高架下、入口。
自転車の変速グググッと軽くして、
ぐるぐる回る。
カーブをひとつふたつ、みっつ。
四つ目曲がって
ふう、と息を吐くと空が広がった。
雲一つない冬の空は殺風景だ。
けれどそこに突然
人が現れた。
それだけで描きたくなる。
枯れ草だらけの冬の田んぼも
やっぱり殺風景だ。
けれどそこに雀が一羽舞い降りた。
この瞬間、物語が始まる。
ちゅんちゅんと
あっちこっちつついて、
夕飯の支度だろうか。
いつも通る道沿いに
まだ新しい切り株がある。
夏はたしかに木が青々としていたのに
なんだか寂しい。
けれどよく見ると、
緑色の葉っぱが顔を出していた。
ここがこの木が根を下ろした場所。
ここがこの木の
物語が生まれる場所。
冬の物語を三つ。
これで一年の幕引きとします。
ありがとうございました。