「LIES 嘘」 ＤＶＤにて

前衛的韓国映画『LIES 嘘 原題：거짓말 』ノーカット完全版を観ました。

凄いです。私が今まで観た映画の中で一番凄いのではないでしょうか。『スキャンダル』や『ハッピーエンド』『気まぐれな唇』なんてこの作品に比べるとおとなしいモンです。下手なＡＶでは太刀打ちできません。

女子高生の「Y」は電話で知り合った中年男性「J」と待ち合わせをしていた。彼に自分の処女を捧げる為だ。二人はホテルにて結ばれ、2度3度と逢瀬を重ねる事のになる。やがて「Ｊ」の性癖であるＳＭの世界へと足を立ち入れることになり・・・

導入部のあらすじです。以下ネタバレ

全編の8割以上がＳＥＸシーンです。（この作品私不肖38歳、恥ずかしくて劇場では観れないです・・・）原作は韓国で発禁を受けた小説らしいです。映画自身も韓国では色々な制約の元カットされているらしいのですが、この日本版ＤＶＤはノーカットだそうです。（モチロンぼかしは入ってますよ。そういう意味でのノーカットではありません）
二人の年齢差の設定は20歳。「Ｙ」が18歳「Ｊ」が38歳の時に出逢っています。「Ｊ」がＳという性癖を現し始めたとき、主導権はＪが握っていました。「Ｙ」は「Ｊ」に愛されていると感じＭの立場に身を置きます。しかし「Ｊ」はＳではなく深層意識の奥底にあるＭへの願望からＳの性癖が現出していたのです。自分は人生の下り坂へ向かう「Ｊ」はそれを実感しはじめ、彼によって目覚めた「Ｙ」は急速に女としての羽根を広げ始めた時、二人の立場は逆転していきます。この作品は未成年、そしてＳＭという私達の世界ではタブーともとれる観点から、残された時間を嘘で塗り固めて生きていく中年男性の悲哀と、少女というサナギから大人という蝶へと脱皮し、やがて彼の元を羽ばたいていくまでを描いている作品とも云えるのではないでしょうか。
私はこのチャン・ソヌ監督のことは何も知らないのですが、頭のいい監督だな、と思います。最初の逢瀬の時彼はバスから離れて見送っていました。後の別れの時にはバスの横に立ち窓に指をあわせています。彼の彼女に対する執着心の度合いが表現されています。また冒頭、撮影の風景などが挿入されています。コレを挿入することでこの作品はフィクションなんだよ、と観る側にアピールし、拒否反応を和らげる効果をもたらしているのではないかと感じました。
しかしながらタブーを取り払ってみるとなんてことはない、若い女性に夢中になり転落する中年男の物語、しか残らない気も・・・


どう甘く見ても一般受けしません。
評価　星　いってん　ご


公式サイト
韓国映画とハングル

・LIES/嘘＠映画生活

P.S.
カップルで見る作品でもないような・・・


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