おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#05★★1964年・衝撃的な夏を・・・

2013-06-25 | おやじ達の青春夏・エピソード


中3の夏休み、千葉県館山市に友達と3人で2泊3日の海水欲に行った。
親から離れて始めての外泊だ。

1日目の日の暮れかかった頃、海岸通りにある洒落た海の家、
立教大学キャンプストア付近を歩いていると通りの向こうから「先輩」「先輩」と呼ぶ声がした。
振り向くと声を掛けて来たのは真っ黒に日焼けした1年後輩のエイゾウだった。
走り寄って来て「先輩達どうしたんですか?」
「チョットぶらついているだけだよ」
「こんな所で会うなんて、何時来たんですか?」
「今日、お前は何してんの・・・」
「僕は知り合いの所で2週間位居候しています」
「先輩達、何処に泊っているんですか?」
「この先のシーサイドホテル・・・」
「凄いなホテルに泊っているんですか?」
本当はホテルのバンガローだったが言えなかった。
「あんな所に泊るなら僕らの所へ来れば~」
あんな所・・・初めての楽しい外泊をあんな所と言われムッとした。
フミオとタカハシも気持ちは同じだったようだが、
この二人は俺と違い少しプライドが高い分余計にこの後輩の生意気な一言にムムッっときたようだった。
けっして悪い奴ではないが日頃から生意気で2年先輩の硬派の兄貴がいるおかげで
だれも指摘する奴はいないのだ。
「楽しいですよ、行きましょうよ、先輩」
「みんなに紹介するから来れば~・・・とは言っても皆僕より年上の先輩ですけどね」
硬派の兄貴やその友達がいる所へなんてさらさら行く気は無い。
「いいよ、行く所があるからさ」とフミオが言うと
「何処へ行くんですか?」
「・・・・・・・・」
「どうせそこらへ行ってもつまらないですよ」
「家には女の人もいるし楽しいですよ」
女・・・女の人?妹?従妹?姉?家族で来ているのかなァ・・・
でも先輩って言っていたし・・・何だろう?
「家は直ぐ近くだからつまらなかったら帰れば良いじゃないですか」
とタカハシの背中を押しながら「行きましょうよ」
「ジャーチョットだけ」と言いながら私とフミオはしぶしぶと二人の後をついて行った。
「フミオ、家って別荘でも持っているのかな?何せ内の学校は金持ちの医者が多いからな・・・」
「とりあえず顔だけ出したら時期に帰ろうよ」
「そうだな」
10分程で着くとそこは別荘言うより普通の平屋の家、庭先から入り玄関を通り過ぎ縁側から中を除いた。「偶然に友達にあったので連れて来ちゃいました」
友達だと?「こんばんは~」と声をかけた。
中は部屋が二つと奥に台所が見える。
中には7、8人の男女が・・・縁側に腰を掛けると
エイゾウが「海岸を歩いていたら偶然にあったので遊びに来るように誘ったんです」
「紹介します、内の学校の先輩達でミナミハラさん、タカハシさんとハギヤ先輩です」
「こちらの先輩たちは大学生で00さんと00さん、00さんに00さんの彼女の
00さんそして00さんの友達の・・・」です。
「初めまして」エイゾウの兄貴とは関係の無い人達のようだった。
「こんばんは初めまして・・・」
「こんばんは、よろしく館山にはよく来るの?」
「いいえ初めてです」
「そう、何時まで?」
「もう一泊して明後日に帰ります」
「ふ~ん、3人で来たんだ」
「ええ・・・」
「エイゾウとは違って真面目そうだね」
「軟派ばかりしているとエイゾウみたいになっちゃうよ」
「親が居ないからって羽目を外し過ぎないようにね」
すると傍に居た彼女らしき人が「随分と偉そうな事を言うじゃない」と笑っていた。
「内の先輩達、此処に呼んでも良い?」
「居候の居候で」皆、親切そうな人達だ。
「良いよ、どうせ雑魚寝だから一人も3人も変わらないから」
「俺にもさ~こうゆう時期が有ったんだよな~」と、
笑いながら丸めたゴザを小脇に抱えと女性と手を繋ぎ家を出ていった。
こんな時間に何しに何処へ行くのだろう?
昼間じゃあるまいし海で使うゴザなんかを抱えて・・・と、
この時、我々純粋な先輩達は同じような事を考えていたそうだ。
他の女性からは「良く外泊するの?」
「いいえ、僕はボーイスカウトの合宿位です」笑っていた。
「楽しい」
「ハイ」
「学校はどこ?」
「何年生」
「中3です」
「可愛いいわね」
「そんなに敬語を使わなくても良いわよ」
「ガールフレンドいるの?」
「いいえ!」
「ジャー彼女はいないわね」等々と綺麗なお姉さん達との心時めく会話。
するとエイゾウが「気を付けないと誘惑されちゃうよ、このお姉さんたちに・・・」
誘惑!誘惑!!このお姉さんに誘惑?誘惑だって・・・いいなぁ~・・・と、
我々純粋な先達は同じ思いを描いていたようだっだ。
ここに来てよかった。
10分位で帰る筈が、既に数時間が経った。
純粋な先輩達は腹も空いているのに誰も帰ろうとは言い出さなかった。
家には沢山の人の出入りがあって、皆、好きな時間を好きなように使って楽しそうだった。
するとエイゾウが「タカハシさん、00さん誘って海にでも行ったら?」と小さな声で告げた。
この夜に海?・・・二人で・・・これってデ~ト・・・。
「いいよ」と断りの返事。
「ミナミハラさんは?」
「俺はいいよ」と遠慮を・・・本当は、じゃ~俺が行くと言いたいが、
純粋な先輩達にそんな勇気は持っていない。
コイツって後輩なのにこんな経験をしているんだァ~。
いいなぁ~。
生意気なのも仕方が無いのかな~と思った。
「え~大丈夫ですよ、あの人フリーだから」
「いいよ」
「何でですか?折角のチャンスなのに~」
「誘っても話すこと無し・・・」
「話さなくてもいいんですよ、一緒に海を見に行くんだから」どちらが先輩なのか分からない。
「早く、早く・・・」
後輩からの言葉に意地になりしぶしぶと
「あの~」
「なぁ~に」
「あの~あの~もしよければ海、海、見に行きませんか?」
「良いわよ」と明るい返事。
人事ながら断られたらやだな~あいつ断られたらどうすんだろうと、言う期待を裏切ってあの明るい返事。
いいな~、へぇ~・・・女って・・・意外と簡単に・・・誘えるんだ。
と、甘い考えを・・・。
二人が家を出ようとするとエイゾウが「タカハシさん」と呼び止めた
「手を繋ぐんですよ」とそっと耳打ちした。
あいつ手を繋ぐのかな~いいな~。
「じゃー行ってくるよ~」と緊張した顔。
出てまもなく「フミオ、後を付けてどうするか見に行かない。
面白そうだから」
「そうだな、ここにいてもしょうがないし・・・」
なぜか家には我々以外に人はいなかった。
みんな出かけて行ったのだ。
夜なのにゴザを持って。
通りに出て見るとタカハシ達がいた。
1m位間を開けて歩いている。
手は繋いでなかったので安心した。
奴だけ良い思い出はズルイと思ったのは俺だけだろうか?
頭の中では、もしかして・・・誘惑・・・ヒョットしてキ・・ス・・・
え~なんであいつだけ良い思いを、来るのを嫌がった奴が・・・。
そんな事を考えながら後を付けている事が無性に空しくなった。
二人は海岸に着いた。女の人がベンチに誘っているようだ。
わぁ~・・誘・・・惑・・・誘惑・・・
まさかこんなに人が居る所でそんな事する筈がないと高鳴る自分の気持ちを慰めた。
海岸のベンチに二人が座った。
間にはもう一人分のスペースを開けて。
よし、よし、それで良い。
「あんなに離れて座っているよ。笑っちゃうね」
暗闇に月明りに照らされた二人のシルエットが・・・羨ましかった。

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