のびのびのぶログ

水彩画や好きな音楽について語ります。なんでも伸び伸びと書いていきます。でも忙しくて更新が延び延びになるかも。

やっと出会えた

2014年08月23日 23時28分10秒 | 水彩画
                 Alfred William Parsons / Atumn in HAKONE  

 4日前に痛めた腰をさすりながら、8月24日まで開催の展覧会に行ってきました。「郡山市制施行90周年・合併50年記念事業 キュー王立植物園所蔵 イングリッシュ・ガーデン 英国に集う花々」です。イギリスさまざまな作家が、植物画を描いたコレクションの展覧会です。一通り企画展を鑑賞した後、せっかくなので常設展ものぞいてみました。郡山市立美術館は、何度も通っているので、常設展は何度も観ています。でも、コレクションの入れ替えでいつもは見られない絵が展示されていることがあるので、それを目当てに覗いてみました。
 すると、おなじみの絵画の中にありましたよ。ずっとずっと実物をみてみたいとあこがれていた水彩画が・・・。それは、「Alfred william parsons/箱根の秋」です。明治時代に日本にやってきて、日本の風景を描いたり、日本人にいわゆるwatercolourを伝えた人ですね。webでは見たことがあったのですが、実物を間近でじっくり鑑賞しました。すると、空の描き方、遠景の描き方、近景の描き方が大変勉強になりました。雲の白と、すすきの白の統一感。遠景でのウルトラマリンあるいはコバルトブルーやバイオレットの重ね方。雲のぼかしとハードエッジ。すすきの穂の塗り残し。など「スバラシイ」の一言に尽きます。構図はインターネットでも鑑賞できるのですが、実際の絵の具の載せ方などは実物をじっくり鑑賞することによってすばらしさを再確認できました。
 今日は、あこがれていたマドンナに再会した気分です。

 今日の展覧会を見て、18世紀から19世紀にかけてイギリスの水彩画における細密画は、完成しており、その緻密さにかけては、目を見張るばかりでした。王立植物園肖像画家の実力がよく分かりました。まだまだ自分の水彩画なんて足元にも及びませんね。ただこれだけ完成してしまうと、それ以上のものにはなかなか到達できませんね。自分が英国のアーティストだったら、別な戦力で絵を描くでしょうね。色形緻密さのバランスが完璧なのですから。そこで、色や形に特化した作品や物自体を描くのではなく、そこに思いを加えて表現した作品などを描くようになるのでしょう。見たとおりに描けるけど描かない、あるいは描く必要なんてない。「描けるけど・・・」ここ意外と大事な気がします。ピカソがそうですね。ピカソ風に描いた落書きとピカソの絵を比べて一見見分けがつかないようですが、落書きは価値のないただの落書きでしかないのです。また、いくらゴッホ風に絵の具をぶちまけて描いても、価値のないただの油絵です。形は少々デッサンが狂っていようと気にしない。ゴッホは色をきちんと計算しておいていました。補色関係の色をたくみに使って・・・。自分の奥さんになにを求めて結婚したのか。完璧な容姿と完璧な内面・・・。確かに万人が認めるような素敵な人もいるでしょう。そんな人はいても、やがて魅力が薄れてしまうことでしょう。人それぞれ人間は好みが違うからです。絵を見る側の価値観が変化するに連れて、表現者も表現方法も多様になってきました。よい絵悪い絵という言葉では、もうどうにもならない世界です。私は、西洋画の近代絵画へ、そして現代絵画へとつづく絵画の歴史の一コマを垣間見、そんなことを考えながら美術館を後にしました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