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yuki

消費生活アドバイザーの目

ホスピタル・クラウン

2011-06-04 08:41:59 | Book
「ホスピタル・クラウン」は、つらい闘病生活を送る子ども達に笑顔を届け、子供本来のキラキラした瞳を取り戻す手伝いをする道化師のことで、ロビン・ウィリアムズが主演した映画「パッチアダムス」や常盤貴子主演でフジテレビで2008年に放映された「笑顔をくれた君へ~女医と道化師の挑戦~」でご存知の方もいらっしゃると思います。

「ホスピタル・クラウンー病院に笑いを届ける道化師ー」は読まれましたか?
「笑顔はどんなクスリにも勝る」とも言われますが、”クラウンK”が子供たちに笑顔を届けるために自らを厳しく律していることや、逆に子供たちから元気をもらうことでこの活動をつづけられていることなどが淡々と語られています。

著者の”クラウンK”こと大棟耕介氏は、道化師の国際大会で銀メダルを獲得した世界的なクラウンで、日本ホスピタルクラウン協会理事長としても活躍しています。

あわせて、おもてなしのテクニックをプロが語る
「道化師流サービスの力」も読まれることをお薦めします。

「空気を読み 笑顔をつくる」サービス業のおもてなしのテクニックを”クラウンK”流に紹介しています。
その通りと頷いたのは、看護学校で「心と心の看護」のテーマでの講演でのこと
「みなさん『心』なんて必要ないですよ。『心』を口にするのは10年早い。・・とにかく勉強することです!」と
プロの看護師にならないと心だけでは看護師は勤まらないことを知ってもらいたいと挑戦的な発言をする場面です。

相手とキチントしたコミュニケーションをしようとするなら、その人の表情や周りの雰囲気を読む余裕が必要で、プロとしての基本的な技術をマスターしてこそできるものです。
笑顔を届けるプロとしての”クラウンK”のスタイルはサービス業だけでなく、すべての人に通じるものと思います。

【クラウンとは】(クラウン・ファミリー・プレジャーB HPから)

近年では日本でも少しづつ、浸透しつつある「CLOWN(クラウン)」の存在。
でも、まだまだ大道芸との混考、しゃべらない、白塗りという先入観、そして「ピエロ」という呼び方の方が一般的なのは、事実です。

じゃあ、クラウンって何? ピエロとはどう違うの?

これを分かりやすく単純に言うと「クラウン」は道化の総称、「ピエロ」はお芝居の道化役のキャラクターのひとつ、つまり固有名詞です。ピエロの原型はヨーロッパの伝統演劇、映画「天井桟敷の人々」でジャン・ルイ・バローが演じた役がその典型。白塗り、哀愁、パントマイム・・・。日本人には、明るく脳天気な「クラウン」より、「ピエロ」の方が受け入れやすかったのか、いつしか「ピエロ」という名称とイメージが浸透していきました。

一方「クラウン」は、田舎者、おどけもの、無礼者などの意味から出来た言葉で、王様のお抱え道化として誕生し、サーカスとともに、成長してきました。日本でピエロとよばれているのは、実は殆どがクラウン。
なので海外では通じません。

大道芸ブームなどで、バルーンを作る人、マイムをやる人、メイクをしてる人などがイコールクラウンと思われがちですが、何々をやる人というより、人々に笑いをもたらす存在、その存在イコール、クラウンと言えるでしょう。

天涯の船

2011-05-27 14:16:20 | Book
明治17年9月、神戸から船出した少女ミサオ、船中での若者との出会いがアメリカ、ヨーロッパと歴史の波に翻弄されながら逞しく生きていく原動力となる。 日本人が歴史を創ろうとしていた時代の物語です。

玉岡かおる「天涯の船」について、先日亡くなった俳優の児玉清は解説の冒頭に。
「好みの滅茶面白小説に出会えたときの喜びは爆発的なものがある・・『天涯の船』を読んだときの喜びは、それこそ天に昇る気持ちだった。しかも、この物語は滅茶面白ばかりか、人生の示唆に富み、また歴史の不可思議さ、さらには未知の世界まで教えてくれる点でも最高にすばらしいのだから、まさに感動の一冊なのだ。」記している。

明治初期、日本は近代国家を目指し、欧米に学び追いつくため若い人材を留学させていた。

留学する姫様の身代わりとなりとなった下働きの少女ミサオは、アメリカでオーストリア人と出会い、やがて子爵婦人となる。
もう一人の主人公、桜賀光次郎(松方幸次郎がモデル)は、帰国後、事業家として成功、自らの所得で日本人の教養を高めるためヨーロッパで美術品を買い漁る。

