おばんでがんす
1月11日は御蔵開きの日だ,正月早々に金銭が出ない様12月の30日のお飾りの日に蔵を閉じて措く、
正月に必要なものは予めそれまでに主屋の方へ出しておくのだ
観音開きの鑑戸は丁寧に作ってあるので保護のための格子枠が取り付けてある、鑑戸の真ん中にある「鬼の爪」と言う鉄環で固定してある
此の保護枠を外して鑑戸を閉めるのだが長年のきしみで全部はぴったり閉まらないのが残念だ
子の内側に「裏白戸」と言う塗り込め戸がありその内側に欅でできている格子戸がある、そこに猿家(サルゲ)と言う落とし込みの鉄鍵が付付いて
て、そのカギが複雑にできている、内鍵用と外鍵用の二種類があり、昔は蔵の中でご隠居様は寝ていたので内側から開ける鍵が必要であった
こうして鑑戸を閉めてその外の掛け鍵に正月のお飾りをする
二重三重に鍵がかかるようにしてあるのだがそれでも昔は土蔵やぶりがあった
当家でも昔は今の蔵の並びにもう双つ蔵があったが土蔵やぶりにはいられ其の挙句に竹藪の竹が生えてしまい私の代で二棟つぶした
もちろん何も入っていなし昔だから段段解体して焼却してしまった
其の焼却時に鉄くずみたいなものが入っている箱を燃やしたらそれが鎧櫃であったりとか邪魔くさい古座布団がはいっていた長持ちが実は漆塗りの
猫足膳のセットが何十となく入っていたとか、失敗もあったが、兎に角半分腐っていたので手っ取り早い処分方法として畑の真ん中で処分した
今にして思えば勿体無い物も有ったなと思ったが後の祭りだ
そして漆を燃やすと物凄いガスが発生してとても危険なガスであることを勉強したことが思い出される
そして此の鑑戸を開けて元の状態にするのが御蔵開きな、これが武家や商家の蔵の風習でこれから鏡開きが発生したのだ
基の通常の状態に戻して鏡開きが終わり中の米を出して米搗きをしていったん白米にしてから此れを粉砕機にかけて粳米で上新粉を作る
それが13日に繭玉に成る。日にちの取り合わせが誠によくできている
こうして御蔵開きが終えて正月の行事が粛々と消化されてゆく、毎年のことだがある面愉しい物だ
そんじゃあまたはなすべえ
遊童子
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