みなさん、いよいよ東京オリンピックも終盤に向かってきましたが、いかがお過ごしですか?
五輪ドイツ代表の早期敗退も記憶に残るなか、その前には思いがけず早々とEURO2020を終了してしまったドイツ代表のみんなの姿がありました。
ちなみにこちらは、イングランド戦後のドイツ代表用トレーナールーム。
同じく、こちらは選手たちの控室のフードコーナー。手を付ける選手は少なかったそうです……。
そんな状況のEURO2020ではドイツ代表が予想以上に早く敗退したため、各スポンサーの代表関連の広告物も大々的に宣伝できないまま終わってしまいました。
そのスポンサーに関してですが、ここ数年でDFBの公式スポンサー離れが深刻な問題となっています。コメルツバンクは女子チームに専念する形になり、メルセデス・ベンツは契約を終了。その後継にはフォルクスワーゲンが収まりましたが、2022年にはついに長年のパートナーであったルフトハンザ航空との別れが予定されています。
その次の提携先として、カタール航空の名前が出たのはEURO2020終了すぐのこと。DFBが同社にスポンサー契約を持ちかけたとドイツメディアが報じました。
それを聞いて不信感をあらわにしたのはファンやドイツの人たち。カタールといえば、次回開催のW杯のスタジアム建設のため移民労働者に対する劣悪な労働環境が問題になっており、それに対して各国の代表チームや各クラブが抗議運動を展開しています。
ドイツ代表も3月に行われたW杯予選の際、自分たちで「HUMAN RIGHTS」と描いたTシャツを着用するなどしてメッセージを発信していましたが、それに対しても「それなのにカタール航空と金のために手を結ぼうとしているのか!?」と、DFBの姿勢を批判する人が後を絶ちません。
また、同航空とスポンサー契約をしているクラブは多数ありますが、ブンデスリーガでいえばバイエルンが現在提携中。こちらもルフトハンザからの“乗り換え”組ですが、同じようにダブルスタンダードではないかというムードは今も漂っています。
しかし、クラブの場合とDFBの場合は少々事情が異なり、バイエルンの場合は経営母体が日本でいう株式会社の位置づけにあたる企業のため、ビジネスとしてのグレーゾーンが成立するという面があります。実際、バイエルンはNGOからカタールの雇用問題(この時には労働者の不審死)に対して調査を勧めるよう要請があり、それに対して対外的には「カタールの状況を懸念している」と声明を出しました。……が、調査が進展してるかどうかは依然不明のままです。
さらに年次総会では、人権問題に対する質問等を“NG項目”として執行委員が制定。組織として「国家の範疇に入る」ことや「現在のカタールの人権問題が営利企業の範疇に入ることはない」と決議しています。
…………グレーすぎるやろ……(⌒ ͜ ⌒)
現に複数の選手は人権問題に抗議する姿勢を示していますが、これらは「個人単位での見解」と、これまたクラブはグレーゾーンな寄せ方で“弁明”しています。
まあぶっちゃけ、エネルギーや生産系の面でカタールの恩恵を受けているドイツや各クラブは、大きく波風を立てたくないというのが本当のところでしょうか……(´・_・)
そんなバイエルンとDFBの最大の違い、それはDFBが非営利団体であるというところ。世界最大のサッカー組織でもあるDFBは、あくまでもサッカーを通じて社会貢献をすることが大前提であり、人権問題に取り組む選手の姿勢を見せながら、資金のために人権問題が改善されない国の企業と提携するのは矛盾していると指摘されているのです。
これらの報道を受け、7月16日にはアブドゥラ・モハメッド・アルタニカタール大使(写真)がベルリンでコメントを出しました。「報道にあったようなカタール航空とDFBのスポンサーシップ協議は行われていない。DFBから提携の要請があったことは確認しているが、それに対して同航空は返答していない状況だ。同航空は、現段階では交渉に対する検討はしていない。いま、ドイツ国内の世論に関しては虚偽の内容に基づいているため、驚きを隠せない」と表明。
あくまでもこれは「現段階」の話としてのコメントですが、今後もし提携に関する話し合いが持たれた場合はどう収束させるのか、注目が集まります。
さて、そんなカタール航空ですが、個人としては何度かドイツへの旅のときに利用しています。機内で出てくるプラカップも、伝統模様があしらわれていてオシャレ♡
機内食はエコノミークラスでも十数種類ある特別食メニューのオーダーが可能。事前に公式サイトから申し込む必要がありますが、アレルギーや疾患対応食、宗教に配慮したメニューなどさまざまな種類のミールが揃えられています。機内ではむすくみやすいので減塩メニューやローカロリー食にするなど、体調を整えるためにも利用できますよ(*´ڡ`●)
こちらは実際に注文したローカロリー食のプレート。脂を落としたチキンがメインで、見た目よりもあっさりした味でした♡
ちなみに特別食は通常の配膳よりも早く配られることが多く(そのため、先にアテンダントさんが席に来て確認してくれます)、あつあつでいただけるという利点も。
そしてカタール空港でローカロリー食を選んだとき、朝食に出てくるこれ!!!
