高貴冷酷な吸血鬼と粗野で野蛮な人間との混血児で、超絶美青年「D」
時代設定は12090年と未来だけれど、世界大戦の後に文明が退化し、文章を読んでいるとまるで西部劇でも読んでいるようでした
兵器が近代的であったり、妖魔が機械だったりする辺りでやっとSFである事を思い出す程度。
気象コントローラーで季節が管理されているという発想が面白かったです
「貴族のくちづけ」を受けたドリスがDを雇いますが、どー見てもドリスにお金が有りそうには見えない
でもDの目的はお金だけではない事を文章の中で読み取る事が出来たので、お話の展開はすんなり入っていけました
17才という設定のドリスと8才の弟ダンの2人暮らし。肉感的にドリスは何度も貴族(吸血鬼)リイ伯爵の娘ラミーカの「人間にしては…」という台詞に出てくる美形
男性にとっての理想の設定だな(笑)天野氏の素晴らしい挿絵でも、ドリスは砂時計のように描かれています
やはり美男の出てくる作品にヒロインは美女じゃなくっちゃねwwwww
伯爵が襲って来る迄はドリス宅にDは待機。
牛の乳搾りしたり屋根の修理しちゃうトコが可愛い(^_^;)
あくまでも話し方に感情は出さないんだけど、ダンにだけは優しく接してあげるのね。
ダンとの会話の中で
俺は姉さんと君に、貴族を倒すと約束しよう。必ず守る。君も俺に約束しろ。
これから先、君が泣こうとわめこうとそれは君の勝手だ。好きにするがいい。
だが姉さんだけは泣かしちゃならん。
君が泣く事で姉さんが泣きそうだと思ったら我慢しろ。
君が我侭を言って姉さんが泣き出しかけたら笑ってあげろ。
君は男だからだ。・・・いいな。
。。。Dーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!!!!
何でそんなに格好イイのよおぉおおおぉおおおっっっっっ!!!!!!!!!!!
他にもドリスとの会話の中で
D 「仕事じゃない。約束だ」
ド 「約束?誰としたの?」
D 「そこの小さな用心棒とさ」
子供だからと邪険にするのではなく、男の子としてちゃんと扱ってあげる辺りの描写が
完璧過ぎて無機質になりがちなDの個性を出すのですね。あぁ…ウットリ。
それと対比して、村長の馬鹿息子グレコ
現代の若者の象徴なのかな…自分では何の努力もせず、楽な道を歩く事ばかり考える自己中心
ドリスを手に入れたくてウズウズしているんだけど、伯爵を真っ向から倒すんじゃなくて
「俺の嫁になれば誰にも何にも言わせないぞ」と権力だけにすがる。
そのくせイザとなれば何の役にも立たない…いるわ。ウチの会社にもこういうのが(爆)
伯爵に取り入って、仲間を始末してでも永遠の命を持つ吸血鬼になりたいと言う美少年「麗銀星」
頭が良くてズル賢く、己さえよければイイという。そして自分が美しい事も十分承知。
いつの時代でもこういうヤツって居るって事よね。
この作品を読んだのは20年以上前でしたが、今もう一度読み返してみて(ストーリーはすっかり忘れていました)
多分若い頃はこのグレコとか大っ嫌いと思いながら読んでいたと思うけど、今は
「嗚呼…こういう奴居るよね…」と一歩下がった視線で読んでいる自分が居ました。
勿論こんな奴等が上手く事を運んだら嫌だけど、余り腹も立たず読めたというのは、私が精神的に丸くなったって事かしら(^_^;)?
個性的な脇役の中に、ミドウィッチの蛇女三姉妹というのが出てきます
胴体はひとつだけで首が3つ。餌として人間食べちゃうのはよくある話だけれど、若い男女の淫虐を栄養とするとありました。
字の如く淫らで残虐という事何だけど…最初字で見た時は「???」
蛇女のビジュアルはかなり勘弁して欲しいものだけど、この髪の毛が相手の身体をイイ感じで愛撫してくれるらしい(爆)
Dに向かって「私達3人かかりで、この世ならぬ法悦をたっぷり味合わせてから…」と言います。
法悦とはうっとりするような喜びという意味。今の人は知らんだろ。私も辞書引く迄知らなかったよ(笑)
多分この手を使って何千年も獲物を獲てきたのだろうけど、男は肉体的快楽があればビジュアルはそんなに重視しないものなの???
プライド高くて美人なラミーカ。このネーミングが安易とかそんなk…
いや。。まぁ。。Dの事好きになる気持ちはわかる。半分仲間だし、周囲に残ってるのは自分の父親と人狼だけだし
旦那にするにはイイよね~♪激しく同意。
自分より3,000才も年下のドリスを父親が後妻にすると言い出してブチ切れる気持ちもわかるし。
プライドが高いし頭も良いので、誇り高きリイ家が既に没落している事も本当は知っていて
父親とDが戦っている最中も加勢しません。
そして城の安全保障回路を全て逆進させたから(この辺りがSF)逃げろとDに言います。すると
「この城で闇を友に、時の果つる迄暮らしたらどうだ?」
つまりDはラミーカを倒す事はしない…と言っています。
貴族は人間程肉親に対しての情は持たないという設定になっています。
この甘い辺りが人間の血をひくダンピール故のものなのかな?
ちょっと血の通ったDが感じられる場面で、短い文章だけれど描写がとても好きでした
城が落ちる頃 「此処に残るのか?」 と聞くD
もし「連れて行って」と言ったら?Dはどうしたんだろう?
お話の展開として絶対無いんだけど(笑)ふと考えてしまいました
何だかお人好しの面もありそうだから(^_^;)渋々連れて行っちゃうか、何処かの古城に匿うかしそうだなぁ。
ドリスが雇った報酬は3度の食事と、ドリス自身。
「俺に抱かれるより、貴族のくちづけの方がましかもしれないぞ」
試してみますか? ←ドリスなら絶対言わない
ダンピールや吸血鬼の設定として、「欲情」というのは「吸血」の事をさすらしく性交渉そのものという場面は一切ありません。
一度だけkissシーンがありますが、それも敵の襲来でその場限り。
う~ん。。確かにDの濡れ場というのは、見たいような見たくないような。。
最後の場面でこの姉弟との別れのシーン
君の仕事は終わったが、俺の用はまだ残っている。早く行け。
それからダンに伝えてくれ・・・お兄ちゃんとの約束を忘れるな、と
。。。
。。。。。
Dーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!!!(大絶叫)
この作品の面白い設定のひとつに、吸血鬼は滅びかけているという事
それでも人間より知恵もあるし魔力も使えるので、数は少なくなっても人間にとっては恐ろしい存在
吸血鬼にとって人間は糧。ただ既に高品質な人工血液は開発されているのです
危険を犯して無理に人間の血吸わなくても、生きて行ける事は行ける訳。
でもやはり養殖モノより天然モノの方が美味という事なのてせしょうか…
おれたちは かりそめの客なのだ
何故かなしげな目をしてその言葉を言うのか。。
左手の謎もDの出生も、何の謎も解かれないままですが
これからゆっくりと、このシリーズを読み返していこうと思います。
はぁ…それにしても格好イイわぁ…
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