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yuki

消費生活アドバイザーの目

世界で一番売れている薬

2007-05-06 06:29:27 | Book
ゴールデンウィークは読書三昧(と言うほどは読めませんでしたが・・)
その中の一冊「世界で一番売れている薬」は高脂血症のクスリ”メバロチン”の開発物語です。

遠藤章博士の生い立ちから、青カビへの着目、活性物質のスクリーニング、薬効・薬害の測定、商品化と著者の山内喜美子さんの筆は一挙に読ませてくれ、研究開発部門の事業化にも携わったこともあり、こういうこともあったよな・・と納得させられました。

ノーベル賞にも値する発見も社内に目利きがいないと評価されず、会社を去るしかなくなる。
 遠藤章博士は「時代が早かった。」と淡々としているそうですが・・

日本人には独創的な発明がないと言われがちですが、それを評価でき支援する人や組織が育っていないことも開発競争で後塵を拝する原因だと思います。

過去を語るのは誰でもできますが、状況が見えない世界で価値の定まっていないモノを評価してGoサインを出せる先見性と勇気を持ったマネジメントはなかなか居ないものです。
小柴昌俊さんが「本気になって自分をぶつけってみよう」でご自身の研究生活を語っておられますが、本気になってやっていると人に認めさせる力が出てくるモノだと思います。

次の時代を担う若者に、人に認めさせ、積極的に支援させる情熱を期待します。

売れた(売れそうな)商品・分野には注目するが、その分野を切り開いた人は評価できない。
”ファースト・イン・クラス”と”ベスト・イン・クラス”をバランス良く評価できる社会にしたいですね。

スイスと日本

2007-01-07 14:31:14 | Book
元警察庁長官でスイス大使でもあった国松孝次氏の「スイス探訪-したたかなスイス人のしなやかな生き方」に有島武郎とティルダ・ヘックの交流について書かれている章があります。

その中で、有島武郎との交流を通じて日本を大切にしていたティルダが1962年に東京湾でノルウェー船に衝突された日本のタンカーが火災沈没、39名の死者を出したときに義捐金を送り、出光興産店主の出光佐三からの感謝状が展覧会で展示されていたことが紹介されています。

出光興産の歴史の中でも語られることのほとんど無い事件が遠くスイスの地に記録され語り継がれていることに敬意を感じます。


☆有島武郎とティルダ・ヘックの交流については「愛の書簡集―有島武郎よりティルダ・ヘックへ」をご覧下さい。

障害者の経済学

2007-01-02 17:51:43 | Book
今年は、1日は日本橋七福神、2日は亀戸七福神と連日で初詣をしてきました。
最後の萩寺で「今年も沢山良いことがありますように」と巫女さんから朱印帳を渡してもらい気分良く新年をスタートできました。

ところで、商売繁盛の福の神「恵比寿神」が障害児だったって知っていました?
中島隆信の「障害者の経済学」(東洋経済新報社)に”イザナギとイザナミの子供で障害児だったヒルコが海に流されたが、漁師に救われて恵比寿神として復活したと書かれています。

福の神の恵比寿さんが障害者と言うのも意外でしたが、障害児の父親でもある著者が経済学者の視点で福祉のあり方を提言しており、障害者の人達を可哀想にと一段高いところから見がちな自分には考えさせられた本です。

「(転ばぬ)先の杖」と「産むが易し」で解き明かす切り口も納得するところがあり、消費生活アドバイザーの皆さんにお勧めの一冊です。

セイヴィングキャピタリズム

2006-06-18 22:04:49 | Book
評論家のF氏から面白いから読んでみたら・・と紹介された本が「セイヴィングキャピタリズム」です。

タイトルだけ聞いて、今更、共産主義との対立でもなし、テロリストから守るのかな?なんて勝手に想像していたら、何と原題は「資本主義を資本家から守る(Saving Capitalism from the Capitalists)」で、自由なマーケットを押さえた資本家(既得権者)は自分達の利益を守るために新たな参入を防ぐために障壁を作り自由な経済が阻害されようになる・・と事例を交えながら紹介、対応策が提案されています。

From以下を官僚や政治家、成長を終えた会社の幹部に置き換えても本になりそうで人間社会の真実を突いていると思います。

少々ボリュームもあり気軽に読める本ではありませんが、今の世の中、何か変だな・・と感じている方にはヒントになるかもしれません。

フランスのワインはペストが造った?

2006-05-14 07:16:59 | Book
「感染症は世界史を動かす」岡田晴恵著(ちくま新書)

国立感染症研究所の研究員である岡田さんがウィルスが歴史に与えた影響をハンセン病と聖エリーザベトから産業革命と結核まで、その時代の背景と医学水準でどうなっていったのかを有名人も登場させながら興味深く読ませていきます。

で、ペスト(黒死病)とワインの関係、
ヨーロッパに猛威を振るった黒死病で農地を耕作する農奴が激減し、手間のかからない葡萄を栽培したのがフランスにワインを、羊を飼ったのがイギリスに羊毛産業にと発展したそうです。

新型インフルエンザの脅威がスグそこに来ている今日、歴史に学びながら冷静な対応で後世に伝えられる歴史を創れると良いですね。