おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#04★★その翌日に・・・・・

2013-06-21 | おやじ達の青春夏・エピソード


海岸に出て来た二人は我々の友達の多さに(20~30人)驚いたそうだ。
パラソルが3本、それを囲むように砂の上に曳かれた大きなシ-トが4つも敷いてあり、
デッキチェアに寝そべる人、レコードプレィヤーで音楽を聴く人、麻雀をしているグループ、
日光欲をする人、会話を楽しんでいる人、それぞれが思い思いに楽しんでいる。
レコードプレィヤーからは去年ヒットした
ブロードサイド・フォーの若者達「君の~行く~道は 果てしなく 遠い~ だのに~ なぁぜ~」や
ザ・ワイルドワンズの思い出の渚「君~を 見~つけた この~ 渚に」、
ビージーズのマサチューセッツ等が流れていた。

「昨日はありがとう御座いました」
「楽しかったです」
「タケウチさんとアラキさんは居ないのですか?」
「あぁ~あの二人、軟派しに行ってるよ」
昨日、二人を送って行った帰り道、アラキが二人とも固くて電話番号も教えてくれなかったそうで、
駄目だと言っていた。
「そうですか~、私達、今日帰る事なったので・・・急に・・・」
「一応、挨拶だけでもと思って来たので・・・」
「そう、まぁ、座れば」とマコトが言った。
「ありがとう」
「でも、直ぐに帰るので・・・」
「良いじゃない、ちょっと位座っても」
「はい、大丈夫です」何故だか周りでミドリちゃんがクスクス笑っている。
マコトさんの彼女のサツキが「可哀そうだからやめなよ!」と言っている。
「座って話しようよ」私は小さく首を振り止めるよう合図を送って
「え~、そうなの?明日の予定だったんじゃなかったの・・・」
「昨日、居ない間にHotelに電話が入っていて、
急に、打ち合わせの日程が・・・繰り上がって・・・」とノリコさんが言った。
「ジャー、アイコさんは残れば・・・予定無いんでしょ」
「え~、まぁ~、予定は無いけれど一緒に帰ります」
「明日なら、僕も帰るから車で東京まで送って行くよ」
「一日伸ばせば」と私が言った。
「折角の良い天気だし、蒸し暑い東京にいたってつまらないよ」
「友達になったばっかりだし・・・」
「今年の夏も後、少しで終わりだよ、借りている家も今月一杯で引き払うし・・・」
「それなら、アイコちゃんは残れば・・・」とノリコさんが言うと。
「ん~、でも、帰るわよ一緒に」
「大丈夫だって僕が責任持って送るから」
「他の女の子達もいるし」
「そうしなよ、Hotelの部屋もキャンセルしてもお金は戻らないし」
「でも、ノコちゃん一人で良いの」
「私は大丈夫よ、折角、誘ってくれてるし」
「そうそう、大丈夫だよ、皆で駅まで見送りにも行くから」
「うん、分かった」
「帰りの時間は何時なの?」そんな時、オタケとアラキが戻ってきた。
オタケは二人を見て気まずそうな顔をしていた。
「アラキ!ノリコさん今日帰るんだって!」
するとアラキ「そうなんだ」と言いながらシートに座ろうとして上がったとたん
「うあ~わ~~」落とし穴だ。
さっき何度も座ればと言っていたマコトさんが大笑いしていた。
道理でクスクス笑っていた訳だ。
すると笑い声が収まる間もなく周りが再び騒がしくなった。
「やめてよ!」
「泳げないんだからさ~」
「足も持て!足も持て!」
「勘弁してよ~」
「腕、放すなよ」
「タバコ!タバコ!それとサイフが・・・」
「よ~し行くぞう~」
「周りの女の子や男性達は愉快に笑っている」この時アイコ達は何が始まったのかと驚いたらしい
「6、7人の男達がオタケを捕まえ担ぎ上げていた」
「やめてよ~頼むよ~勘弁してよ~」戻って来る二人を見て皆が待ち構えていたのだ。
ターゲットをオタケに絞って。
服を着たまま海に投げ込む恒例の行事だ。
「わっしょい!ワッショイ!」担ぎ上げながらポケットの中を探ってタバコとサイフを取り出していた。
「やめてくれよ、名前が変わっちゃうからさ~」
「何、それ、名前が変わるって!」
「土左衛門ってさ~」
「そんな冗談言えるなんて余裕じゃん」
「それじゃ海岸じゃ無くお望み道理に桟橋から投げ込もうじゃん」
「そうしょう!」
「そうしょう!」
「OK!OK!」
「それじゃ~方向転換して」海岸のあちらこちらで笑声がしていた。
この時アイコはこの人達は本当に「パーボー」なんだと思ったそうだ。

後々に考えてみれば私たちのキューピットの役目をしたオタケを土佐衛門にしようとした訳だった。

急に帰る理由を言いたがらないので変だなと思い後に聞いたら、
アイコが従妹はテレビ番組、特別機動捜査隊に出演するので、その打ち合わせの為だったと言っていた。

皆で館山駅まで見送りに行く事になった。
これも何時も恒例行事だ。
入場券を買った10数人の仲間が見送りに来た。
列車は向かい合わせの席で夏も終わりのせいか空いていた。
「また、来年もおいでね」
「気を付けてね」
「さようなら」
「元気でね」もっともらしい別れの言葉だ。
「ありがとう」と言いながら列車に乗った。
席に着き窓を開けた。
すると突然好き勝手な事、有る事無い事を中にいるノリコさんに投げかけた。
「おい、東京で浮気するなよ」
「テレビの機動捜査隊に出るんだって」
「俺が居ないからって泣くなよ」
「まじめに学校行けよ」
「また帰って着たくなったら遊びに来いよ」
「俺に会いたくなったらいつでも帰って来いよ」
「機動捜査隊で殺され役やるんだって」
「キップ買わなくて大丈夫」他の乗客が笑っている。
車掌の笛の音が「ぴ~~~~」
「ミナミハラ君、アイコちゃんよろしくお願いしますね」
「はい、大丈夫です。ちゃんと送り届けますから」
「アイコちゃん帰ったら電話してね」
「じゃーね」
「バイバイ」電車がゆっくりと走り出す。
すかさず皆で「ばんざ~い、バンザ~イ、ばんざ~い、バンザ~イ」
みんなが居る時は良いが、送られた人は列車に取り残されわけで周囲の目と恥ずかしさでたまらないそうだ。強烈な印象と楽しい思い出、忘れる事は絶対ないはず・・・。

その日の夜、昼間に話をした夜光虫が見たいと言うので、
ドライブがてらに沖ノ島へ、ドライブと言っても車で10分位の防波堤で
「手を差し出し水面をバシャバシャとやってみな」すると手にまとわり付くようにキラキラと輝いた。
「わぁ~キレイ」夜光塗料でも撒いたように月明りの中、
波にゆられゆっくりと・・・そぉっと手の平ですくい上げると手の中でキラキラと。
大抵の娘はこれで落ちる。
が・・・アイコは違っていた。
会話を重ねる内に、見かけとは違い真面目で素直な心やさしい子だった。
一人娘で両親に大切に育てられたらしい。
私はそっと頬にキスをし「おやすみ」と言って車のシートを倒し寝てしまった。
後で聞いた話だが怖かったらしい、もしも来たらどうしょうかと不安だったそうだ。
予想外の行動に私を悪い人では無いと思い始めたらしい・・・へへへへ・・・。

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