おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#06★★他人の女に・・・

2013-06-29 | おやじ達の青春夏・エピソード


翌日、昨日の事が頭から離れなかった。
「ねえ、俺達も来年借りない、家を・・・」
「何人か集めてお金作ってさぁ」
「うんん~」
「そだな~」
「俺はあんな所じゃ寝られないよ」と神経質なフミオが言うと、
タカハシも「そうだな~」話は物別となった。
それでも昨日の事が・・・。
海で泳ぐどころではなかった。
じゃ~と言う事で今日は女の人に声を掛けてみょうと言う事になった。
昨晩、タカハシが誘ったら以外にも簡単にも良いと言う返事に我々、純粋な先輩達は楽観視していた。
何度か勇気を振り絞って声を掛けたが上手く行かなかった。
当然。
特に無視されたのには参った。
当たり前の事ながら声を掛けてる女の人達は全部年上なのだ。
馬鹿にされるのも最もかも・・・。
それでも挫けず3回目。
「あの~、済みませんが、お茶でも飲みに行きませんか?」
「振り返って、じ~っと見つめられ、目線が上から下へと、そして下から上に、良いわよ」
「わぁぁあぁ~~年上のお姉さん・・・」と心の中で喚いた。
そして「お茶ならキャンストへ行きましようよ」と
真っ白な建物、真っ白な壁、真っ白な椅子、昨日から入って見たかったお店だ。
「ここ、入った事ある」
「いいえ」
「ここはね夏休みの間だけオープンしているのよ」
「運営しているのは立教大学の広告研究会でスポンサーが森永製菓なのよ」
と年上のお姉さんは教えてくれた。
「詳しいですね」
「まぁね」
「貴方は何年生」
「高一です」と一年サバを読んだ。
「え~高一なの若いわね」
「若いそうには見えたけど高一なんだ」
「いいわね」
と言いながらメニューを指さし「カルピスは好き」
「はい」
「これ美味しいわよ」
「見ると、ラベンダースカッシュ」と書いてあった。
「これね、細長い背の高いグラスにカルピスいれてを炭酸で割ってね、
メロンシロップを上から注ぐと写真みたいに白とグリーンのグラデーションになるのよ」
「綺麗でさっぱりして美味しいわよ」
「じゃー僕、それにします」
「私はピンクのドリームスカッシュを」
結局、年下だからと言う事で御馳走になり、
明日帰るなら今晩、此処の前でフォークダンスをやっているから出で来るように誘われた。
俺って、ひょっとしたら軟派されたのかな?

この夜、お姉さんと約束をした海岸のブランコ前に行った。
海岸では夜になると立教大のキャンプストアの人達が
キャンプファイヤーを囲んでフォークダンスをやっていた。
待ち合わせの時間になったがあの人は来ない・・・
皆がフォークダンスを楽しんでいるのを見ながら待つ事20分。
このまま帰るのもかっこ悪いしどうしょうかと考えていると、
二人のお兄さんが怖い顔をして前に立ちはだかった。
「おい、お前、ここで女を待っているのか?女と待ち合わせの約束をしたのか?」
「はい」
「何時に待ち合わせをしたんだ」
「7時です」
「そうか道理であいつ!女は来ないよ・・・俺が行くなって言ったから」
「あぁ~そうですか」
「真面目に付き合うつもりだったのか」
「・・・・・・」
「お前、何年だ」
「1年です(本当は中三)」
「何処の学生?」
「○○です」
「そんな学校あったか?聞いた事ないぞ、嘘つくなよ?何処にある」
「目白です」
「目白?山手線の目白?」
「はい」
「お前、高校生?」
「はい」
「それも1年生?」と二人で笑いだした。
勘違いをしていて大学生と思っていたらしい。
「お前、デートの相手って何年か知っているのか?」
「いいえ」
「大学2年だぞ!もういいや、もう人の女に手をだすなよ」
と捨て台詞を残して立ち去っていった。だって・・・
どうして人の女って何処で解るんだよ、ば~ヵ。
首に縄でも付けておけよ。
男達が行った後に昼間のお姉さんが近寄って来た。
一部始終を見ていたらしい「ごめんね」と一言。
コロンの良い香りを残して・・・
行ってしまった・・・。


