容疑者と大差なし！

新幹線で殺傷に「意味はない」
容疑者「社会恨んでいる」
平成３０年６月１３日 共同通信

東海道新幹線で乗客の男女3人が殺傷された事件で、殺人容疑で送検された無職小島一朗容疑者（22）が「社会を恨んでいる。誰でもいいから殺そうと思った。人を殺す願望は昔からあった」と供述していることが13日、捜査関係者への取材で分かった。事件を起こす場所を新幹線にしたことについては「特に意味はない」と話している。

凶器のなたとナイフは数カ月前に買い、新幹線の指定席券は事件当日の9日夜に東京駅で購入したことも判明した。神奈川県警は、凶器を事前に準備していることから計画性があったとみており、無差別的に多数の乗客を狙おうとした動機や経緯を捜査している。


【 所 感 】

目に見えぬ　神に向かいて恥じざるは　人の心の　まことなりけり　

明治天皇御製の句であり、人間ならば、やって良いこと悪いことの分別というものを、きちんと弁えなければならず、それは、幼少の頃に抱いた感性を本とし、少しづつ育んでいくことで、大成（成人・社会人）へと為すことができる。しかし、これを誤れば、まさに自分勝手な思考しかできない人間が輩出されてしまうのだ。

社会を恨むは、人としては当然のことであり、どんな世であっても、人は絶え間ない欲望に心が支配されてしまう。然るに、恨む心だけで、安易に他人様を騙し、強奪したり、殺めたりするは、まさに邪心に支配されてしまっているとしか言えない。

話が逸れてしまうが、現在、ＮＨＫの大河ドラマでは「西郷どん」なるものが放映されているとのこと。そこで、修身教科書五年生に掲載されていたという、西郷隆盛公にまつわる話しを紹介したい。

　以下。

■ 子供っぽい、幼稚な考えは捨てよ　西郷隆盛と橋本左内

西郷隆盛が、江戸の鹿児島藩の屋敷に住んでいた頃、ある日、友達や力士を集めて庭で相撲をとっていると、取次ぎの者が来て、「福井藩の橋本左内という人が見えて、ぜひお目にかかりたいと申されます」と言いました。

一室に通し、着物を着替えて会って見ると、左内は二十歳余りの、色の白い、女のようなやさしい若者でした。隆盛は心の中で、これではさほどの人物ではあるまい、と見くびって、あまり丁重にあしらいませんでした。左内は、自分が軽蔑されていることを悟りましたが、少しも気にかけず、「あなたがこれまで、いろいろな国事にお骨折りになっていると聞いて、したわしく思っていました。私もあなたの教えを受けて、及ばずながら、国のために尽くしたいと思います」と言いました。

ところが隆盛は、こんな若者に国事を相談することはできないと思って、そしらぬ顔で、「いや、それは大変なお間違いです。私のようなおろかな者が、国のためをはかるなどとは思いもよらぬことです。ただ相撲が好きで、ごらんの通り、若者どもと一緒に、毎日相撲をとっているばかりです」と言って、相手にしませんでした。それでも左内は落ち着いて、「あなたのご精神は、よく承知しています。そんなにおかしくなさらずに、どうぞ打ちあけていただきたい」と言って、それから国事について自分の意見を述べました。隆盛はじっと聞いていましたが、左内の考えがいかにもしっかりしていて、国のためを思う真心があふれているのにすっかり感心してしまいました。

隆盛は、左内が帰ってから、友達に向かい、「橋本はまだ年が若いが、意見は実に立派なものだ。見かけがあまりやさしいので、はじめ相手にしなかったのは、自分の大きな過ちであった」と言って深く恥じました。隆盛は、翌朝すぐに左内を訪ねて行って、「昨日は誠に失礼しました。どうかおとがめなく、お心安く願います」と言ってわびました。

それから、二人は親しく交わり、心をあわせて国のために尽くしました。

（※ 参考：渡部昇一著「日本人の道徳心」）


以上のように、社会を恨んでいたとする容疑者の周辺に、じっくりと話しを聞いてあげる者がいたならば、悲惨な事件は回避されていたのやもしれず、また、聞くだけでなく的確な答えを出してあげることがなにより大事だったのでは、と思われるのだ。

そして、他人様を傷付け殺めたことによって、警察に捕まりはしたが、結果、話しをじっくりと聞いてくれる警察官や弁護士などの存在があるということは、容疑者にとっては至福の時を牢獄内で迎えているのかもしれず、このことからも、容疑者もまた、被害者だったといえるのではないだろうか。

当然のこととして、容疑者をかばうつもりはないが、筆者自身の若い頃と比較しても、そんなに大差なしであり、あとは司法がどのような判決を下すのか・・・、また、日本社会が今回の事件をどのように受け止めるのか・・・、あとは、そっと見守っていようと思う。


容疑者と大差なしの筆者としましては、読者としているブロガーさんのお話を読ませていただけますこと、また、先人先祖を想い馳せられますことで、なんとか平穏な日々を送らさせていただいておりますが、これはまこと、有り難きことで御座います。


【 ご訪問、有難うございました。 】