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真の動物福祉牧場を目指して

バナラス(カーシー)迷路

 まずはこの、世界最古の都を自称する街の呼び名について述べますと、日本語ではバラナシとベナレスの2通りの呼称がありますが、間をとってバナラスくらいが正しい発音のようです。

 インド人は世界最古の都の名カーシーで呼ぶコトも多く、ここは近年ヒンドゥー-ナショナリズムの中核都市として発展して来ております。

 昔は観光客と言えば外国人が主流だったのが、今では圧倒的にインド人が多くなり、リニューアルされた立派なガンジス川沿いのヒンドゥー寺院の外壁には毎晩派手なプロジェクティング-ショーが上映され、メイン-ガート(沐浴場)での毎晩の儀式は韓国ソウルでの群衆事故を彷彿とさせる程の人混みです。

 これは今、インドが1番快適な観光シーズンの冬で、国家公務員試験もここで行われており、周りの州から学生達が集まっているせいでもあります。
 わたしもそんな学生達で溢れる2等列車(席なし)で隣のビハール州から来て、同じ立ち客のよしみで英語を話せる学生と仲良くなりました。

 列車がバナラス駅に到着したのは夜11時過ぎでしたが、駅前の100軒ほどの屋台は夜通し学生達で賑わっており、駅で寝ている学生も数百人は居たのでわたしも仲良くなった学生(リテシュ)と一緒に寝ましたが、眠りは続々と到着する列車から吐き出される若者達の元気な歓声によって妨げられました。

 しかしそうした若者達の前途は決して明るいとは言えず、リテシュ君いわく国家公務員試験の倍率は軒並み100倍程で、コネが無くては到底パスできない狭き門だそうです。
 それだけ仕事にあぶれた若者の数は多く、22歳の彼は家庭教師でなんとか生計を立てているけれど、このまま公務員試験に落ち続けるようならば日本で仕事を見つけたいと真剣に語っていました。
 
 わたしは日本では介護と農業の分野で外国人労働者を大募集しており、特に休日の無い酪農を日本人は敬遠するので、住み込みで集中的に稼げるコトを伝えました。 
 一月に30日働いて30万円残せると彼に伝えたら、それはインドの公務員給料の十倍に当たると驚いて、彼のモチベーションを高めるコトが出来ました。

 リテシュとは夜明け前にこの日の再会を約して別れ、まだ暗くても人通りの多い下町を1時間くらいさ迷って、ガンガーまで辿り着いた頃に朝日が登り初めました。
 ここまで辿り着けば久美子ハウスはガート沿いなので一直線で、安心してチャイとビスケットの朝食(30円弱)を頂け、清々しい朝のガンガーで沐浴も出来ました。

 7年ぶりの久美子ハウスは久美子さんが居らず、夫のシャンティさんは7年前にはもう亡くなっていたので心配しましたが、バンガロールに嫁いだ娘さんの家で隠居していると聴いて安心しました。
 今は息子のアルシン(野心)君が久美子ハウスを経営しており、インドで1番安い日本人宿(ドミトリー400円弱)として人気を保っていました。

 それでもコロナ禍では日本人が殆ど来れなかったのでに大打撃を受け、大きな2号館は畳んで昔からの小さな久美子ハウス(狭い4階建て)だけの経営に成っていました。

 わたしが初めて久美子ハウスに泊まった20年数前に比べると、日本人バックパッカーの数はかなり減っており、それは日本のバブル経済とその余波が終わりを告げた感を抱かせます。
 あのころは毎晩、久美子ハウスの屋上ではボン-パーティーが行われており、そこではインドを何年も放浪している徴兵逃れのイスラエル人なども一緒にボンして、食や音楽のトランスにひたっていました。

 今でも久美子ハウスには日本人宿ならではの安心感があり、本も沢山置いて在るのでそれを整理する仕事は昔のようにできました。
 着いた日にはそんなヒマはなく、少し朝寝して朝寝坊な親子の旅行者と一緒に起き、ドミトリーでお話ししました。
 このお父さんは30年前から久美子ハウスに通っている常連さんで、四人いる子供が思春期に成った時に一人ずつとインドを旅する慣習を持ち、今回が四人目の末っ子とだそうです。

 親子とは20分程しか話す時間が持てず、農家志望のお父さんとはもう少し農業の話をしたかったのですが、お互いに出発する時間が定まっていたタメすぐにお別れとなりました。

 親子はブッタガヤへ向かい、わたしはリテシュ君と約束したサールナート(太陽の地)の待ち合わせ場所を目指して歩き出しました。
 その道程はおよそ10kmで、27歳の頃のわたしは何度も歩いて往復していたので、余裕をカマして景気付けにメイン-ガートの参道の入口に密集しているバンク-ラッシー屋さんで「ミディアム」を飲んでしまい、そのタメに大変な迷路にハマり込みそうになってしまいました…

 これについては、また次回に語らせて貰います。

 
 
 
 
 
 

 
 
 
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