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#05★★1964年・衝撃的な夏を・・・

2013-06-25 | おやじ達の青春夏・エピソード


中3の夏休み、千葉県館山市に友達と3人で2泊3日の海水欲に行った。
親から離れて始めての外泊だ。

1日目の日の暮れかかった頃、海岸通りにある洒落た海の家、
立教大学キャンプストア付近を歩いていると通りの向こうから「先輩」「先輩」と呼ぶ声がした。
振り向くと声を掛けて来たのは真っ黒に日焼けした1年後輩のエイゾウだった。
走り寄って来て「先輩達どうしたんですか?」
「チョットぶらついているだけだよ」
「こんな所で会うなんて、何時来たんですか?」
「今日、お前は何してんの・・・」
「僕は知り合いの所で2週間位居候しています」
「先輩達、何処に泊っているんですか?」
「この先のシーサイドホテル・・・」
「凄いなホテルに泊っているんですか?」
本当はホテルのバンガローだったが言えなかった。
「あんな所に泊るなら僕らの所へ来れば~」
あんな所・・・初めての楽しい外泊をあんな所と言われムッとした。
フミオとタカハシも気持ちは同じだったようだが、
この二人は俺と違い少しプライドが高い分余計にこの後輩の生意気な一言にムムッっときたようだった。
けっして悪い奴ではないが日頃から生意気で2年先輩の硬派の兄貴がいるおかげで
だれも指摘する奴はいないのだ。
「楽しいですよ、行きましょうよ、先輩」
「みんなに紹介するから来れば~・・・とは言っても皆僕より年上の先輩ですけどね」
硬派の兄貴やその友達がいる所へなんてさらさら行く気は無い。
「いいよ、行く所があるからさ」とフミオが言うと
「何処へ行くんですか?」
「・・・・・・・・」
「どうせそこらへ行ってもつまらないですよ」
「家には女の人もいるし楽しいですよ」
女・・・女の人?妹?従妹?姉?家族で来ているのかなァ・・・
でも先輩って言っていたし・・・何だろう?
「家は直ぐ近くだからつまらなかったら帰れば良いじゃないですか」
とタカハシの背中を押しながら「行きましょうよ」
「ジャーチョットだけ」と言いながら私とフミオはしぶしぶと二人の後をついて行った。
「フミオ、家って別荘でも持っているのかな?何せ内の学校は金持ちの医者が多いからな・・・」
「とりあえず顔だけ出したら時期に帰ろうよ」
「そうだな」
10分程で着くとそこは別荘言うより普通の平屋の家、庭先から入り玄関を通り過ぎ縁側から中を除いた。「偶然に友達にあったので連れて来ちゃいました」
友達だと?「こんばんは~」と声をかけた。
中は部屋が二つと奥に台所が見える。
中には7、8人の男女が・・・縁側に腰を掛けると
エイゾウが「海岸を歩いていたら偶然にあったので遊びに来るように誘ったんです」
「紹介します、内の学校の先輩達でミナミハラさん、タカハシさんとハギヤ先輩です」
「こちらの先輩たちは大学生で00さんと00さん、00さんに00さんの彼女の
00さんそして00さんの友達の・・・」です。
「初めまして」エイゾウの兄貴とは関係の無い人達のようだった。
「こんばんは初めまして・・・」
「こんばんは、よろしく館山にはよく来るの?」
「いいえ初めてです」
「そう、何時まで?」
「もう一泊して明後日に帰ります」
「ふ~ん、3人で来たんだ」
「ええ・・・」
「エイゾウとは違って真面目そうだね」
「軟派ばかりしているとエイゾウみたいになっちゃうよ」
「親が居ないからって羽目を外し過ぎないようにね」
すると傍に居た彼女らしき人が「随分と偉そうな事を言うじゃない」と笑っていた。
「内の先輩達、此処に呼んでも良い?」
「居候の居候で」皆、親切そうな人達だ。
「良いよ、どうせ雑魚寝だから一人も3人も変わらないから」
