おやじ達の青春夏

団塊世代のおやじ達が過ごした楽しかった青春時代の想い出の数々。

#35★★護送車に乗せられ・・・

2014-01-16 | おやじ達の青春夏・エピソード
今日は久しぶりに人が多いので夜に宴会パーティをする事になった。
参加者は15人位、割り勘でお金を出し合ってつまみや飲み物を買い込んで、
ちゃぶ台を囲みわいわいと・・・。
アルコールはビールにジンライム、コークハイ、ハイボール等を揃えた。
ふた部屋の障子を外してテーブルを3台並べ周りを囲んで飲み始めた。
話が盛り上がり良い気分になって来た頃、
玄関で大きな声が
「おい、おまえ達うるさくねえか!」
「近所迷惑だろ~よ!」
「あっ、うるさかったですか?」
「どうもすいません」とマコトとサカキバラの声が・・・。
「すいませんじゃねぇよ!」
「これからは静かにしますから・・・」
玄関を覗くと怖そうなお兄さんが三人立っていた。
「何やってんだよお前達は・・・」と言いながら上がり込んで来た。
部屋を見回しながら
「何時も何時もうるさいよな!」
「楽しそうでよ」
「今日は俺達も仲間に入れろよ」
「そうしたら勘弁してやるから・・・」
と言いながら一人が
「セイジ、部屋に酒あったよな」
「ハイ」
「あれ持ってこいよ、仲間に入れて貰うからには手土産位無いとなぁ・・・」
全員がシ~~ンとなって顔を見合わせていた。
同じような事があった一昨年の事を思い出した。
持って来た日本酒をセイジと言う男が全員に注ぎに回っている。
「飲めよ」
「日本酒はチョット・・・」
「何、俺の酒が飲めないのかよ」
「いいえ、そう言う訳じゃ無いです」
「じゃ~飲めよ」
「さぁ~、さっき見たいに楽しくやろうぜ」
楽しくやれる訳がねぇよと心でつぶやいた。
「学校は何処」
「何年生」
「家は何処」
「何時から来てるの」
あれやこれやと質問攻め。
2杯目、3杯目と無理に飲ませながも、女の子を気にしている。
何か危なさそうだ。
暫くすると「いいね~お前、気に行ったよ。こっちで一緒に飲もうぜ」
「お前も来いよ」
とツボイとツボイの彼女にトシオの三人を台所に連れだした。
此方からは見えないのでトイレに行く振りをして様子を見に行ったら
台所の床に座ってウィスキーを飲まされていた。
どうやら皆を酔わせて女を狙っているようだ。
特にツボイの彼女が危ない。
幸い窓の所にいた俺達はタイミングを見計らっては酒を外に捨てていた。
1時間位が過ぎた
。吐き出した奴もいる。
このままではまずいがどうしょう。
一人は台所で・・・。
後の二人は我々の所で見張っている様子だし・・・監禁状態だ。
小さな声で
「このままじゃ拙いからよ俺がやるよ」
とチルが言った。「
そうだな皆でやるか!」
「まてよ、一人、台所にいるから包丁でも持ち出したら大変だぞ!」
「ううん・・・そうだな~」
「どうしょうか」そんな時に窓の外にタケダの姿が・・・。
遊びに来たら玄関に草履が多いのにいやに静かなので変に思いそーと覗いていたらしい。
窓ぎわにて訳を話し助けを呼ぶように頼んだ。
それから30分が過ぎた頃。
家の前でバイクが止まる音と車のドァーが閉まる音がした。
「こんばんは~」
「上がりますよ~」
と外から聞きなれない声が
「館山警察の者だが」
と制服の警察官と刑事らしき人達が三人入って来た。
我々、全員が緊張した。
「誰だ、勝手に人の家に上がり込んでいる奴は!」
「お前らか!」
「いえ、違います」
「違います?じゃ~お前達は友達か」
と、我々を見た
「皆が首を横に振った」
「こっちへ並べ」
上がって来た刑事さんに猫をつかむように首根っこをつかまれ縁側に並べさせられていた。
「すいません勘弁して下さい!」
「なにがすいませんだ!事件を起こしてからすいませんじゃ済まないんだよ」
