テレビとうさん

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「借金」 と 「資産」

2021年01月06日 | 通貨(貨幣・紙幣・証券)
 「借金マミレのN国があって、増税によって借金を返した為に、国家財政が安定化しました。」

 この話には、矛盾が有って成り立たないのですが、何故かこの「神話」を信じている人がいるようです。「神話」と言っても、その多くは「靖国参拝」に行く事も無く「神も仏も信じていない信者たち」なので、信じたふりをしているだけかも知れません。

 N国の「借金」は、N国の「政府」が国債を発行して雪だるま式に「借金」が溜まったのですが、そこには「借金の貸し手」や「借金の使途」が書かれていません。「最後の貸し手」であるN国の中央銀行の話は最後に説明するとして、ここでは「国の借金」の貸し手をN国の「人民」とします。

 この「人民」を、正しく「国民」と書くと、国を構成するのは国民なので「自分から自分への借金」となり、「国の借金」の意味を説明できなくなる為、ここでは「独裁国家のN国」と「被支配者の人民」として説明します。

 N国が人民から税金を取り立てた場合は、人民は取られ損で何も残りませんが、国債を発行して人民からお金を借りた場合には、人民の手元に債権が残ります。その債権に価値が有って流通可能な資産ならば、債権者は他の人民を騙してでも現金を回収する事が可能なので、税金よりも有利と言えます。

 しかし、N国は独裁国家なので「国債の償還」など考えているはずも無く、マクロで見ると「税金」と「国債発行」は同じと言えます。この場合は、人民同士の現金の奪い合いによって混乱は必定なので、寧ろ「税金」として平等に搾取する方が国家は安定するかも知れません。

 一方、N国が民主国家で「国民」が「国家」の構成員だった場合は、その「政府」は国民の代理人に過ぎず、「国債」は「国民が政府に貸し付ける資金の証書」と言え、「政府の借金」になります。但し、この場合の「政府の借金」とは「国の借金」ではなく、当然「外国からの借金」でもありません。

 「国民が政府に貸し付けた借金」は国民の「資産」であり、「政府」とは国民が豊かになる為に創った組織なので、「自分が自分の部下に貸した資金」と言えます。本来は「国民が得をする為の投資」なので、誰も損をする事は有りません。

 国債の所有者が国債を所有したまま死んでも、子孫に相続されるので「子孫に財産を残す」ことになり、子孫から恨まれる事は無いと思います。これに対して「子孫に借金を残すな」などと馬鹿な事を言う人は、少なくとも「日本人」にはいないと思いますが、日本人とは反対の考え方をする「反日本人」の場合は判りません。

 それは兎も角、実際には「国債」の大半は直接国民が買うのではなく、多くは生保を含む金融機関が買い、更にその大部分はN国の中央銀行が買い取って、統合政府として(自己)償却したり、借り換えたりします。日本の場合、日銀の利益は日本政府に戻されるので、日銀が国債を買い取った時点で、「政府の借金」は帳消しになります。

 日銀が国際を買い取ると云う事は、日銀当座預金にお金が振り込まれ(実際には印字されるだけ)、間接的に市中にお金が流れ出す事になります。このお金と、国民が直接支払ったお金は、国外に持ち出したり燃やさない限り、決して減る事は有りません。常に国債発行額(政府の借金)分の現金はどこかにあり、これを使う事でGDPも増えます。

 「誰かの資産は、必ず誰かの負債」である事は、資本主義の原則です。自分のお金で買った自動車は、確かに自分の資産ですが、購入に充てた「お金」は日銀の負債で、その「日銀券」の担保資産は国債です。国債は政府の負債ですが、その担保は「政府を雇っている国民の供給力」なので、供給力の範囲内での国債発行は適正と言えます。現在は「潜在需要」に比べて「潜在供給力」が過剰なので、「財政支出」を増やして社会基盤の整備を推し進める必要があります。

 それでも「GDPを減らしたい」気分になった時は、国債発行を減らし、税率を上げて国民からお金を吸い上げ、投資や援助名目で外国にお金を持ち出せば、確実に「マイナス成長」を達成する事が出来ます。海外援助は国民を犠牲にして「政治家の国際的評価」を上げるにはもってこいです。




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