めまいで起きられなかった日より前から。
具合が悪いことを理由に、ごろごろ横になってばかり
だったのが、よけいいけなかったのかもしれない。
(だけどしょうがないもんね)
マッサージもやってもらった。「詩のボクシング」の
時なんか、長時間坐ってなきゃいけないというので
「腰痛グッズ」持参で行った。
このころはまだ、「まあ、腰痛なんかしょっちゅうだし、そのうち
治るだろう」という油断があった。
日曜日、電車とバスを乗り継ぎ、母のいる施設へ行った。
百段近い石段を上り下りした。
またバスで戸部へ戻ってきた時、魔が差した。
そういえば戸部にあるという岩亀横町というところへ、
一度行こうと思いつつ、まだ行ってない。
この日は腰こそ少し痛かったものの、風が涼しかった。
これからどんどん暑くなることを思えばチャンスではないか。
交番で場所を尋ねた。その時、思ったより遠いのではないか、
という予感はした。けれども行くと決めたんだからと歩き出した。
遠かった。戸部の駅はだんだん遠ざかり、ランドマークタワーが
近づいてきた。
戸部というより桜木町最寄りじゃないの? これは。
ようやく岩亀横町に着いた。店はほとんど閉まっていた。
路地の奥にある岩亀稲荷にお参りした。昔、体を壊した
遊郭のお女郎さんのための療養所がこのあたりにあったという。
岩亀稲荷

問題はそこからだった。桜木町駅へ出ればよかったのに
野毛へ出ようとして道に迷った。
じんじんと痛みを増す足腰、じわじわと滲む汗……。
このダメージは大きすぎて、翌日、マッサージを受けたにも
かかわらず完治しなかった。
それから毎日、会食続きで、椅子に何時間か腰掛けてないと
いけなかったのも問題だった。
そして極めつけはおととい、ネット通販で申し込んでから
二ヶ月余りたってようやく届いた扇風機。
充電可能で夜間電力を使えるし、LEDライトはついてるし
上下左右に首振るし……となかなかすぐれものなのに、安い。
だから人気商品だったらしいが、ショックなことに私がもっとも
苦手とする組み立て式。(ちゃんと確かめるべきだった……)。
これも安い要因なのだろう。
組み立ての図解を見ると、めちゃめちゃ簡素だった。
これならできるかと思い取り組んだのだが、案の定……。
しゃがんでの作業だから、いつのまにか腰は限界に達していた。
痛みに耐えきれず、ばらばらの扇風機をそのままにしてベッドへ。
翌日、友人のリリーさんの息子、Jくんが来てくれた。
「あ、簡単そうじゃないですか」
図解を一目見たJくんが呟く。
「あのね、ユーチューブにそれの組み立て方が出てるのを
見つけたの。そんなものがあるっていうことは、けっこう
難しいんじゃない?」
「大丈夫ですよ」
と言ってたJくんも、その後すぐユーチューブを見るはめに。
前後の扇風機カバーを、細いビニール紐みたいなので合体
させるのが、腹立たしいほどやりにくいのだ。
しかしJくんは頭にタオルを巻きながら、粘り強く頑張って仕上げてくれた。
これが完成品。

で、いざ電源を入れてみると……。
羽根はちゃんと回るのだが、羽根を取り付けてある部分が、なんとも
頼りなげに揺れる。「カクカク」という音さえする。
そこは私が前日組み立て、「あ、大丈夫、それはちゃんと
できたから」と、そのまま、Jくんの手を入れずに先へ進んでしまった部分。
遠からず「カクン」と羽根ごと落ちるであろうことは目に見えている。
けど、そこをやり直すには、またカバーを外さなければならない。
外したら、再びあの苦労を繰り返して付け治さないといけない。
いいからこのままにしておこう、という結論に達した。
「生まれながらに障害のある扇風機」だと思えばいい。
で、腰はといえば、今日になっても治らない。
こういう緊急事態は、なぜいつも土日にあたってしまうのか。
明日はなにがなんでも近くの整形外科へ行くしかないだろう。
ちなみに、この程度の暑さでは、まだクーラーも扇風機も使わない。
インドメタシン塗りまくり、固い腰痛ベルトを巻いて、汗を流しながら
寝転がっている。