第一次世界大戦や世界恐慌が二人の物語を更にドラマチックにし、一気に読み終えさせる。
たぶん徹夜になると思うので、翌日の仕事に差し支えない時に読み始めることをお奨めします。

光次郎が収集した美術品のほとんどは、世界恐慌で造船所が経営破綻し散逸したが、一部は国立西洋美術館に「松方コレクション」として収蔵され、私達の目を楽しませてくれている。

※物語に登場する浮世絵コレクション約8000点は皇室に献上され、のちに東京国立博物館に移管された。


お家さん

2011-05-08 09:33:59 | Book
「お家さん」 玉田かおるは、戦前の大商社、鈴木商店を「お家さん 鈴木よね」を中心とする女性の視点から描いた小説で、城山三郎が「鼠-鈴木商店焼討ち事件-」が鈴木商店の大番頭金子直吉に視点を当て男の世界で描いた小説と対をなすドキュメンタルな作品です。

神戸製鋼、帝人、双日、豊年製油、東洋精糖、日本製粉などの源流となった鈴木商店は、鈴木よねの個人商店でありながらスエズ運河を通る船の積み荷の半数は鈴木商店のダイヤモンドマークといわれ、三井・三菱に比肩する大企業でした。

昭和初期の金融恐慌で鈴木商店は無くなり、その栄華は歴史の中に埋没してしましましたが、鈴木よねや金子直吉の起業家精神は彼らの育てた人材に引継がれ、現在に続く企業群のバックボーンとなっている。

お金やモノ、組織は、時代の流れや様々なリスクにさらされ何時かは無くなるものであるが、高い志と鍛えられた人材はどの様な状況になっても、困難を糧として乗り越え、更なる発展に結びつける力を持っている。

大震災、大津波、原発事故とこれまで誰も経験したことがなく、予め用意された正答もないからこそ、新たな歴史をつくる覚悟を持った人材が登場し、活躍するチャンスと考え、大いに期待したい。
一市民としては、後世の歴史家・小説家がこの時代を描くときに誇りが持てる行動をしたいと思う。

これから24時間でかならず成長する方法 

2011-05-07 09:10:21 | Book
若い友人の本がイタリア、韓国、台湾で翻訳されることをfacebookで知り、
もちろん いずれの言語もダメなので、日本語版をAmazonで購入、読んでみた。

タイトルがいい。「これから24時間でかならず成長する方法」生田知久
24時間のカウントダウン形式の章立てで、読者を成長のスパイラルに引き込んでいく。

社会経験を積んできた目から見れば当たり前のことが書いてあるが、三廻りも違う若者がよく書いたと感心した。

「問う力」
「考える力」
「決める力」
「実行する力」
「巻き込む力」
「学ぶ力」   の6つのパワーが大切と説いており、

「巻き込む力」のネガティブな話を受け止めるとき、
 相手の意見に同意できる場合は 「そうだね」 と共感性を高めるが、
 相手の意見に同意できない場合は「そうなんだ」と受ける等々のテクニックも紹介されている。


ビジネスコンテストTrigger2004に生田 知久君は『バースディ・メッセージプレゼントサービス』を引っさげて登場、優勝は小生がサポートした他チームに譲ったもののキラリと光るものを感じた記憶がある。

もし、7年前に彼がこの本を書いていたら、勝てなかったかもしれない。
次の世代を担う若者の成長を感じさせてくれる、嬉しい本でした。

「私たちの選択」その2

2010-02-19 11:34:30 | Book
「私たちの選択」の第10章では「土壌」について語られています。

地球表面を覆っている極く薄い土壌が地球の生命を支えており、森林火災や灌漑などにより栄養に富んだ表層が流出、地球温暖化や生命を育む能力が低下する危機があるとしています。

選択の一つとして「バイオ炭」による土壌の改善が提示されており、微生物が活動しやすい環境をつくり、根粒菌菌根菌による植物の成長を期待しています。

炭を土中に入れることで微生物の住処となり活動が活発化することは知られていますし、根粒菌による窒素の固定化は化学肥料全盛となる以前は刈り取りの終わった田んぼにレンゲを植えていたように記憶しています。

菌根菌(VA菌)も植物の根に寄生し、広い範囲から栄養分を集めることで植物の成長を助ける働きがある面白い菌です。
日本ではこれらの研究開発を昔からやっているので、もっと活用したら良いと思いますね・・