二年前の同じ頃、ここで海鳥を見ていた。空と海に何度も何度も大きな円を描いて、迫ってきては離れ、また迫ってくる。まるでショーを見ているようだった。ひとりで、いちばん前で、風が強いことも波しぶきが冷たいことも忘れて。描こうとしたけれどタイトルがわからなくて、結局描かなかったんだっけ。今、海はあの日よりずっと静かで、鳥もほとんどいない。でも、ああ、そうか、あの鳥たちは謳っていたんだ――