「俺にもさ~こうゆう時期が有ったんだよな~」と、
笑いながら丸めたゴザを小脇に抱えと女性と手を繋ぎ家を出ていった。
こんな時間に何しに何処へ行くのだろう?
昼間じゃあるまいし海で使うゴザなんかを抱えて・・・と、
この時、我々純粋な先輩達は同じような事を考えていたそうだ。
他の女性からは「良く外泊するの?」
「いいえ、僕はボーイスカウトの合宿位です」笑っていた。
「楽しい」
「ハイ」
「学校はどこ?」
「何年生」
「中3です」
「可愛いいわね」
「そんなに敬語を使わなくても良いわよ」
「ガールフレンドいるの?」
「いいえ!」
「ジャー彼女はいないわね」等々と綺麗なお姉さん達との心時めく会話。
するとエイゾウが「気を付けないと誘惑されちゃうよ、このお姉さんたちに・・・」
誘惑!誘惑!!このお姉さんに誘惑?誘惑だって・・・いいなぁ~・・・と、
我々純粋な先達は同じ思いを描いていたようだっだ。
ここに来てよかった。
10分位で帰る筈が、既に数時間が経った。
純粋な先輩達は腹も空いているのに誰も帰ろうとは言い出さなかった。
家には沢山の人の出入りがあって、皆、好きな時間を好きなように使って楽しそうだった。
するとエイゾウが「タカハシさん、00さん誘って海にでも行ったら?」と小さな声で告げた。
この夜に海?・・・二人で・・・これってデ~ト・・・。
「いいよ」と断りの返事。
「ミナミハラさんは?」
「俺はいいよ」と遠慮を・・・本当は、じゃ~俺が行くと言いたいが、
純粋な先輩達にそんな勇気は持っていない。
コイツって後輩なのにこんな経験をしているんだァ~。
いいなぁ~。
生意気なのも仕方が無いのかな~と思った。
「え~大丈夫ですよ、あの人フリーだから」
「いいよ」
「何でですか?折角のチャンスなのに~」
「誘っても話すこと無し・・・」
「話さなくてもいいんですよ、一緒に海を見に行くんだから」どちらが先輩なのか分からない。
「早く、早く・・・」
後輩からの言葉に意地になりしぶしぶと
「あの~」
「なぁ~に」
「あの~あの~もしよければ海、海、見に行きませんか?」
「良いわよ」と明るい返事。
人事ながら断られたらやだな~あいつ断られたらどうすんだろうと、言う期待を裏切ってあの明るい返事。
いいな~、へぇ~・・・女って・・・意外と簡単に・・・誘えるんだ。
と、甘い考えを・・・。
二人が家を出ようとするとエイゾウが「タカハシさん」と呼び止めた
「手を繋ぐんですよ」とそっと耳打ちした。
あいつ手を繋ぐのかな~いいな~。
「じゃー行ってくるよ~」と緊張した顔。
出てまもなく「フミオ、後を付けてどうするか見に行かない。
面白そうだから」
「そうだな、ここにいてもしょうがないし・・・」
なぜか家には我々以外に人はいなかった。
みんな出かけて行ったのだ。
夜なのにゴザを持って。
通りに出て見るとタカハシ達がいた。
1m位間を開けて歩いている。
手は繋いでなかったので安心した。
奴だけ良い思い出はズルイと思ったのは俺だけだろうか?
頭の中では、もしかして・・・誘惑・・・ヒョットしてキ・・ス・・・
え~なんであいつだけ良い思いを、来るのを嫌がった奴が・・・。
そんな事を考えながら後を付けている事が無性に空しくなった。
二人は海岸に着いた。女の人がベンチに誘っているようだ。
わぁ~・・誘・・・惑・・・誘惑・・・
まさかこんなに人が居る所でそんな事する筈がないと高鳴る自分の気持ちを慰めた。
海岸のベンチに二人が座った。
間にはもう一人分のスペースを開けて。
よし、よし、それで良い。
「あんなに離れて座っているよ。笑っちゃうね」
暗闇に月明りに照らされた二人のシルエットが・・・羨ましかった。
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#02★★おやじ達の青春夏

