オメガねこ

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「接触率」 と 「衝突率」 ②

2020年05月17日 | 科学

 この補足の55ページと56ページの「5.考察」以外の留意点は、年齢は変化しない(非感染者は感染しない)事を前提にしている事と、人には大きさが無い(空気感染するとしても半径2M以上の大きさが有る事を無視)、接触と衝突の違いが無い事、等です。

 3ページの式(2.3接触頻度の算出ロジック)は文字化けしていて正確には読み取れないのですが、推定した式で私の解釈を簡単に書きます。違っていたら、コメント歓迎です。

(接触回数)=
[Σmesh,h=1~H] [Σ時間,z=1~Z] (集団iの人数)X(集団jの人数)/[Σmesh内集団nの人数,n=1~N]

mesh(メッシュ)数を1ヶ(H=1)とし、1時間(Z=1)で考えると、最初の二つの【Σ】(総和)が消えます。N=4とし、nは1、2(i)、3(j)、4の4集団で総人数は100人とするサンプルにします。

10才:10人(集団1)
20才:20人(集団i)
30才:30人(集団j)
40才:40人(集団4)

分母内の【Σ】はメッシュ内の全集団の総人数なので「100」です。そうすると、20才(集団i)と30才(集団j)の接触回数は

20X30/100=6

で、20才の人と30才の人が接触する回数は6回になります。と云うよりも「6回と仮定」して、其々の人数を変更した場合の接触回数の変化を比較する為の論理式なので、接触回数の数字そのものには意味がなく、比較の基数に利用します。


 そう云う事で、今回のウイルス感染を例に考察します。ここでは前後の比較をするだけなので、メッシュの面積や時間は定数であれば何でもよく、書く必要は無いのですが、イメージしやすいように、札幌ドームの中で1日(24時間)自由に動き回ることにします。また、ドームの外には最初に入ったサンプルと同質の日本人が、その性質を保持したまま無数に存在すると仮定します。この場合は「感染率1%の日本人」です。

最初のドーム内の総人数を100人とすると、感染者は確率の上では1人なので、

感染者 : 1人(集団i)
非感染者:99人(集団j)

で、

1X99/100=0.99≒1

になり、「感染率が1%の場合の単位区域・単位期間の総人数が100人の時は接触回数が1回」となり、1日過ぎると感染者は2人に増えて、感染率は2%になります。そして2%時の接触回数は、

2X98/100=1.96≒2

で計4人が感染者になります。これを繰り返し、感染率が50%の場合に接触回数が最大になり

50X50/100=25

で、1日後の感染者総数は75人になります。以降は非感染者も少なくなり、新規感染者は0に収束します。

 ここで問題になるのが、感染率が1%のままで密度が変化した場合です。例えば、札幌ドームに200人を詰め込んだ場合、感染者は2人なので

2X198/200=1.98≒2

同様に400人~1000人~では、

4X396/400=3.96≒4


10X990/1000=9.9≒10


と、密度に対して感染者は直線的に比例します。実際には人には大きさが有り、密度の限界になると動けなくなって、感染者に直接接触している人以外は感染しない事になりますが、それはさておき、密度が2倍になると接触回数が2倍になる事を、この式は主張しています。

 ここで、ソーシャルディスタンスを2Mとすると、各人の約12平米が感染可能領域(Wk)になります。この「Wk」同士が接触する事を「衝突」と定義します。ドーム内の密度が2倍になると、衝突が無い状態では「Wk」の総面積が2倍になる事が解ります。上記の式では「大きさが無い時で、密度が2倍になると接触回数は2倍になる」事を示していて、現実には衝突面積も2倍になる事から、「2X2=4」となり、衝突回数は密度の二乗に比例する事が判ります。

常識的にも「動体の衝突率は密度の二乗に比例する」と云うのが「定説」です。

 但し、一方通行の歩道の場合は全体が同じ方向に同様に移動しているだけなので「静的接触」と考えられ、最初の比例式が利用でき、スクランブル交差点の場合は複雑すぎて(私には)計算できません。ここでは、歩道などでの対面通行を基準にして考えると、密度が2倍では「動的接触」は2倍になり、更に隣接者との距離が二分の一になって感染率が2倍になる(とする)と、合わせて感染確率は4倍になります。

 結論としては、「静的接触回数は密度に比例する」と言え、「動的衝突回数は密度の二乗に比例する」となります。

 但し、近接した状態での感染率は、距離の二乗に反比例すると思うので、濃密の場合は違う論理式が必要になります。

 また、これは飛沫感染での計算であり、「モノからヒト」による間接感染は考慮していないので、今回の「SARS-CoV-2」には当てはまらないと思います。

 「接触率 と 衝突率」、「接触率 と 衝突率③」、「接触率 と衝突率④」に関連記事があります。



3 コメント

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Unknown (goodbird)
2020-05-17 12:43:55
ありがとうございます!!!!
まだ完全に理解できていませんが、だいぶ分かってきました。
私も具体的な数字を当てはめて、感染症流行モデルにおける接触頻度はこうじゃない?というのを及ばずながらやってみたいと思っております。
そこで1点だけ、二乗にするためには右辺を二乗にするだけで良いのでしょうか? ご教授頂けましたら大変ありがたいです!

p.s. それにしても良く考えたら、接触8割減の文脈で70代以上の方と70代以上の方の衝突回数の現象率が-6.9%とか出すのは、いくらなんでも愚が過ぎると思いますね。厚労省にも以前一律8割減のように受け取れるアナウンスはおかしい!と苦情を言うには言ったのですが、無視されてますね。
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Unknown (yk-soft-85)
2020-05-17 14:03:14
goodbirdさんへ。

接触回数そのものが、実際に起こり得る実数ではなく「比較の為の単なる数値に過ぎない」と理解できる説明が有れば、単に「右辺を二乗」すれば理論的には(この場合は)解決します。

「接触回数」と書けば、普通の人は実際に接触する回数と勘違いします。単なる「確率計算の基数」である事を説明する必要が有ると思います。
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Unknown (goodbird)
2020-05-17 18:16:49
早速のご回答、誠にありがとうございます!
了解致しました!

自分なりに比較計算プログラムを書いてみようと思います。

しkしそれにしてもテレビとうさんがおっしゃる通り、人から物、物から人、あるいは人から地面、地面から靴底、靴底から家、といったことにも十分配慮しないといくらモデルとはいえ、そもそも端折りすぎですよね。
それに加えて肝心な衝突すらまともに計算できてないとなると、疫学大丈夫なの?と思えてきますね!

本当にありがとうございました!
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