Church of the Dunes

映画を見て調べたことの備忘録。更新は、のんびりペースの予定です。

ダンケルク(1964年/フランス・イタリア)

2018-05-31 08:11:58 | 映画のはなし

(こちらは、2018年3月5日に 本館ブログ へupした記事の再掲です)

3月になりました。
今年に入ってからずっと、映画館へ足を運ぶのは、
クリストファー・ノーラン監督の「 ダンケルク 」再上映を見るためだったのですが、
先月も後半になって、ようやく、他作品を映画館で鑑賞することができました。

見てきた作品のタイトルは、「ダンケルク」(笑)。

2月17日(土)~3月2日(金)まで、角川シネマ有楽町で開催されていた
特集上映「華麗なるフランス映画」 のプログラムに、ジャン=ポール・ベルモンド主演、
フランス・イタリア合作の 「ダンケルク」(1964年) が入っていたので、
フランス側から描く "ダンケルク撤退戦" を見るため、2月19日(月)に行ってきた次第です。

原題は、1949年にフランスの文学賞であるゴンクール賞を受賞した、
ロベール・メルル著の原作小説と同じ「 Week-end à Zuydcoote /ジュイコットの週末」
(小説の邦訳版は「 ズイドコートの週末 」)。
ダンケルク撤退戦の終盤、1940年6月1日(土)~2日(日)にかけての2日間が、
ベルモンド扮するフランス陸軍兵士マイヤの目を通して、映し出されます。

映画の冒頭、退却を余儀なくされるフランス陸軍兵士たちの頭上には、
降伏を迫るプロパガンダな伝単が、ドイツ空軍機から撒き散らされ、
イギリス軍が撤退する船に乗船しようと、海岸へ向かったマイヤが目にしたのは、
救出待ちの連合軍兵士数十万人の列と、フランス兵に対する乗船拒否。

砂浜に停めた軍用トラックは、板が渡され、急ごしらえの桟橋となり、
何とか小型船に乗り込んで、沖に停泊している大型船まで辿り着き、
網梯子をよじ登って甲板に落ち着いたものの、ようやく乗ることができた船は、
ドイツ空軍の襲撃を受けて燃え盛り、やむなく海へと飛び込め羽目に。。
結局は、元いた海岸まで命からがら泳ぎ戻るしかなく、再び、事態は振り出しへ。

この半年近く、スクリーンを通して何度も目にした馴染みの光景が、
こちらの作品でも、同様に、目の前で繰り広げられます。
同じ歴史的出来事をベースにしている映画同士、当然といえば、当然なのですが。

しかし、第二次世界大戦の終結から20年ほどで作られた本作は、
当時を知っている関係者もまだ多いであろう、フランス陸海空軍の全面協力を得て、
戦闘シーンがとにかく、恐ろしく迫力をもって描かれていました。

特に恐怖を感じたのは、ドイツ軍戦闘機が機銃掃射を仕掛けてくる際の厭らしさ。
地上にいる人間を、明らかに見くだし、いたぶり、弄ぶかのように、
なかなか銃撃をせずに、何度も低空飛行と旋回を気まぐれように繰り返した後、
一気に射撃してくるのが、おぞましい。

と、同時に、撃墜されたドイツ空軍機からベイルアウトして、
連合軍兵士で埋められた砂浜へと、パラシュートで降下してくるドイツ軍パイロットに対し、
地上から一斉に銃口が向けられるシークエンスも、ゾッとして、息が苦しくなりました。

ジュイコットは、ダンケルクよりも東側にあるビーチで、
映画の序盤、海水浴を楽しむ人々で賑わう平時のジュイコットをイメージした
かつてのポスター画が、街中に貼られたままとなっているのが映ります。
作中時間の経過とともに、爆撃によって破壊されていく街と、海岸の様子とが目に入るほど、
その対比に、何とも言えない気持ちになります。

  *~*~*~*

ところで、"ダンケルク" はフランス語で "Dunkerque" 、英語だと "Dunkirk" になりますが、
"ジュイコット/Zuydcoote" の英語表記が、わからない。

と言うのも、ノーラン監督の「ダンケルク」で、魚雷の攻撃を受けて沈没した駆逐艦D36から脱出し、
夜通しかけて浜に戻り着いたトミー、ギブソン、アレックスの3人が倒れ込むように眠っていた場所が、
スクリプト本 に "BEACH AT ZYDECOTE (7 MILES EAST OF DUNKIRK)" と記載されており、
「ジュイコット?」と思ったのですが、綴りが、微妙に違いますよね?

"ZYDECOTE" で検索をかけても上手くいかなくて、でも、
方角的には合っているし、距離的にもまぁ、それっぽそうな感じだし、
(Google Mapsとかで目測すると、むしろ、更に東のブレ=デューン寄り?)
今ひとつ、はっきりと確かめられないのが残念で、もやもや中。。

やはり、関連本や資料の類を拾い読みするだけではなく、ちゃんと読み込まないと ・・ ですね。