2013-06-22 | おやじ達の青春夏・エピソード
おやじ達の青春夏
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#04★★その翌日に・・・・・

2013-06-21 | おやじ達の青春夏・エピソード


海岸に出て来た二人は我々の友達の多さに(20~30人)驚いたそうだ。
パラソルが3本、それを囲むように砂の上に曳かれた大きなシ-トが4つも敷いてあり、
デッキチェアに寝そべる人、レコードプレィヤーで音楽を聴く人、麻雀をしているグループ、
日光欲をする人、会話を楽しんでいる人、それぞれが思い思いに楽しんでいる。
レコードプレィヤーからは去年ヒットした
ブロードサイド・フォーの若者達「君の~行く~道は 果てしなく 遠い~ だのに~ なぁぜ~」や
ザ・ワイルドワンズの思い出の渚「君~を 見~つけた この~ 渚に」、
ビージーズのマサチューセッツ等が流れていた。

「昨日はありがとう御座いました」
「楽しかったです」
「タケウチさんとアラキさんは居ないのですか?」
「あぁ~あの二人、軟派しに行ってるよ」
昨日、二人を送って行った帰り道、アラキが二人とも固くて電話番号も教えてくれなかったそうで、
駄目だと言っていた。
「そうですか~、私達、今日帰る事なったので・・・急に・・・」
「一応、挨拶だけでもと思って来たので・・・」
「そう、まぁ、座れば」とマコトが言った。
「ありがとう」
「でも、直ぐに帰るので・・・」
「良いじゃない、ちょっと位座っても」
「はい、大丈夫です」何故だか周りでミドリちゃんがクスクス笑っている。
マコトさんの彼女のサツキが「可哀そうだからやめなよ!」と言っている。
「座って話しようよ」私は小さく首を振り止めるよう合図を送って
「え~、そうなの?明日の予定だったんじゃなかったの・・・」
「昨日、居ない間にHotelに電話が入っていて、
急に、打ち合わせの日程が・・・繰り上がって・・・」とノリコさんが言った。
「ジャー、アイコさんは残れば・・・予定無いんでしょ」
「え~、まぁ~、予定は無いけれど一緒に帰ります」
「明日なら、僕も帰るから車で東京まで送って行くよ」
「一日伸ばせば」と私が言った。
「折角の良い天気だし、蒸し暑い東京にいたってつまらないよ」
「友達になったばっかりだし・・・」
「今年の夏も後、少しで終わりだよ、借りている家も今月一杯で引き払うし・・・」
「それなら、アイコちゃんは残れば・・・」とノリコさんが言うと。
「ん~、でも、帰るわよ一緒に」
「大丈夫だって僕が責任持って送るから」
「他の女の子達もいるし」
「そうしなよ、Hotelの部屋もキャンセルしてもお金は戻らないし」
「でも、ノコちゃん一人で良いの」
「私は大丈夫よ、折角、誘ってくれてるし」
「そうそう、大丈夫だよ、皆で駅まで見送りにも行くから」
「うん、分かった」
「帰りの時間は何時なの?」そんな時、オタケとアラキが戻ってきた。
オタケは二人を見て気まずそうな顔をしていた。
「アラキ!ノリコさん今日帰るんだって!」
するとアラキ「そうなんだ」と言いながらシートに座ろうとして上がったとたん
「うあ~わ~~」落とし穴だ。
さっき何度も座ればと言っていたマコトさんが大笑いしていた。
道理でクスクス笑っていた訳だ。
すると笑い声が収まる間もなく周りが再び騒がしくなった。
「やめてよ!」
「泳げないんだからさ~」
「足も持て!足も持て!」
「勘弁してよ~」
「腕、放すなよ」
「タバコ!タバコ!それとサイフが・・・」
「よ~し行くぞう~」
「周りの女の子や男性達は愉快に笑っている」この時アイコ達は何が始まったのかと驚いたらしい
「6、7人の男達がオタケを捕まえ担ぎ上げていた」
「やめてよ~頼むよ~勘弁してよ~」戻って来る二人を見て皆が待ち構えていたのだ。
ターゲットをオタケに絞って。
服を着たまま海に投げ込む恒例の行事だ。
「わっしょい!ワッショイ!」担ぎ上げながらポケットの中を探ってタバコとサイフを取り出していた。
「やめてくれよ、名前が変わっちゃうからさ~」
「何、それ、名前が変わるって!」
「土左衛門ってさ~」
「そんな冗談言えるなんて余裕じゃん」
「それじゃ海岸じゃ無くお望み道理に桟橋から投げ込もうじゃん」
「そうしょう!」
「そうしょう!」
「OK!OK!」
「それじゃ~方向転換して」海岸のあちらこちらで笑声がしていた。
この時アイコはこの人達は本当に「パーボー」なんだと思ったそうだ。

