真の動物福祉牧場を目指して

自由への道 No.2

  今回は山の旅について語ろうと思います。
 まずは漫画からで、山モノでは「岳」がイチオシです。
 その主人公(三歩)は大人漫画の中でも最も「自由」に生きてると思え、強い憧れを懐きました。

 三歩はフリーランスの山岳救助員で、山をこよなく愛する彼にとってそれは天職と言えます。
 しかしそれは死と隣あわせの仕事でもあり、多くの命を救って来た三歩は真の勇者としての「自由」を謳歌します…
 
 私はとうてい三歩には及びませんが、旅ではけっこう山に挑戦し、「死と隣あわせ」とまでは行きませんが、それなりの冒険を切り抜けて山での自由を謳歌しました。
 
 前にエベレスト-トレッキングとカイラス巡礼については語りましたので、今回は長寿の里フンザから望まれるシャングリラ地方の「K2」について語ろうかと思います。
 
 私がシャングリラ(パキスタン北部)に3ヶ月滞在したのは22才の時で、もう18年前になります。
 当時すでにアフガニスタンは戦争状態でしたが、そこから山1つ隔てたフンザは全く別世界の平和を保っておりました。
 それでも欧米人の旅人は滅多に来なくなっていて、日本人だけは平和ボケからか大勢来ていました。

 フンザが日本人に人気なのは、「風の谷のナウシカ」の故郷として有名だからで、住民は「風の谷」のキャラクターそっくりで温かく歓迎してくれます。
 ここは長寿の里としても有名で、果樹(杏子が多い)が一面に広がり食べ放題で、水と野菜もとても美味しい所です。

 日本人に一番人気の宿は「ホショさん家」で、1泊ディナー付きで100円と実にリーズナブルでした。
 ホショさんは名コックでディナーはとても美味しく、庭で素晴らしい山々の景色を眺めながら、みんなと一緒に食事します。

 ここは完璧な日本人宿なので、読み終わった本は沢山置いてあり、音楽やゲーム(麻雀など)も盛り上がっていて沈没者が続出していました。
 私も日本語に飢えていたので沈没し、ここはイスラム圏なのでお酒は全くありませんが、その代わりマリファナは普通にみんな摂取していて、それがこの地方をシャンティー(平和)にしているコトは、疑う余地が無いかと思います。

 しかしこんな辺境の地でも、人々は時にお金が必要となり、その為の換金作物としてケシも栽培していました。
 私もちょっとだけ、実を削って汁を乾かして吸い「空」を味わいましたが、これは確かにビートルズが「Happiness is a warm gun」で歌っている様に幸福感を得られました。

 しかし、若かった私はそんなにマッタリばかりはして居れず、山へと向かいました。
 K2はエベレストと違いほぼ全くツーリズム(観光産業)の波に晒されておらず、宿は麓の村までしかありませんでした。

 山の中で暮らす子供達は異邦人をとても珍しがり、仲良くなれましたが直ぐに通り過ぎて行くコトに抗議してか、去って行く私に石の雨を降らせました。
 これは決して当てようと投げている訳ではなく、私も投げ返して名残を惜しみました。

 この時はもう一人日本人と一緒に登っていて、彼はかなり装備を調えており上を目指していました。
 一方私は寝袋すら持っておらず、山で野宿するのは一晩が限界でした。
 これは寒くてとても寝られなかったのですが、月夜はとても明るくK2の雄姿は映え、ハイになって夜を越せました。

 山の上の方へは行けなかった代わりに、麓の方はけっこう広く歩き回って、宿は在りませんでしたがモスクに泊まるコトが出来ました。
 モスクはどこでも24時間開かれており、1日五回のお祈りの時間以外は、自由に寝て居られます。

 山の小さなモスクは旅人を非常に歓迎してくれ、ビンラディンみたいなヒゲを伸ばした男達が、一生懸命イスラム教の素晴らしさを伝えてくれました。
 私も熱心にそれを学ぼうとしたので気に入られ、神学校への推薦状まで渡されて、その時は行く気満々に成りましたが、フンザに戻って周りの日本人に相談したら、みんなから止められました。

 こうした神学校に入って消息を断ってしまった旅人が多く居ると言われ、それは確かで恐らくはアフガニスタンの戦争に行ってしまったのでしょう。
 いくら若くても、私にはそんな冒険はとても出来ず、イスラム教熱はすぐに冷めましたが、そこにある種の「自由への道」を感じて惹かれたのも確かで、それは「神の元の平等」という、我々の考える自由とは一風変わったモノでした。
  

 

 
 

 

 
 

 
 


 

 




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