二・二六事件と日本

二・二六事件を書きます

けもの道

2021-10-03 22:28:00 | 二・二六事件



両国駅に到着した千葉・佐倉連隊




二・二六事件の研究資料を漁っていると比較的新しい物に多いのだが、
“青年将校は、五・一五事件で刑が軽かった為、自分達も減刑されるであろうという甘い考えで事件を起こした”
という意味合いのものをよく見かける。
本当にそうだろうか。

確かにそういう風に取れるところもある。
坂井直は決起後に陸大を受験するつもりで勉強に励んでいた事は良く知られる。

一方で、丹生は事件前奥様に「お前は俺が死んだら保険金が入るからいいね」と言い残しており、間もなく訪れる死を連想させる。
栗原は、奥様に遺書を渡している。
野中は連隊の自身の机の中に遺書を用意している。
常盤は、もう生きて酒を呑むことはないと考え、末期の酒と称してギリギリまで酒を呑んでいた。


計画が曖昧で稚拙だったのは事実であるが、もともとは決起した将校の多くは自決する覚悟で起っていたのであり、法廷論争へ望みをかけ方向転換したのは決起終盤だった。よってそのような認識は必ずしも正しくはないと言えよう。