花巻市総合体育館の第3アリーナオープン記念として開催された府中アスレティック戦には花巻市在住の60歳以上の方及び小学生が無料招待され、真新しい体育館の観客席は1410人もの人々で賑わった。
連敗が続いているとはいえ、「徐々にゴールのにおいがしていた」と相根監督が語っていたように、開始5分の後呂のPKはもちろんだが、後半の裏へ抜け出しての内村、そしてキックインからの清水の得点は見事であった。そして試合終了直前、金井のパワープレー返しのダメ押し点も決まり、合計4得点ものシーンが目の前で繰り広げられたことで、観客席は興奮のるつぼと化していた。
突然『説明しろ!』との声が記者席の後ろから聞こえた。FKの場面であったが、記者は「大相撲じゃないんですから、“ただ今のプレーは・・・”なんてことはないですよ」と言ってあげようかとも思ったが、これもフットサルを見に来てくれた人の率直な気持ちの表れかと思う。相手がファウルにより一人少なくなり5人対4人になると、『どうした!?』とか、その場面で花巻のパワープレーが始まると『なんでゴール守らねんだ!?』など、記者席の周りはこれまでの試合では聞こえてこなかった様々な声が飛び交っていた。
後半同点に追いつき、そして逆転し、負傷した花巻GK伊藤の代わりに冨田が出場し、再三のピンチを神懸かったプレーで防ぐと、サポーター席の盛り上がりはピークに達した。相手のシュートを防ぐと『オ~!』、花巻のシュートが惜しくも外れては『ア~!』、最初はじっと見ていたおじいちゃんおばあちゃん達もいつしか手をたたいて応援に夢中になっていた。
白熱した試合が終わる頃には、外は雪が降りそうな冷たい風が吹き荒れていた。
だが、おじいちゃんおばあちゃんと手をつないで帰る子供達は、きっと「また見に来ようね」と話しているに違いない。