私の好きな人は時計をしている。
特別高いわけではない時計だ。
なぜ「高いわけではない」ことを知っているかというと
その時計は、まだ付き合っている時に私があげたものだから。
もっと上等な時計を持っているはずなのに、箱を開けたとき彼は
「毎日使うよ!」
と言ったが、別れてからも本当に毎日それを使っているようだ。
いつ会ってもその時計をしている。
彼がその時計をしているのを見ると、今でも胸が
【きぅー】
となる。
我ながら、なんて彼に似合うものを選んだんだろう、と思う。
少しの間、自分の頭の中が彼の時計のことでいっぱいになる。
そういう私も、以前、誕生日に彼がくれた時計を毎日している。
同じブランドのものだ(私が彼にあげたものより高かったけど)。
一緒にお店に見に行って
「全くお揃いは恥ずかしいけど、この時計が一番似合うと思う」
と彼が選んでくれた。
見る人が見たら、その彼と私の時計が微妙におそろいだと気付くはずだが
まだ誰も気付いたことは無い。
でも、彼と会う日には、時計がちゃんと目立つように7分袖の服を着たり、
袖を捲り上げたりする。
そして私の手首は、彼がプレゼントしてくれたときよりずっと華奢になって
いつも手首のところでずるずる動いている。
まるで借り物のよう。
調節なんて簡単に出来ることなのに、あえてしていない。
時計をプレゼントされた頃の、幸せでもっところころしていた自分の名残。
彼のことがどうでもいい人になったら、きちんとサイズを直そう。
そう思いながらもう一年近く。
意外とするすると過ぎていく時間を、お互いの時計が淡々と刻んでいる。
特別高いわけではない時計だ。
なぜ「高いわけではない」ことを知っているかというと
その時計は、まだ付き合っている時に私があげたものだから。
もっと上等な時計を持っているはずなのに、箱を開けたとき彼は
「毎日使うよ!」
と言ったが、別れてからも本当に毎日それを使っているようだ。
いつ会ってもその時計をしている。
彼がその時計をしているのを見ると、今でも胸が
【きぅー】
となる。
我ながら、なんて彼に似合うものを選んだんだろう、と思う。
少しの間、自分の頭の中が彼の時計のことでいっぱいになる。
そういう私も、以前、誕生日に彼がくれた時計を毎日している。
同じブランドのものだ(私が彼にあげたものより高かったけど)。
一緒にお店に見に行って
「全くお揃いは恥ずかしいけど、この時計が一番似合うと思う」
と彼が選んでくれた。
見る人が見たら、その彼と私の時計が微妙におそろいだと気付くはずだが
まだ誰も気付いたことは無い。
でも、彼と会う日には、時計がちゃんと目立つように7分袖の服を着たり、
袖を捲り上げたりする。
そして私の手首は、彼がプレゼントしてくれたときよりずっと華奢になって
いつも手首のところでずるずる動いている。
まるで借り物のよう。
調節なんて簡単に出来ることなのに、あえてしていない。
時計をプレゼントされた頃の、幸せでもっところころしていた自分の名残。
彼のことがどうでもいい人になったら、きちんとサイズを直そう。
そう思いながらもう一年近く。
意外とするすると過ぎていく時間を、お互いの時計が淡々と刻んでいる。