のびのびのぶログ

水彩画や好きな音楽について語ります。なんでも伸び伸びと書いていきます。でも忙しくて更新が延び延びになるかも。

TV視聴録 洗脳って怖い

2014年08月23日 09時22分32秒 | 日記
 版画別刷りです。

 
 昨夜たまたまテレビをつけると、金スマでX-JAPANのToshiさんの洗脳についての番組が放映されていました。彼は、12年間マインドコントロールされ、奴隷のように毎日暴力におびえながらセミナー主催社者と元妻に稼いだ金を上納していたそうです。10億円というから我々庶民とはケタ違いですね。幸い今はある方との偶然の出会いをきっかけに抜け出すことができたようです。よかったですね。
 さて、視聴後私も似たようなことがあったなと思い出しました。大学を出て、ある金融機関に就職したのですが、そこの理事長が前理事長の息子で40代で若くして理事長に就任。成果至上主義で、東京から経営コンサルタントを高い金を出して招聘し、各支店から職員を集めて研修させ、ノルマを課し、生成をあげたものを昇給させるという経営をしていたのです。何も知らずに入った私は、毎日「何か違うなと」思いながら悶々として働いていました。
 入職初月、私には教育係のK主任がつきました。得意先回り係となった私は、原付バイクでK主任について仕事を覚えようと必死でした。毎日9時、10時までの仕事、ある時は、朝方の4時までやって、やっと帰宅し、8時半には出勤するなんてこともありました。そんな時K主任は、「これを見てみなさい。研修でもらったビデオだぞ。」と言って「天秤の歌」という丁稚奉公が苦労をしてやがて番頭になるというビデオを貸してくれました。またその時の支店長は、38歳で、大抜擢で意気揚々とやってきた人でした。理事長の息がめいいっぱいかかった若造がいきなりやってきて、地道に地域で頑張ってきた二人の次長に思いっきり上から目線でダメ出しを繰り返します。今思えば、セミナーで職員を洗脳し自分の思い通りに動かす。また、成果を上げたものはどんどん登用する。のようなことだったのかと思います。納得ないかない私は、銀行員だった父に相談すると、「そういうやり方は、長続きしないな。」と答えました。父が若いころは、地道に1件1件商店街を歩き、御用聞きをやって信用を得、やがて大きな取引もできるようになる。そうして得た信用は簡単には崩れないし、何かミスを犯してもお客さんがかばってくれたものだそうです。当時各支店には、キャンペーンというのがあって本部からの指示に従いその日の預金高を報告し、順位を付けられます。支店長は成績を上げるためにゲキを飛ばします。しかし限られた顧客でそうたやすく預金量など増えません。ではどうするか、得意先係は、一度集金を終えた後、もう一度夜商店主のところへ行って売上を入金してもらいます。「明日問屋に支払うお金だから明日下ろすことになる。」などと断られますが、「お手間はおかけいたしません、また明日払い戻してお持ちいたします。」などと言ってあずかってきます。また、もっと預金を増やす方法には、借金をしてもらいます。会社の経営上いつも都合をつけて融資している顧客に頼み込んで、キャンペーンに合わせて融資してもらい、支払期日までは預金として入れてもらうのです。これは一気に預金高が上がります。しかしよく考えてみるといずれも見せかけのものです。その時は一気に成績が上がりますが、ある日一気に預金高は下がります。下々にとっては、夜中まで駆け回った末の空しい努力です。
 私も、こんなこといつまでも続けているのは人生の無駄だと考えるようになりました。先輩方の中には退職する人や、もう諦めて得意先回りをすると言って出かけ、喫茶店や車の中で過ごし、遅くに帰ってくるという人も知っていました。
 そこで私も退職することにしました。本当に人々のためになることをやり、感謝される仕事がしたいと思いました。経済学部出身でも教員になれるということを知り、教員員免許を取得し、採用試験を受けて今の職に就いたのです。

 番組の中の最後にToshiさんは、「人間はいつでもやり直しがきく」と言っていました。その言葉は実感として私の心に響きました。それに付け加えて私は、「人生に無駄なことなんて一つもない」と言いたいと思います。一見無駄なように思えた銀行員生活でしたが、教員にとって大切な経験もたくさんありました。「地道な活動で得た信用」は、教員になってからも私を助けてくれました。慎重なようで大きなミスをする私ですが、ありがたいことに保護者の方が支えてくれます。ここぞという時にパワーを集中し発揮するのは、あの忌まわしいキャンペーンを経験したからかもしれません。
 


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