後々に考えてみれば私たちのキューピットの役目をしたオタケを土佐衛門にしようとした訳だった。

急に帰る理由を言いたがらないので変だなと思い後に聞いたら、
アイコが従妹はテレビ番組、特別機動捜査隊に出演するので、その打ち合わせの為だったと言っていた。

皆で館山駅まで見送りに行く事になった。
これも何時も恒例行事だ。
入場券を買った10数人の仲間が見送りに来た。
列車は向かい合わせの席で夏も終わりのせいか空いていた。
「また、来年もおいでね」
「気を付けてね」
「さようなら」
「元気でね」もっともらしい別れの言葉だ。
「ありがとう」と言いながら列車に乗った。
席に着き窓を開けた。
すると突然好き勝手な事、有る事無い事を中にいるノリコさんに投げかけた。
「おい、東京で浮気するなよ」
「テレビの機動捜査隊に出るんだって」
「俺が居ないからって泣くなよ」
「まじめに学校行けよ」
「また帰って着たくなったら遊びに来いよ」
「俺に会いたくなったらいつでも帰って来いよ」
「機動捜査隊で殺され役やるんだって」
「キップ買わなくて大丈夫」他の乗客が笑っている。
車掌の笛の音が「ぴ~~~~」
「ミナミハラ君、アイコちゃんよろしくお願いしますね」
「はい、大丈夫です。ちゃんと送り届けますから」
「アイコちゃん帰ったら電話してね」
「じゃーね」
「バイバイ」電車がゆっくりと走り出す。
すかさず皆で「ばんざ~い、バンザ~イ、ばんざ~い、バンザ~イ」
みんなが居る時は良いが、送られた人は列車に取り残されわけで周囲の目と恥ずかしさでたまらないそうだ。強烈な印象と楽しい思い出、忘れる事は絶対ないはず・・・。

その日の夜、昼間に話をした夜光虫が見たいと言うので、
ドライブがてらに沖ノ島へ、ドライブと言っても車で10分位の防波堤で
「手を差し出し水面をバシャバシャとやってみな」すると手にまとわり付くようにキラキラと輝いた。
「わぁ~キレイ」夜光塗料でも撒いたように月明りの中、
波にゆられゆっくりと・・・そぉっと手の平ですくい上げると手の中でキラキラと。
大抵の娘はこれで落ちる。
が・・・アイコは違っていた。
会話を重ねる内に、見かけとは違い真面目で素直な心やさしい子だった。
一人娘で両親に大切に育てられたらしい。
私はそっと頬にキスをし「おやすみ」と言って車のシートを倒し寝てしまった。
後で聞いた話だが怖かったらしい、もしも来たらどうしょうかと不安だったそうだ。
予想外の行動に私を悪い人では無いと思い始めたらしい・・・へへへへ・・・。
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#03★★1967年・夏の終わりに・・・・・