おそらくドイツのミルヒライス(日本の牛乳ご飯的なものですが、好き嫌いが分かれる味だと思います)をイメージしたミールだと思いますが、これがまた形容詞しがたい味なんです。毎回食べるたびに「ああぁ~(◎∀◎)」と声が出そうになるのですが、なぜかクセになる味。ついつい、いつも頼んでしまうのです。°(^∀^)゚。
コロナのせいで最後に海外便に乗ったのは2019年の冬ですが、カタール航空はほかの会社に比べて就寝タイムでもドリンクサービスが定期的にあるなど、機内での過ごしやすさは至極快適でした。
また、ドイツに直行せずカタール空港を選ぶのは……この夜景が見たいから♡ アジアの広大さを堪能しながらゆったりと過ごせるひとときです。
そしてドーハで乗り換え、フライトと同時に眼下に現れるこの景色! ジオラマかと見まごう姿に圧倒されます。
……と、カタール航空の話になりましたが、話題を戻しましょう。
新スポンサー問題とあわせて話題になっているのが、現在ドイツA代表の呼称として使用されている「Die Mannschaft」に対するファンの拒否感の問題。
このネーミングは2014年W杯優勝後に生まれたもので、そのねらいは「ブランディング力の強化」。当時、ビアビア(オリバー・ビアホフ独代表チームマネージャー)らが構想を練り、フランスの「レ・ブルー」やスペインの「ラ・ロハ」のように、これまでドイツにはなかった固有名詞レベルになじむ愛称を生み出そうとしたのです。
…………が、
皮肉なことにネーミングを変更してからのドイツ代表の衰退の一途はごらんの通り。唯一コンフェレデーションズカップで優勝したのを除き、ほぼ壊滅的な戦歴を残すことになったのは、このネーミングにこだわったマーケティング陣に問題があるのではないかという声もこれまで度々あがっていたのです。
その結果もあり、あえて呼称をブランド化するということに対して疑問の声をあげる識者やサッカー関係者、ファンの人も少なくなく、そのうえカタール航空との話題が知られることにより、一層火に油を注ぐかたちとなってしまいました。
ついには現在、DFBの暫定会長ペーター・ペーターズ氏(写真)が「カタール航空とのスポンサー契約の可能性や代表チームの現状についての議論に関係なく、新しい代表監督との始動に合わせ、さまざまなリスタートを考える機会としてとらえている」とコメント。とはいえ、コメント程度ではファンが納得しないのも当然のことで、SNSでは「DFBはカネのことしか頭にない集団に成り下がった」というニュアンスでの批判が後を絶ちません。
そんなドイツ代表ですが、新監督のハンジ(ハンス=ディーター・フリック ドイツ代表監督)とともに“新生・ドイツ代表”として公に姿を現すのは、2022ワールドカップカタール大会の予選が行われる現地時間9月2日のリヒテンシュタイン戦。
できればそれまでにスポンサー問題とネーミング問題にけりをつけ、身も心もすっきりとリスタートを切ってほしいと願います。
では、また☆☆☆☆
【おまけ】
スポンサー関連といえば先日、EURO2020のリポーターとしてARDと契約を結んでいたシュバイニィ(バスティアン・シュヴァインシュタイガー氏)ですが、ハーフタイム中に広告違反行為にあたる私物の投稿をSNSで複数展開。それらはすぐにARDの知るところとなり、きついお灸が据えられたのだそう。
結果的にお叱りを受けただけで契約は続行されるとのことで、今後も( ´、U`)のリポーター姿が見られるのでひと安心……かな?ε-(´∀`*)ホッ
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女性カメラマンによる白と黒の静謐な世界で表現された、2012年のEUROの記録。 レジーナ・シュメケン著 |
Hatje Cantz Verlag Gmbh |
2014年W杯のドイツ代表を完全記録した写真の豪華装丁版。 |
Edel |
2014年W杯のドイツ代表を完全記録。 |
Edel |
2010年W杯メンバーによる写真集。 エレン・フォン・アンワース著 |
Zeitgeist Media Gmbh |