星空自慢の宿 帯広八千代 YH Starry Sky Inn

日高山脈が綺麗に見える
北海道十勝 帯広 星空自慢の宿
大きな畑と森と空がいっぱいです。

アミ  ケープロカ

2020年08月30日 16時26分00秒 | フィクション
万華鏡の中のような揺れる光が
塗料が足りなかったことを
想像できるマダラに塗られた白い壁に
あたり始め・・
窓から入る湿気の多い空気は
切れることなく続く荼毘の香りを載せ、
体臭と何かの食べ残し、そしてそれぞれに
染み付いた疲れた香り、、
そんな空気をかき混ぜるオンボロの
ナショナル製のファン・・
一夜、ワンベッドの宿。
西ドイツから来た夜になると母を想い泣くヒゲだらけのミッシェル、日々腹痛に悩まされながら帰国を考えるオージーのスティング、旅の資金を路上で手品をして稼ぐキィウィガールのレイラ、、、
そして数週間前、イスラムの大きな
ドームの中で、出会った僕の相棒は
ザックの脇にいつも洗濯と
安物のサンダルをぶら下げた
無愛想で目の綺麗な小さな女の子アミ、
なんとなくチャイを飲み、
なんとなく飯を食べに出かけ
なんとなく話してるうちに
同じ方向ならばと窓に鉄格子の
付いた牢屋のような列車に詰まり
僕たちは川の向こうに別の世界が
あるという街にやって来た。
アミはいつもノラ猫に喧嘩を売り
口癖は自分の前世はネズミ・・・
シャワーも浴びず聖なる流れに浮かび
生臭い湿った風に髪をあて乾かす様子を
僕はボンヤリ眺めながら、
ガートと呼ばれる河岸に寝そべり
お喋り好きなアミの話を
いつも聞いていた、いや聞いていたかった
できるなら、いつまでも、、。
自信ある話から、
急に黙り目を潤ませたり、
甘い甘いヨーグルトが彼女のお気に入り、
そして夕食の最後に濃いコーヒーを一杯
・・
この先?
この先とは?数年先でも、もっと先でも
無い、遠くても明後日のことを聞かれて
やっと答えられるような、この部屋で一夜を過ごす僕たちにも、分け隔てなく
新しい朝の光がさし始めてました
強さ、儚さ、弱さ、そんな事に
何となく引かれるように移動し
なんとか明後日先の予定が決めれる日々
どこまで進んでもエンドがない事にも
気がついてはいるのに、エンドを恐れ
一塊になって過ごした夜。
ベッドの主も少しずつ変わり
ミッシェルは南へ、スティングは5年振りの
帰国を選択、レイラは大道芸のプロになると本場フランスパリの学校をめざし・・
アミはもう少しここで川に浮いていたいと
・・そして僕は陸路でヨーロッパをめざし
・・・・
それぞれの未来へ
198Q 年 インド バラナシ
・・・
その後のアミのことは
ケープロカにたどり着いたとハガキを
もらった以外、何も知らない

全てフィクションです
🙇‍♂️