こちら の続きです。
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「無作為な運命を受け入れる ― クリストファー・ノーラン&ジョナサン・ノーラン対談 ― 」
title:Allowing Fate to be Arbitrary
― A conversation between Christopher Nolan and Jonathan Nolan ―
via:Introduction ~ DUNKIRK Screenplay by Christopher Nolan (pp.ix-xxxvii)
J:兵士たちが第二次世界大戦の期間を通してずっと、彼らの経てきた体験、残忍で漠然として認識
し難かったものとは大違いである政治家の話に出てくる華麗な美辞麗句に、どことなく困惑させ
られたという様々な報告がある。歴史的に正しく位置づけるために誰かを必要とするあの瞬間に
何かがある。統率者が畜生、一体何が起こったんだと言うのを必要としている。
C:誰かが彼らに話すまで彼らは自分たちが何をしたのか知らなかっただろうという考えに僕は魅了
された。そして君が注意を向けるものを興味深いことに思う。とりわけチャーチルの雄弁さとの
関連で。燃える飛行機のショットよりもむしろトミーのショットで映画を終えることにした理由
だ、何故なら燃える飛行機での締め括りを脚本には書いたんだ、破滅的な映像で ― 来たるべき
世界といった類の ― しかしスケールの大きなイメージだ。フィンがチャーチルの演説を読んで
いる日刊紙が目に入った時に、最後に、彼はただその場でこのことをしたんだ、僕には彼のして
いることがまるで分らない、けれども彼の静寂なこの一瞬で終わらなければならない、誰も彼に
注意を払わないしアレックスは窓越しに少女たちが手渡してくる物を食べたり飲んだりしている。
それは個人的な瞬間に立ち返るものだ:彼はたった今読んだこの非常に雄弁な政治家による言葉
を処理しようとし彼の体験と折り合いをつけようとしている。願わくは観客が、彼の観点で同じ
ことをしようとしてくれたら良いのだが。そうしてそれがほんの小さなことに戻って来るんだ。
僕はそれが僕の最も興味があったことの一つと考えている、ダンケルクは、他の何にもまして、
明らかに僕が知る他のどんな歴史的な出来事以上に、ロールシャッハ・テストだから。僕がして
いることを発表してからのここ二年でアメリカ人と話すことに僕は非常に関心を持ち続けている。
気掛かりなほどに多くの人たちが、ヒトラーがイギリス人を脱出させた事実に君は取り組むの?
という最初の質問を僕に聞くだろう。僕はこれにとても、とても愕然とした。
J:(笑)そうだね。
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映画本編ラストの、トミーの表情が印象的な場面の話だ ・・ と、
興味深く読んでいたのですが、
その後に続くアメリカ人とのエピソードに、私も愕然としました(笑)