『東京から青森へ、明日正午が出棺。
父親の葬儀にも、人生にも何もかも間に合っていない―
それでも陽子は初冬の東北を行く。
夢やぶれて20数年。引きこもり孤立をしていた42歳の陽子は、長年断絶していた父親の葬儀のために、郷里の青森県弘前市に渋々帰ろうとする。しかし、あろうことかヒッチハイクをする羽目に...。』映画公式サイトより
菊地凛子主演の『658km、陽子の旅』を鑑賞
菊地凛子といえば『鎌倉殿の13人』で、北条義時(小栗旬)の3番目の妻“のえ”を演じた悪妻ぶりが記憶に新しいが…
やはり、2006年の『バベル』を語らなければ『658km、陽子の旅』は無いのではないか、と思う
『バベル』(Babel)2006年のアメリカ映画
監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
キャスト ブラッド・ピッド ケイト・ブランシェット 役所広司 菊地凛子
『モロッコを旅行していたアメリカ人夫妻の妻が、突然銃撃に遭い重傷を負う。医師もおらず、言葉の通じない村で夫妻は苦しむ。そしてその悲劇は、メキシコ、東京で同様に「言葉の壁」に悩む人たちに繋がっていく。』ウェキペディアより
★★★★★
傑作です!!
敏腕商社マンの役所広司(演じる役以下同)と高校生の菊地凛子は親子でウォーターフロントのタワーマンションに暮らしている
菊地凛子は「ろう者」で、母親が自殺してから父娘の関係もギクシャクし心を閉ざしている
ラストシーン
↓
流れる音楽は、坂本龍一の『美貌の青空』、全裸になって(バリアを外し)タワーマンションから夜景を眺める菊地凛子、娘は父の手を求め、触れ合い心を開く
『バベル』の高校生菊地凛子が、そのまま42歳の陽子になっている
「言葉の壁」はここでは「東北」「津軽弁」に矮小化されているが、「ヒッチハイク」と東日本大震災が物語を補強する
『就職氷河期世代である42歳の独身女性・陽子(菊地凛子)は、人生を諦めてフリーターとしてなんとなく日々を過ごしてきた。そんなある日、かつて夢への挑戦を反対され20年以上疎遠になっていた父(オダギリジョー)の訃報を受けた彼女は、従兄の茂(竹原ピストル)やその家族とともに、東京から故郷の青森県弘前市まで車で向かうことに。しかし、茂の家族は途中のサービスエリアで子どもが起こしたトラブルに気を取られ、陽子を置き去りにして行ってしまう。所持金もなくヒッチハイクで故郷を目指すことにした陽子は、道中で出会ったさまざまな人たちとの交流によって心を癒されていく。』引用元 映画.comより
たどり着いた、青森に雪がふる…
菊地凛子の名演に震える
★★★★☆
『バベル』を日本の中で再構築
矮小化を救っているのは、
菊地凛子の名演と熊切監督の演出
『バベル』を合わせて観ることを
推奨します