたらしたという解釈ができてくる。
エピソード1~3とエピソード4~6はリンクしている部分が多く(だからアナキンの父親がダースシディウスって予想も生まれる)、エピソード4に至るまでジェダイは滅んだと見せかけひっそり生き延びているのまで考慮すると、どんどんどんどん考えが固まってしょうがない。

なんだか批判のために書いていたつもりが、思わぬ発見ができた。続編はないって断言されているから、結局予想があっているかどうかを確かめるすべもない。だがルーカスよ、つじつまを合わせるためにはもう1作出すしかないぞ。
深い見方に耐えうる、むしろ深い見方を視聴者に求めてくる、そんな特性がある映画、て部分は認めよう。


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