2013-06-11 | おやじ達の青春夏・エピソード


「あの頃さ~、アイコは何時から館山(千葉県)に来始めたんだっけ!」
「高3の夏休みが終わりの頃にノコ(従妹)ちゃんと一緒に行ったのが最初よ~」
「あの頃、ノコちゃんの友達が、館山は女の天国でだって言っていて、
それなら面白そうだから行こうかって事になってね」
「さすがに女の天国と言われるだけあって着いたその日からやたらに声を掛けてくる人が多かった」    そんな時に、喉が渇いていたから何か飲もうと思ってお店を探していた時に、
丁度、そう海岸道うりのキャンスト(立教大学森永キャンプストア)の前あたりで、
2人連れの人に声を掛けられてね。
それがオタケとアラキ君だったのよ。
丁度良いから・・・おごって貰っちゃおうかって事で付いて行ったらさ~、
別れ際に「また、夜に会わないか、家でパーティやっているからおいでよ、
他にも女の子が沢山来ているから心配しなくて大丈夫だからさ」って誘われたのよ。
一応ごちそうになった手前嫌とは言えないから行くって返事はしたわけ。
勿論、初めから行くつもりはなかったけれどね「ジャー7時に又ね」ってお竹が言っていたけれど。
その晩、約束をすっぽかして渚銀座で食事をして店を出てぶらぶらと海岸方向に歩いていたら、
二人にバッタリ・・・まずい・・・と思ったけれど見つかって
「どうして来なかったの」と荒木君が・・・。
「ごめんなさい、他に約束が有った事を忘れていて・・・
遅れて約束の場所へ行ったけれど・・・もう・・・」と
ノコちゃんが言い分けをしたけれど・・・「ジャー行こうよ」とお竹に再び誘われたわけ。

今日一日、何度声を掛けられた事か・・・
全部断って来たのに何故好みのタイプではないこの人達と思っていたので
「もう遅いから帰ります」と私が言ったのね。
「なんで~、まだ早いよ、今頃、皆で盛り上がっているよ、女の子も来てるしさ大丈夫だよ」
「心配しなくても・・・」
「俺達、女の子を迎えに行って来るって仲間に言って出て来たのに、
連れて行かなかったら皆に笑われるし、カッコ悪いよ」
「頼むからチョットだけでも良いから来てよ」と
誘われて仕方なく「じゃーチョットだけ」と言ってついて行った訳。                                                                 
「その時て、館山シーサイドホテルに泊っていたんだよね。
俺も初めて館山に行った時はシーサイドホテルに泊ったんだよ」                    「もっともバンガローだったけどね」
「中三の夏だったな~、タカハシとハギヤの3人で・・・」
「始めての外泊でね」
                    
警戒心を持ちつつ家に近づくと中からはギターを弾きながら
「マァ~ ベィビー 破れた パンティ」と何時ものブタマツの替え歌に大きな笑い声が・・・。
本当に話のとおりだったので、アイコ達は少し安心したそうだ。
中に入ると16、7人の男女が2卓のちゃぶ台を囲んで
ビールやウイスキーを飲みながらゲームをしたりして楽しそうにしていた。
オタケが「新人で~す」と紹介した。
「こんばんは」と言いながら、部屋の中を見渡したけれどカッコいい男の人はいなかったそうだ。

