パナマンズのブログ ~頑張れ日本のおじさん おばさん~

仙台発 オリジナルジャパニーズレゲエバンドパナマンズの情報他、今考え、今感じることを綴るきまぐれな日記、コラムです。

「ばあちゃん」

2008-04-18 22:34:53 | コラム

3ヶ月前、あんなに元気だった、ばあちゃんは、
病院のベッドの上で、チューブだらけになって横たわっていた。

最後に会ったのは、確か、脳トレの新しいソフトを買って、
もっていってやった時、
「ありがとうね」
そう、何度も言って、涙ぐんで喜でくれた。

俺が家庭を持つことになった時も、
長い長い手紙を、達筆な筆で書いて、送ってくるような
凛としたばあちゃんである。

急に手術をすることになり、今ではもう2ヶ月も、ベッドの上だ。
痛みを取るための手術はしたのだが、その原因となっている癌は、
もう手の施しようもないために、そのまま縫合したらしい。

2ヶ月間、食べ物を口にすることも禁じられていたそうである。
あんなに元気に動き回っていた人が、
体の自由を奪われ、食事さえもとることがでいない。

「なさけない。こんな姿に、なっちゃたよ」

話しかけると、ばあちゃんは、まったく正気だった。
まだ惚けてくれててた方が、まだよかったかもしれない。

彼女は、自分がおかれている今の状況を正確に把握していた。
おそらく、もうこの病院から退院する日が来ないであろうことも
きちんと理解している。

同室の、もう半年間、意識のないじいさんが、うなり声をあげる。
こんなところで、ばあちゃは、生きながらえている。

俺は、仕事の話や、家族の話を聞かせてやった。
涙目の笑顔で、ばあちゃんは、一生懸命に聞いてくれた。
俺は、ケータイで撮った桜の写真と、家族の近影を見せる。

「また来るから」

そう言うと、ばあちゃんは、俺にゆっくりと手を差し出した。

「生きる」ってなんだろう。

「生きる」ってなんだろう。

「生きる」ことって、なんだろう。