「遊びに来ている健全な人達を脅して!」
と言いながら無線で車を手配していた。
「さぁ、署まで来て貰おうか」
「勘弁して下さい、お願いしますよ」三人はパトカーに乗せられていた。
「皆さんにも一応署まで来て下さい」
「事情を伺いますので・・・」
「今、車を手配したので車が来たら後からそれで署の方まで来て下さい」
「あの~全員ですか?」
「そんなには乗れないので事情の解る人達で良いですよ」
「はい、解りました」
怖いお兄さん達と警察の人達は先に行った。
「あぁ~良かった」
「警察だってよ、家に連絡されるかな」
「まさか警察が来るとは思わなかったよ」
「未成年でタバコに酒、補導されるかと思ったよ」
「あいつ等のビックリした顔見た」
「泣きそうな顔してたぜ」
家の前に車が来た。
外に出てみると
「え~何これ」
「護送車じゃない?」
「護送車?」
「俺達は犯人?」
すると警察の人が「沢山乗れる車がこれしかないので悪いですけど、これに乗って下さい」
警察署に着き中に入ると三人は並んで椅子に座らせられていた。
「それじゃ事情を伺いますので皆さんは此方へ来て下さい」
と少し離れた向かい側に。
「お前らは何処から来たんだ」
「東京です」
「何処の組のもんだ」と頭をどつかれていた。
「いいえ、組なんか入ってないです」
「それじゃ何でやくざみたいなカッコしてるんだ」
と言いながらまた頭を突かれていた。
おまわりさんは我々にも質問をしてきた。
「君は何をされたのかな?」
「はい、肩を組まれて此処に居ても良いかと言われました」
聞いていた刑事さんが
「そうか、コイツがそうしたのか?」
「いいえ」
「コイツか」
こう言う時に指さして言えない事を知っているようだった。
「違います」
「ジャーお前だな、肩に手を回すってお前はあの人にこうしたのか?」
と肩を組むと言うより首を絞めながら問いただしている。
「そんな事はしていないすよ!」
「お前等が肩を組むって言う事は素人さんには首を絞められるのと同じ事なんだよ!」
「それが脅し、恐喝なんだよ!」
我々は手を出された訳では無かったのでチョット可哀そうな気もした。
「貴方は何をされたのかな」
「無理にお酒を・・・」
「飲まされたのか?」
「お前らは未成年者に酒を飲ましたのか?」
と言いながら髪の毛を掴まれ頭を振り回されていた。
そしてと次々とやられた事を聞かれた。
「いいかお前達がやった事は家宅侵入と不法占拠、監禁等で立派な犯罪なんだぞ」
「皆さんはどうしますか?こいつ等を訴えますか?訴えるようでしたらこのまま留置所に入れときますが?」「どうする?」
みんな顔を見合わせながら困った顔をして首を横に振った。
「いいえ、そこまでは・・・なぁみんな・・・」
「えッえ~」
「そうか、お前ら良かったな良い人達で、
カツアゲや万引きとは比較にならない犯罪だぞ!
それを訴えないなんて良い人達じゃないか」
「今度こんな真似したらタダじゃ置かないからな、刑務所にぶち込むぞ・・・」
「さぁ~一人づつ皆さんに誤って・・・お礼を言いなさい」と言いながら頭をどつかれていた。
借りてきた猫のようになったお兄さん達は
「御免なさい」
「どうもすいませんでした」
「もう二度としません、すいませんでした」
「それじゃ~皆さんは帰って良いですよ」
「はい、有難う御座いました」
「所で皆さんは何の集まりなのかな」
「うっ、僕らですか?」
「え~僕等はテニスクラブの合宿です」
「そうテニスね」
「じゃ~テニス頑張ってね」
帰りの護送車からの館山の夜道、
俺達テニスクラブだって・・・まぁ何も無くて良かった。

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