空が青くて広い、ということを、どれだけの人たちが覚えているだろうか?
「ここではないどこかに行きたい」
と、思う。それって、多分私だけが感じてたことじゃないと思う。新しい環境に慣れていくと、段々ソレが風化していく様な、つまらなくなっていくような、そんなことが心のどこかで起きているんだろう。そういう場所に、大きくて黒い隕石がドカーン!と落下して、急にもうダメだ!ってなって、とにかく逃げ出したくなって、いても経ってもいられなくなる。そんな瞬間がある。
光を揺らすカーテンが私の目を覚ます。時計の針は9時前で停滞している。私は何かに引っ張られるように、身支度を素早く済ませたかと思うと、すぐさま外へと飛び出した。持ち物は、貴重品、飲料水、そして本。とにかく、出来る限り少なくしたかった。本当は、日曜日だから教会に行って礼拝を受けたかったけれど、(今だ、今行かないと行けない、午後になったらきっと私はまだ「ここにいる」)と思ったから、電車に揺られていることを決して後悔していなかった。電車の中の気分は最悪、最低、どん底だった。でも、それでも細い細い希望のようなものが心の中に太く確かに存在していて、それに、心を預けるしかなかった。そして私は名前に惹かれたある街で降りて、気が向くままに歩いた。可愛い雑貨屋さんも、お菓子屋さんも、家具屋さんもまだ閉まっていたし、何か人生を変えるような映画に出てくるみたいなお店はなかったけれど、それでも、なんだか私にはその街が新しく映った。そして驚くことに、私はそこで知らない教会の門を叩いて結局礼拝に出ることができた。お話も、教会の人たちも、みんな優しくて、私は家を飛び出したことへの不思議さを感じた。
その街から、私はまた、もっと遠くに行かなければ行けないと思った。そしてまた電車に乗る。昼食は済ませていたから、何だか眠くて、私は電車の中で眠った。終点につくと、私はまた乗り換えて、その電車の終点へと向かった。駅のホームを出ると、そこにはちょっと冷たい空気と、遠くには金柑色の太陽。すこし歩けば、大きな大きな公園に芝生が広がっていて、犬が走り回ったり、少年たちが野球をしていたり、義足をつけた人が歩く練習をしたりしていた。ある女の子が、そこに寝転がっていたから、私も、少し遠くで寝転がってみた。そうしたら、私は驚いた。そこにはビルも電線も人も映らない、果てしなく思えるほど青くて、青くて、澄み続けている空が広がっていたのだ。当たり前なはずの空の大きさと広さは驚きとなって全身を駆け巡って、私に笑いを込み上げさせた。(そうか、私はこの空の下に生きていたのか、それに気づいていたなかったのか、こんなに近くにあったのに。私は何をしていたんだろう)と思うとなんだか今までのことも今も、自分という存在も、全てが可笑しかった。
あの頃に戻りたい、とは思わない。思わないようにしているだけかもしれないが…。雲が流れていること、星は在るということ、葉っぱは一つ一つが違っているということ。それに気づいていたあの頃の私も、今の私も、同じ私だということを忘れてはいけない。また今日もそいつは私を押さえつけるけれども、私はその度に空は青くて、青くて、無限に広いということを思い出したい。それだけが、私の願いでも良いと思える程に。
「ここではないどこかに行きたい」
と、思う。それって、多分私だけが感じてたことじゃないと思う。新しい環境に慣れていくと、段々ソレが風化していく様な、つまらなくなっていくような、そんなことが心のどこかで起きているんだろう。そういう場所に、大きくて黒い隕石がドカーン!と落下して、急にもうダメだ!ってなって、とにかく逃げ出したくなって、いても経ってもいられなくなる。そんな瞬間がある。
光を揺らすカーテンが私の目を覚ます。時計の針は9時前で停滞している。私は何かに引っ張られるように、身支度を素早く済ませたかと思うと、すぐさま外へと飛び出した。持ち物は、貴重品、飲料水、そして本。とにかく、出来る限り少なくしたかった。本当は、日曜日だから教会に行って礼拝を受けたかったけれど、(今だ、今行かないと行けない、午後になったらきっと私はまだ「ここにいる」)と思ったから、電車に揺られていることを決して後悔していなかった。電車の中の気分は最悪、最低、どん底だった。でも、それでも細い細い希望のようなものが心の中に太く確かに存在していて、それに、心を預けるしかなかった。そして私は名前に惹かれたある街で降りて、気が向くままに歩いた。可愛い雑貨屋さんも、お菓子屋さんも、家具屋さんもまだ閉まっていたし、何か人生を変えるような映画に出てくるみたいなお店はなかったけれど、それでも、なんだか私にはその街が新しく映った。そして驚くことに、私はそこで知らない教会の門を叩いて結局礼拝に出ることができた。お話も、教会の人たちも、みんな優しくて、私は家を飛び出したことへの不思議さを感じた。
その街から、私はまた、もっと遠くに行かなければ行けないと思った。そしてまた電車に乗る。昼食は済ませていたから、何だか眠くて、私は電車の中で眠った。終点につくと、私はまた乗り換えて、その電車の終点へと向かった。駅のホームを出ると、そこにはちょっと冷たい空気と、遠くには金柑色の太陽。すこし歩けば、大きな大きな公園に芝生が広がっていて、犬が走り回ったり、少年たちが野球をしていたり、義足をつけた人が歩く練習をしたりしていた。ある女の子が、そこに寝転がっていたから、私も、少し遠くで寝転がってみた。そうしたら、私は驚いた。そこにはビルも電線も人も映らない、果てしなく思えるほど青くて、青くて、澄み続けている空が広がっていたのだ。当たり前なはずの空の大きさと広さは驚きとなって全身を駆け巡って、私に笑いを込み上げさせた。(そうか、私はこの空の下に生きていたのか、それに気づいていたなかったのか、こんなに近くにあったのに。私は何をしていたんだろう)と思うとなんだか今までのことも今も、自分という存在も、全てが可笑しかった。
あの頃に戻りたい、とは思わない。思わないようにしているだけかもしれないが…。雲が流れていること、星は在るということ、葉っぱは一つ一つが違っているということ。それに気づいていたあの頃の私も、今の私も、同じ私だということを忘れてはいけない。また今日もそいつは私を押さえつけるけれども、私はその度に空は青くて、青くて、無限に広いということを思い出したい。それだけが、私の願いでも良いと思える程に。
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