その中でもマァマァと思った人が二人いたそうで、
その中の一人が私の親友サカキバラでもう一人が私だったそうだ。
まぁ無理もない、この頃のアイコとノコちゃんはジャニーズの大ファンで
日劇ウェスタンカーニバルやテレビ局の楽屋やにも顔パスで出入りしてて、
長沢純がアイコの家にも遊びに来たぐらいだった。
無理もない芸能人と我々を比べられたら・・・
俺達の顔ぶれは脇役と殺され役ばかりだろう・・・
なにせPaboだから。                                                                                      
「皆さんは何の集まり、グループ何ですか?」
「うち等はPaboクラブって言うんだよ」
「どう言う意味ですか?」するとミドリちゃんが
「軟派クラブで、皆、軟派ばかりしているのよ」その言葉に女の子達が皆うなずいていた。
「意味はね~」
「馬鹿みたいに楽しむからだって」
「去年、遊びに来た女の人がね俺達がものすごく楽しんで騒いでいるのを見てPabo(パーボー)見たい」
って言ったんだよね。
「パーボーって何」って聞いたら「馬鹿(韓国語)」って言う意味なんだって。
何時も何の集まりって聞かれるから何か名前を付けようって皆で考えていた時だったから
丁度良いって事で「Pabo Club」って名前を付けたんだよ。                                                                        この時は3年目の夏で、Pabo Clubの名は館山ではけっこう有名だった。
成人してからもクラブは続いていて仲間の結婚式等にもPabo Clubからのお祝いとかがあった。
有る時、仲間のお父さんが亡くなった時に祭壇に[Pabo Clubより]って花輪があってね。
有志達でお金を出し合って・・・でそう言う事になったんだけど、
今までは何も感じなかったけれど、よ~く考えてみると変だって事になった。
知らない人が「Pabo Clubより」って花輪を見てどう思うかって。
何かおかしいよ。
ライオンズ クラブって書いてあるなら良いけど、
一般の人には何の事か解らない訳で、
亡くなった人が何かいかがわしいお店か変なクラブに行っていたのかって
勘ぐられるじゃないかと言う事で後に
ファミリーロードって名に替えたんだけれど、これも変だよね。。                                                           
パーティも終り頃、酔ったミドリちゃんが「ヤスノリ、ヤスノリ」
「ヤッチンは彼女が一杯いて・・・・」「わたしをかまってくれない」と泣きながら騒いでいた。
その様子をアイコが見ていて、あの二人は何だろう付き合っているようでもないし
右隣には違う女の人がいるし、此方も彼女って言う訳でもなさそうだし、
何であの人は泣いているのだろうと、私に興味が持ったらしい。
アイコ達二人はお酒が強いらしくほろ酔い程度だったらしいが、
お酒の弱いオタケは酔い潰れてしまい眠ってしまった。
そろそろ帰ると言うのでオタケの代わりに私とアラキとでホテルまで送っていった。
「あそこの家は誰かの家なんですか?」
「あの家はね夏の間だけ借りているんだよ」
「皆でお金出し合ってね」
「毎年借りていて、今年で3回目だね」
「何時も同じ家じゃないけどね」
「随分、日焼けをしているけどどれ位居るの?」
「皆、それぞれだけど僕は今年26日居るけどね」
「26日も凄いですね」
「家に2日位帰るとさ~また直ぐに来たくなるんだよね」
「アラキは2日前に来たばかりで、今年は何回目だっけ」
「3回目だね。長くいたいけどおやじがうるさいから」
帰り際に、翌日、海岸にいるので遊びに来るように言った。
「海岸のどの辺に居るんですか?」
「来れば分かるよ、仲間が大勢いるから直ぐに」と伝えた。

