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やっぱり民法が好き!

悪意者及び背信的悪意者の排除

2006年03月01日 | 物権
【問題提起】
 物権変動は登記しなければ悪意の第三者に対抗できないか。悪意者が177条の「第三者」に含まれるかが問題となる。

【通説】
 この点、登記制度が善意の第三者の保護、取引の安全を目的とすることから、「第三者」には悪意者は含まれないとし、悪意者の保護を否定する見解がある。
 しかし、177条の文言上、そのような制限はされておらず、また、第三者の善意・悪意を問題とすると、その立証をめぐって紛争を誘発・紛糾させ、結局は登記制度の目的である取引の安全を害することになる。さらに、悪意者の保護を否定することは自由競争原理からの要請にそぐわない。
 よって、「第三者」には悪意者が含まれると解すべきと考える。
 一方、背信的悪意者にまで保護を及ぼすことは、信義則や権利濫用の法理に反し、自由競争原理を逸脱する。また、対抗要件主義は、登記の懈怠をした者の帰責性を理由とするところ、第三者にそれを上回る背信性がある場合には、そうした第三者を保護する必要はない。
 よって、「第三者」には背信的悪意者は含まれないとし、背信的悪意者の保護を否定するのが妥当と考える。

【備考】
要論p53