以前約30年程住んでいた町から、
友人が紅く化粧をした滝を見に来ると連絡があった。
勿論 異性の友達です。
彼とは色々なストーリーがあり、絶縁状態の続いた後、
人間として付き合える関係になった。
男と女は…終わった。
嫉妬も…終わった。
旅費も食事も割り勘で、我が家に泊めても…なんてことは無い。
80歳を超えた男性が100歳の寝たきりの女性を強姦したニュースを見た時
「若いね~」と半分侮蔑の気持ちで見られる位、
私と彼の精神年齢は不詳の付き合いです。
彼は未だシルバー人材に登録して
1日4時間の労働をしているので連休を取るのは簡単ではないようで
暇な私が合わせるようにしている。
昨日、彼は前日遅番の仕事を終え帰宅後すぐに寝て、
朝食も摂らずに特急電車でやって来た。
私はお昼のお弁当とお茶を用意しリユックに詰める。
コロナ封鎖解禁の秋は観光客で混むので宿は取らず、
夕飯の鍋の用意をしておいた。
彼の寝る布団も敷き、準備万端で駅に行き彼の到着を待つ。
フリーパスのバス券を2枚買い、勿論割り勘で。
まだ紅葉には早い綴れの坂道をバスで昇って行く。
バスの中は半分以上いや三分の二は日本人以外だった。
私達は去年も行った大きな滝に向かいバスを降り坂道を歩く。
去年より、足腰が重く、息苦しいが
敢えて言葉にせず…二人とも同じ思いだったようだ。
「来年は この坂道あるけるかな?~」どちらともなく弱音がでた。
「うん!寿命が1年でも10年でも構わないけど、寝たきりにはなりたくないよね~」
そんな会話で、胸の動悸に堪える。
滝の良く見える茶屋でキノコ汁を買い、自前の栗ご飯を食べる。
味が薄い??
いつかテレビのミステリードラマで見たアレだ!!
標高によって味の感覚が変わるって・・・。良い体験だった。
一時を過ごし又バスを待ち終点まで向かった。
そこは 「温泉寺」で
知る人ぞ知るひなびた一間四方の木の浴槽に硫黄の白濁湯の源泉が流れている。
私の友人で山女がいるが、
彼女は学生時代から50年近く近隣の山は勿論、
山小屋に寝袋で雑魚寝する醍醐味を
経験して、この温泉寺も彼女に一度連れて来て貰った場所。
セメントの洗い場には木のすのこが何枚か敷き詰めてあり、
硫黄の匂いが一層レトロ感を感じされる。
あつあつの風呂で、洗い場で何度も体に湯をかけ、
そろそろと湯舟に浸かると体のあちこちがかゆくなってくる。
自宅では、シャワーと半身浴で
ボディソープでささっと流すだけなので、何とも異空間の入浴が楽しい。
彼は初めてなので、タオル等は私が用意してきた物を渡し、
熱いからね!慌てないでね!何度も念を押した。
彼は20年程前に心筋梗塞を起こし、
ずっと通院しているので 発作だけが心配だったが
レトロな硫黄泉が可成り気に入ったようだった。
近くには、登山やスキー客が宿泊するこじんまりした宿がいくつも有る。
「この辺の宿は皆 硫黄泉かな? 宿は高いのかな?」
独り言のように呟いている。
来年は・・・・なんて夢はせているようだったが、
鬼が笑うので私は無言でスルーしていた。
こうして 小旅行の目的を達した。
帰りのバスは始発だったので悠々座れたが
多分200%の乗車率だったと思う。
私達の座席の前は車椅子の留め具が入って居るスペースがあり、
普通に考えればリュックや手荷物を置く場所。
しかし、金髪で体格の良い白人の中年女性は
なんと、その空間に飛び乗って座り込んでしまった。
連れは居ない様だった。
薄手の衣類からシルエットがむき出しで
つき立ての餅の様に
ポニョポニョした大きなヒップが半分はみ出している。
彼女が足を延ばすと私のジーンズの上に届くので、
彼女は片手で足を抑え込み窮屈な姿勢で
綴れの坂道を降りるバスに身体を預けている。
ひょっとして、私の上に落ちて来ないかな?
…不安だった。
私も彼も障害者手帳持参者なので席を変わってあげるゆとりなど無い。
彼女は 終点近くなった宿泊施設の多い所で無事下車したので
私達は顔を見合わせて頷きあった。
もし私が海外旅行をしたら、あんなふうにはでいない。
旅慣れているのか?
遠方より来る旅人の生活の一つの習慣なのか?
終戦直後の列車に、
日本人が窓から乗り込む白黒写真を連想する。
こんな出来事が旅の良さなのかもしれない。
我が家に着き、用意ししてあった鍋を火にかけ
熱々の食事をしながら話は尽きなかった。
遠方より来る友人はそのまま眠り、
今朝鍋の汁で作った雑炊を食べて帰宅路についた。
今朝スマホを見ると、気温7度C。
夜中から降り始めた雨で晴天時には見える
昨日出かけた連山が雲の中に隠れ
一機に冬到来だった。
先月までクーラーだったエアコン
今朝は暖房設定で付けた。
今年も残りの日々を指折り数える時になった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます