おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#11★★暑い夏の寒い夜

2013-07-07 | おやじ達の青春夏・エピソード


寝苦しく熱い夜だった。
この時代、高価な扇風機などのここにある筈は無い。
誰かが「プールに行かない、気持ちよさそうだし」
「え~プールって何処の・・・」
「そこの学校のさ・・・」
「まずくない」
「そ~っと入って静かに泳げば大勝負だろ」
「いいね~俺も行くよ」
「じゃ~俺も」と海水パンツ姿の3人は夜のプールへ・・・
塀をよじ登り金網をこえてそ~~っと水の中に・・・
「うわ~気持ちいい~」まるで水風呂、平泳ぎでスイスイと・・・
「いいなぁ~」慣れて来た私は得意の潜水をと・・・
「25m泳ぎ切れるかな久しぶりだからな~」
海に来ていても水に入る事はめったにないからな~、目的が海水欲では無いし。
それではと潜り泳ぎ始めた。
海とは違いプールは波がないので泳ぎやすいが本来泳ぎは余り得意ではなく平泳ぎで30m位が良い所だ。
向かい側のプールの壁が見えて来た「よ~し泳ぎ切ったぞ・・・」
「壁に手を付き水面に出ると、まぶしい~何だこれ・・・」
「おい、誰に断ってここで泳いでいるんだ」と懐中電灯と三人の人影が・・・
そして、小使いさんらしき人が「駄目だよ勝手に入っちゃ」
「ほら、出て・・・出て」とおまわりさんが・・・まいったな~。
「はい、すみません」上がって回りを見渡すと友達の姿が無い。
どうしたんだろう・・・。
「それじゃ~交番まで来て貰おうか」
「仲間も居たよな」
「いいえ」
「見たよ、逃げて行くのを・・・」
「済みませんもうしませんから、許して下さい」と、
とぼとぼと海水パンツのまま交番へ、寝苦しい熱い夜が鳥肌のたつ寒い夜になった。
「君等、東京からきたのか?」
「はい、埼玉ですけど学校は東京です」
「仲間の名前は・・・それと何処に寝泊まりしている。
「学校名は・・・」
「すみません」
「仲間は?・・・」
「すみません」
「ん~~」
「・・・・・」暫くの沈黙、濡れた海水パンツが冷たく寒い。
「それじゃ~君の名前と住所、学校名を此処に書いて・・・」
「しょ~がないなぁ~、それじゃ~こうしよう仲間を連れて来たら始末書だけで済ませて、
学校にも親にも知らせないから、どうだ・・・」
「解りました」
「もしも、このまま戻って来なかったら君の親に知らせるからね」
「いいね」
「はい、解りました」と交番を後にとぼとぼと・・・
誰かに見られたらかっこ悪いな・・・
あいつら人を置いてきぼりにして・・・
なんで知らせてくれなかったろうと・・・
なんて言って連れて来ようかと考えながら家に近づくと
中から大きな笑い声「ミナミハラがさ~」
「アイツ大丈夫かな」
「潜るからいけないだよナァ~」
「ただいま~」
「オゥ~どうした?ミナミハラ大丈夫だった」
「お前らずるいよ!逃げるまえに教えてくれよ~」
「無理だよ、だってお前、潜ってたから・・・」
「許してくれたんだ?」
「まぁ~ね、お前達を交番に連れていけばね」
「え~俺達が・・・嫌だよ!」
「頼むよ始末書だけ書けば、学校にも家にも知らせないって言っているしさ・・・頼むよ」
「今度、トンピロのとんかつおごるからかさ~」
日頃、少ない小遣いでやり繰りをしているので、食べ物には弱い。
「解ったよ、しようが無いな~」

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