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#01★★2012年・ロサンゼルスにて

2013-06-09 | おやじ達の青春夏・エピソード


「あなた~今週末の夜、ワインに合う料理でいい・・・・」「あ~いいね!」

10月12日は我々の結婚記念日。
今日のメニューはステーキにガーリックシュリンプ、そしてスモークサーモン、マッシュポテトとサラダだ。

「ねぇ、もう何年になるか覚えている?」
「Aikoが17歳の時からだから・・・・」
「それは知り会った時でしょう」
覚えておこうと思いながら毎年この時期に同じ事を聞いているような気がする。
「結婚してからよ」
「私が23歳であなたが24歳の時だから38年よ」
「早いね、もう38年も経つのか・・・・」
「だってHawaiiから引っ越しして来てもうすぐ2年2カ月になるわよ」
「そうか~」
「おまちどうさま、料理が全部出来たわよ」
「まずはビールね」
「うん、そーだね、俺が出すよ」と言いながらプレゼントの赤いバラが飾られたテーブルに着いた。
「それではまず乾杯!」
「これからもよろしく」
「こちらこそよろしくお願いしま~す」
「付き合い始めてからだと、45年よ、なにせ17歳だったからね」
「45年か長いね、凄いね~、早いな~日が経つのが・・・・」
「最近なんか1週間が4日位で回っているような気がするよ」

我々の世代、何時からか「団塊の世代」と呼ばれているが
青春時代には音楽、テレビ番組、ファッション、スポーツ、ライフスタイル等々全てにアメリカがあった。
特に音楽とファッションの影響が大きかったと思う。
その頃からアメリカと言う国に強い興味を持っていた。
そしてその興味がアメリカでの生活をと夢に描き始めた。
そんな私達に一生に一度のチャンスが訪れたのだ。
米国抽選グリーンカード、DV2001年(募集2000年)
全世界で1000万人が応募し当選者5万人の内の一人に選ばれた。
折角のチャンス、夢を現実にと憧れのアメリカ生活を決意した。
そして、翌年、温暖な気候に青い空とコバルトブルーの海、
旅行等で馴染みのあったHawaii、ホノルルに引っ越しをした。
夢の島生活も9年目を向かえる頃には、
この小さなオアフ島も知りつくして二人ともこの島に物足りなさを感じて来ていた。
それではと足腰のしっかりしている内にと再び旅に出る事にした。
目的地はいよいよ米国本土上陸、二男夫婦のいるカリフォルニア州、ロサンゼルスだ。
ここに夢を移す事にした。
英語も出来ない上に慣れない土地、知人もいない所で生活していると
自然とお互いに助け合い支え合うようになってくる。
夫婦の絆も日本に居た頃に比べ強くなっている気がする。
もしかするとそう思っているのは俺だけだったりして・・・・
そんな我々も、ここLA、レドンドビーチでの生活もそろそろ2年2カ月目を向かえようとしていた。

腹も膨れ、酔いが回り始めワインのボトルが2本目になっていた。
心地よい気持ちのでいるとテレビから流れて来た
懐かしい音楽「オ~~マィラブ マイダ~リン」甘いソフトな歌声。
ライチャス・ブラザースのアンチェインドメロディ(1990年映画ゴーストの主題歌)だ。
亡くなった映画俳優「パトリック・スウェイジ」の特集番組のようだ。
「懐かしいねこの曲、チークダンスには最高だよな。一緒に踊ったよね」

ダンスとは言っても何の事はないお互いの頬と頬を付けて腰に手を回し
ゆっくりと足を動かすだけの簡単な踊りだが、
パーティでは一番盛り上がる所でチークタイム、照明を落とし雰囲気盛り上げ、皆が一番楽しみにしている。踊りながらパーティが終わった後のデートや次回の約束をするチャンスなのだ。

「曲は知っているけどその頃にこの曲で踊った事は無いと思うけど」
「他の人とじゃないの?あなた彼女、一杯いたから・・・・」とまた始まった。
「昔の事だしいろいろ思い出があったから忘れちゃっているんだよ、きっと・・・・」
最近、お酒が回り始めると何時もこのパタ~ンになる。
当時の思い出話にチクリ、チクリと嫌味を挟む。
本人は責めている訳では無く単なる昔の思い出話の一つとして話をしているらしいが、
色々と非のある此方としては・・・・・胸が痛い。
話を反らし、「じゃ~そろそろ音楽でも聞こうか?」
テレビの音を消して懐かしい音楽を聴きながら再び思い出話に盛り上がる。


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