少女

2006-01-13 21:53:41 | その他
街を歩いていると実に様々な人間とすれ違う。

先日、僕の行く先からこちらに向かって歩いてくる少女がいた。彼女は小学校2,3年生といったところだろうか。黄色い通学帽を被り、背中には赤いランドセルを背負っていて、まぁよく見る下校風景である。しかし彼女の手には不思議なモノが握られていた。

コーンバー。

工事現場で黄色と黒のシマシマの棒を見かけたことはないだろうか。アレである。踏切の遮断機のような両端に輪っかのついたあの棒である。

なぜ少女がそんなコーンバーを持っていたのだろうか。

小学生の持ち物としては明らかにおかしい。授業でコーンバーはまず使わないだろう。これで少女が黄色いヘルメットでも被っていれば「あぁ、現場作業員か」と納得がいく(余計に謎が深まった可能性もあるが)。しかし彼女が被っていたのは黄色は黄色でも通学帽のほうだった。

様々な仮説が僕の脳内を遍く駆け巡る。

少女はコーンバーでリレーのバトン受け渡しの個人練習をしようとしていたのではないだろうか。チームワークを大切にする、甚く責任感の強い少女である。もしくは少女の趣味が土木工事で、そのためにコーンバーがどうしても必要だったのではないだろうか。頗る健気な少女である。

しかし現実性という観点からどれも説の力はかなり弱い。

その時、ある経験を思い出した。

僕は何年か前、ある飲み会がお開きになった後、酔っぱらって工事現場のカラーコーンを持って都心をウロウロしていたことがある(正確に言うと後に友人から聞いた話だが)。まさにこれなのではないだろうか。

酔っぱらいというのは何かとモノを動かしたがる。それはアルコールの摂取量に比例して巨大化していく。以前ベロベロに酔ったサラリーマンが自販機を持ち上げようとしているのを僕は見かけたことがある。そういうことである。

きっとあの少女は酔っぱらっていたのだ。彼女はぐでんぐでんの状態で下校途中にコーンバーを見つけ、そのまま持って帰って来てしまったのだ。これならばすべての辻褄が合う。

果たして彼女の通う小学校では給食に焼酎でも出るのだろうか。


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