ソフトバンクのCMに出てくる「お父さん」は「北海道犬」ですが、昔は「アイヌ犬」と呼ばれていました。私は小さい頃に「アイヌ犬」に噛まれて痛い思いをしましたが、お詫びとして飼い主から貰ったお菓子の方が嬉しくて、今でも犬は大好きです。
これは数十年前の話ですが、その時は皆「アイヌ犬」と呼んでいました。しかし、今では「北海道犬」と呼びます。この「犬種(名)」の経緯には幾つかの説があり、定かではありません。年代順に書くと、
① 縄文時代:縄文人と共に日本中(北海道~沖縄)に生息していた「縄文犬」が「北海道犬」のルーツとする説。
② 弥生時代:外来犬と「縄文犬」の混血が進んだが、北海道と沖縄は離れているので「縄文犬」の血統が維持されたとする説。
③ 1869年 :イギリスの動物学者トーマス・W・ブラキストンにより「アイヌ犬」と命名される。
④ 1937年 :文部省によって天然記念物に指定され、正式名称を「北海道犬(ほっかいどういぬ)」と定める。
①②は、田名部雄一教授が犬の血液分析をおこない、「琉球犬」と「北海道犬」に類似が見られることから導き出された仮説ですが、現在遺跡から見つかっている「縄文犬」の骨と、「北海道犬」の体格や骨格の特徴とに類似が見られず、またミトコンドリアDNAの解析でも異なる結果が出ています。
現在では、「縄文人」と「弥生人」は単に「民俗」が変化しただけであり、確定的な「民族」の違いは無いとされています。この事から推察すると、狩猟採取が中心の「縄文民俗」と共に生き残った犬が「北海道犬」で、「農耕定住」に移った「弥生民俗」にとっては猟犬は不要になり、犬種の分化が進んだと思われます。
別の説では、鎌倉時代以前後に本州では不要になった猟犬が、和人と共に北海道へ移動したとされ、この時の猟犬が「北海道犬」の祖先ではないかとも言われています。これは、「シシャモとやなぎ」で書いた、「柳の中国原産説」とも一致します。つまり、北海道の先住性は「民俗」で言うと「縄文人⇒和人⇒和人+アイヌの人々(北方系民族も含む)⇒日本人」の順と云う事になります。
③が正しいとすると、「アイヌ犬」と命名されたのは明治2年で、しかもイギリス人によってです。
正確な年代は忘れましたが、一時期、一部のアイヌの人が”アイヌ”を「アイヌ(良い人)ではなく、ウタリ(同胞)と呼ぶように」と主張し、1930年に設立した「北海道アイヌ協会」も1961年には「北海道ウタリ協会」に改称され、また理由は分かりませんが、2009年には元の「北海道アイヌ協会」に戻しました。子供の頃だったのでハッキリした記憶にはありませんが、この事が理由で ④ の、「アイヌ犬」を「北海道犬」に変えた、と聞いたような気もします。
この時に「北海道犬」ではなく「ウタリ犬」にすれば、意味は「同胞の犬」になるので、犬好きな日本人にとっては良かったのかも知れませんし、「アイヌ犬」のままだと、その意味は「良い人の犬」なので、ソフトバンクの「お父さん」にピッタリですw
何れにしても、イギリス人に与えられた「アイヌ犬」の犬種名を、日本人の意志で「北海道犬」に変えたように、アメリカ人に与えられた「昭和憲法」も、日本国民の意志で「令和憲法」に変えたいものです。