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蒼い地球で生きた最後の時LAST LIFE・LAST TRIAL

詩・音楽・絵・写真・山歩きと神様の日々の足跡

My Poem「失われた背骨」

2022年07月12日 | POEM

魂の双子のロルカとダリは1922年衝撃的に出会った

二人は同じものを背負っていた

死の恐怖と同性を愛すること

 

ロルカはダリに 互いが背骨になるよう求め続ける

背骨は 理解し承認し生きる構成要素となるもの

だが二人は 放たれた矢のように刺激しあいながらも

実のところ 背を合わせようとはしていなかった

 

7年後 ダリはガラを見つけてしまう

そして生きる者へと自分を再構成する

 

片割れのままのロルカは フラフラとあてどもなくさまよい続け

骸骨のような空洞な目のうえに

好みのマスクをつけたりはずしたりしながら

少しずつ

生きることから遠ざかっていくしかなかった

 

さらに7年後 内乱の中でダリは強く生きながらえたが

背骨を持たず 生きるための翼を持たないロルカは

成功とまばゆい賞賛をあびながら

時代の象徴として死んでいった

 

ひとり 黒い馬にのり 月を見上げながら・・・


My Poem「くちなし」

2022年07月06日 | POEM

朝の濡れた歩道で

くちなしの甘い香りが鼻をかすめる

酷暑の合間の恵みの雨が

苔むした土をにおいたたせ

木も葉も草もつややかな緑に光る

あたり一面に 

キラキラした生命の喜びのエネルギーが満ち溢れ

くちなしの真っ白な花は

ただ静かに強烈に咲いている

 


My Poem「山の夜」

2022年07月03日 | POEM

霧がゆっくりと流れてくる

そのうちに鳥のさえずりも消え 夜が私達を包み込んだ

ポカンと大きく口をあけた暗闇

得体のしれない何かに引っ張られそうで

いそいで 小屋の中にかけこむ

 

弱い懐電の灯り ろうそくの丸い虹の輪

湯気が白く立ちのぼる向こうでは 食事の支度が続く

皆は笑っている いすにかけて横顔で語っている

遠い山の記憶がよみがえる 久しぶり・・・山の夜


My Poem「お疲れさん!」

2022年06月28日 | POEM

鏡を見ると 生きた分ちゃんと年取った私がいる

身勝手な事故で車イスになった夫を放り出さず

二人の息子も無事育て上げた

よく頑張ったじゃない 上出来だよ

これからは好きなことやって生きようよ

と声を掛けると

人生は 苦も楽もいろいろあって楽しいねぇ・・と

鏡の中の私が笑った

 


My Poem「虚無の世界で」

2022年06月16日 | POEM

錆びついた線路の向こうで 風に揺れる小さな花

あの頃は 大きく輝いて見えた景色が

今は 小さく 悲しみを帯びて見える

 

なぜ世界は 嘘の上に立っているのだろう

それは虚構だと叫んでしまえば

人々は 真実に気づくだろうか

 

その時が来るまで私達は 終わりのないダンスを

目の前のどこまでも続く線路のように

踊り続けるのだ