イギリスの炭鉱の町の男の子が、バレエダンサーになるお話。
とっても良かったです
イギリスの、サッチャー首相が炭鉱を閉鎖しまくってる時代のお話。
石炭の値段が下がりまくって、炭鉱はもう商売にならず、
炭鉱夫達は、給料は下げられストは無視され生活できない。
だけど爺さんも親父も俺もずっとみんな、体ひとつで炭鉱で働いてきたんだ、
という価値観とプライドを、町のほとんどの男性が持っていて、
急に仕事なくなるったって俺らはこれで食ってきたんだどうすりゃいいんだちくしょう、
と怒りのやりどころがなくて町全体が暗いカンジ。
主人公の少年は、多くの男の子がボクシングを習う中、殴り合うより踊る事に興味があった。
たまたまジムの隣のスペースでバレエ教室がやっていて、
最初はバレエに抵抗はあったけど、練習が楽しくなってしまう。
そのうち、親父さんにバレちゃって、
親父さんに、男がバレエ!?ふざけんな!と一蹴されてしまうのですね。
だけど先生がこっそりプライベートレッスンをしてくれて、
オーディションを受けられる事になって・・・というお話。
話の筋はオーソドックスで展開が読めるのですが、
人間ドラマがうまく描かれていたというか。
親父さんがすごーく良かった。
息子が二人いて、自分と同じように普通に逞しい男に成長すると思っていたのに、
なんだか知らないが次男が女みたいな趣味を持っている。
恥ずかしいし止めろって言ったのにどうもおかしい。
そしたら、俺の顔色にビビってたくせに真剣な顔して俺の前で踊ってやがる。
なんだ、気まぐれじゃねぇのか、本気なのか、上手いじゃねぇか・・・
ってカンジですかね。
長男はもう自分と同じ炭鉱夫として働いていて、でも炭鉱に未来はない。
自分達の閉じていく人生を感じながらもどうにもできない。
だけど年端も行かない次男には、才能があるのかもしれない。
この町でくすぶらないで、自分の人生を自分で生きていけるのかもしれない。
炭鉱夫としての立場もプライドも捨てて頑張った親父さん。
父と息子っていうのもいいもんですね。
最後のロイヤルバレエのソロで踊るシーン(なんていうか知らないけど)で、
親父さんが息子の舞台を嬉しそうに晴れがましそうに見る姿がとっても良かったです。
今の日本の親なら、ソロにならなくても、
群舞で初めて舞台に上がる時からビデオ持って見にいっちゃいそうですけど、
そういう親バカ的息子ラブじゃなくて、
息子が自信を持って見せられるようになって初めて客として観にいく、
そういう昔気質な精神性が良かったです。
あと、主人公の男の子が、親父さんの前で踊るシーン。
男の子にとって、怖いお父さんっていろんな意味で真剣に怖いだろうしなー。
よく頑張ったね