
竹本祐太
浜田山美術大学建築科2年→3年→4年→留年→お寺の修復師に。
出身は群馬県安中市。
正直で真面目で純情な青年。
大学まで徒歩10分、木造モルタル築25年。6畳台所3畳、風呂なし、トイレ共同、家賃38000(後に2千円下がる)の家に住む普通の大学生。
アパート内では最下級生であることもあり常にイジられる可愛そうなキャラ。
しかし、面倒見のいい2コ上の先輩「真山 巧」とも仲が良く楽しいキャンパスライフを送っていた。
大学2年の春。いつも入り浸ってる「花本修司」教授のゼミ室にて、竹本は運命的な出会いを果たす。それが花本教授が連れてきた新入生「花本はぐみ」だった。
出合った瞬間に竹本は淡い恋心を抱くようになる。
竹本ははぐみへの思いを抱き続けながら時間を過ごし、徐々に自分が本気ではぐを好きになっていると自覚するようになる。しかし同時に、同じアパートの住人「森田 忍」もはぐのコトが好きであるということを知ってしまう。
さらに、恋の相手はぐが森田に興味を持ち始めていることも知った。
竹本は悩んだ。はぐみは芸術の天才。自分は何も無いカラッポな大学生。ライバルの森田は才能溢れる天才。森田相手に勝てるわけが無いと思い始めていた。
真山「で?竹本は負ける気マンマンなわけなんだ」
竹本「勝つとか負けるとか、そーいうの嫌なんです、俺」
先輩の真山が問いかけるその疑問にそう答えてしまうほど、優しすぎるのだこの青年は。
その森田は急に渡米。はぐと一緒の時間が増える。その間も少しずつはぐみを好きな自分を見失わずに、入院やそれに伴う留年を越えていく。
時が過ぎ、卒業を目前にして就職が思うように決まらず、自分に問いかける。
俺はなにがしたいんだろう?
そしてカラッポになった冷蔵庫を見てつぶやく
空っぽだ。
竹本は、自転車で振り向かないでどこまでいけるかという「自分探しの旅」に出たのだ。オンボロ自転車をひたすらこいで海に着いた(茨城あたりと思われる)
そこからなおも北上し、仙台で自転車が大破。そこで瑞巌寺の修復をしている大工に出会う。自転車代を稼ぐためにそこで住み込みでバイトを始めることに。
次第に修復師に魅かれて行く竹本。そこでからっぽな自分と向き合い、やりたいものがおぼおげながら見えてくる。
そこで修復師の棟梁の一言でまた旅を再開する。
「まだ答えはでてないだろう。迷うなら迷う。走るなら走る」
答えなんざどーでもいい。ハナからそんなもんはねーんだ。自分で本当に気の済むまでやってみたかどーかしかないんだよ。」
その言葉で出発を決意。同じ現場の仲間の「しん」さんに自転車を借り、再び竹本は先を目指す。
たどり着いたのは稚内。北海道最北端。そこに何も無く、だが明るくせいせいした所だったという光景を目の当たりにして竹本ははぐの、みんなのいる大学へ戻ることにする。
そして戻った先での花火大会の夜。
「はぐちゃん、オレは君が好きだよ」
と遂に自分の心に決着をつける。それが例え両思いになれないとしても竹本は伝える勇気と決心を自分探しから見つけたのだ。
そして卒業を目前に控えた大学祭中にはぐみが事故にあってしまう。
はぐみ自身にも大きな怪我と後遺症が残る状態だ。
そこで竹本は悩む。修復師として進むか、はぐの身の回りの世話をして暮らすかを。しかし、金も才能もない自分がはぐみの力になるには至らなすぎると感じ、自嘲気味に笑うしかなかった。
しかし、結局は「今すきなのははぐ。今困ってるのはそのはぐ!それだけは間違いたくない!それくらいは男でいたい」と思い、大学在学中ははぐみのリハビリを手伝うようになる。
しかし、花本教授が今の教授の地位を捨て去ってでもはぐを守ろうとする姿には勝てず、花本のはぐへの思いの深さに愕然とする。自分にここまでのことができるか・・・いやできない。
そして、仙台で出合った修復師と合流するために卒業後に盛岡へ向かう。
最後まで疑問だった「両思いになれない恋愛に意味はあるのか?」
という疑問には答えが出なかった。
出発直前、ホームにはぐの姿をみた竹本は外に出てはぐと出会う。
はぐはお弁当を持ってきてくれたのだ。
当面の別れを惜しむように抱き合う二人。だが非情にもベルが鳴り列車は盛岡へ向かい走りだす。
車中ではぐのお弁当をあける竹本。その中にあったのは食パンを重ねただけのサンドイッチだった。料理の苦手な彼女が作ったサンドイッチ。その具材は何かと一枚一枚めくっていくと・・・・・
その中身はたっぷりのハチミツとすべてのパンに貼り付けられた「幸運の四葉のクローバー」だったのだ。
想いの届かない恋愛に意味は・・・あった!あったんだよ!確かにここに!
たまらず涙がでる竹本。ハチミツとクローバーのサンドイッチを食べながら外に目をやり竹本はつぶやいた
はぐちゃん。オレは君を好きになってよかった と。