一を聞いて以て十を知る
「子、子貢(しこう)に謂いて曰(のたま)わく、女(なんじ)と回(かい)と孰(いず)れか愈(まさ)れる。対(こた)えて曰(い)わく、賜(し)や何ぞ敢(あえ)て回を望まん。回や一を聞いて以て十を知る。賜や一を聞いて以て二を知る。」
「子曰(のたま)わく、如(し)かざるなり。吾と女と如かざるなり。」
■その意味は?
孔子(先生)が子貢に話しかけられた。
『お前と顔回とどちらが勝れていると思うか。』
子貢が答えた。
『私はどうして回と肩を並べることができましょうか。回は一を聞いて十〔全体〕を知りますが、私は一を聞いてせいぜい二を知る程度でございます。』
孔子(先生)が言われた。
『回には及ばないね。実は私もお前と同じように、及ばないと思っているよ。』
(「論語」一日一言より)
■感想
則ち、人間にはそれぞれ生まれ持った才能・才格がある。これはどうしようもないことであろう。しかし、それを妬むこともなく、ただただ地道に精進に励んでいる人もまた、優れた人物と言えよう。