WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

現地に飛んだスタッフが映画祭の様子を毎日レポート!

【蔵出しレポート】木村佳乃さん単独インタビューに成功!

2008年06月06日 | 現地レポート

フェルナンド・メイレレス(Fernando Meirelles)監督『ブラインドネス (Blindness)』に出演した木村佳乃(Yoshino Kimura)さんにインタビュー!
撮影の裏話や演技に対する思いなどを話してくださいました。



質問:
『ブラインドネス』の役作りはどうしたんですか?

木村佳乃: 
大変でしたよ!目の見えない役を演じるのは初めてだったので、カナダで二週間くらいワークショップがあって、毎日アイマスクをしたまま車で知らないところに連れて行かれ、その建物の中を歩き回ったりとかしてました。リハーサルもたくさんしたし、全てが初めての経験でした。


質問:
オーディションを受けられたとお聞きしましたが…

木村佳乃: 
オーディションが変わっていて…。とても緊張して行ったんですけど、話しただけ帰されたんです。それで不安になっていたら電話をいただきまして、次の日また来てくれと言われました。その時お芝居をしまして、役をいただきました。



質問:
他のキャストのみなさんと共演なさっていかがでしたか?

木村佳乃: 
みなさん本当にプロで、協力し合うことができました。みなさんオープンで、ある意味楽でした。上下関係も国境もキャリアも性別も超えた関係だったので、すごくやりやすかったです。ジュリアン(・ムーア)みたいな大スターでさえすごくフランクで。ほんと楽しかったんです、クリエイティブで。



質問:
演技に興味を持ったきっかけは?

木村佳乃:
中学時代、アメリカに住んでいたんですけど、夏目漱石さんの小説が大好きだったんです。『三四郎』『こころ』『それから』が大好きで、松田優作さんと藤谷美和子さん出演、森田芳光監督の映画『それから』を観た時にすごく衝撃を受けたんです。アメリカで観たんですけど。そこからですね、日本の映画に興味がわいたのは。


質問:
映画に対する思いとは?

木村佳乃:
自分が演じる役柄にリアリティを持たせようといつも心がけているんです。それが「わーやだな」でも「素敵だな」でも何でも良いんです。何かを感じていただけて、少しでもその観てくださった方の人生の糧になればいいなって思ってます。そういう風に思っていただけたらこれほど幸せなことはないと思うんですね。なので自分の演じる女性像には全体力を注いでいます。

このインタビューの模様は番組で!


■『ブラインドネス』
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、伊勢谷友介、木村佳乃


11月全国ロードショー

「VIVAカンヌ映画祭2008」
6月8日(日)午前11:00ほか
詳しくは番組紹介にて
お楽しみに!




【蔵出しレポート】カンヌ恒例「CINEMA DE PLAGE」にクリント・イーストウッドが登場!!

2008年06月06日 | 現地レポート
カンヌ恒例「CINEMA DE PLAGE」にクリント・イーストウッド (Clint Eastwood)が登場!本日は、そのイベントの模様を蔵出し。

以下は「CINEMA DE PLAGE」のイベントの模様。

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カンヌ映画祭公式上映プログラムの中には、「CINEMA DE PLAGE(ビーチのシネマ)」と言う上映があり、名前の通り、カンヌのビーチでの野外上映です。ビーチ・スクリーンの前にはビーチ・チェアが置かれ、贅沢な映画鑑賞ができます。しかも、横は市営ビーチなので、映画関係者でない一般人でも砂浜に寝転んでみる事ができます!




その中で一番の話題は、『ダーティーハリー(Dirty Harry)』の上映でクリント・イーストウッド (Clint Eastwood)が舞台挨拶をするという、Warner Bros.の85周年を記念したイベント。

クリント・イーストウッド:
皆さん、ありがとうございます。波がやってくるから、早くすませないとね。今日は、37年前に僕がドン・シーゲル(Don Siegel)監督と作り、また僕の俳優人生で非常に大きな意味をもった作品を上映します。5.1サウンドになおされています。もしかしたら、この映画では僕が誰なのか、よくわからない人がいるかもしれない。この映画で僕の髪はまだ焦げ茶だしね!この場にいられて非常に嬉しいです。ではよい映画を!




クリント・イーストウッドは、コンペティション作品『The Exchange』でカンヌ入りをしていたので、そのついでのボーナスという感じでした。

このイベントの模様は番組で!


「VIVAカンヌ映画祭2008」
6月8日(日)午前11:00ほか
詳しくは番組紹介にて
お楽しみに!







【蔵出しレポート】『Linha de passe』記者会見

2008年06月06日 | 現地レポート

サンドラ・コルベローニ(Sandra Corveloni)が主演女優賞を獲得した、ウォルター・サレス&ダニエラ・トマス(Walter Salles & Daniela Thomas)監督の、『Linha de passe』の記者会見模様。




この作品は、『モーターサイクル・ダイアリーズ』を監督したウォルター・サレスと、ダニエラ・トマスが共同監督し、役者はサレス監督の『セントラル・ステーション(Central do Brasil)』で主演を演じたヴィニシウス・デ・オリヴェイラ(Vinícius de Oliveira)以外は、一般人の中からキャスティングしているんです。

長編映画初挑戦で、今回のカンヌ国際映画祭主演女優賞をとった43歳のサンドラ・コルベローニ(Sandra Corveloni)は、お腹の子供を亡くしたばかりでカンヌには来れませんでした。

記者会見には、ヴィニシウス・デ・オリヴェイラと、父親違いの兄弟役を演じた映画初出演の、João Baldasserini、José Geraldo Rodrigues、最年少のKaique Jesus Santosが参加しました。


ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ(左)、ウォルター・サレス(右)


João Baldasserini


José Geraldo Rodrigues


Kaique Jesus Santos


現代の映画監督の中でも、一番繊細で人間的だと思えるウォルター・サレス監督。
毎回彼を観察していて感銘するのですが、例えばこのような記者会見場などでは、会見の後でジャーナリストや映画関係者が、監督や役者達にどっと押し寄せてサインや写真をとったり、映画について話を続けたりします。そういう要望に最後まで応対するのは、このカンヌ映画祭でウォルター・サレス監督だけと言っても過言ではないのです!




『Linha de passe』も、こんなに、繊細で、人間愛に満ちたパーソナリティーだからこそ生まれたんだなあ、と思える、なんとも心の洗われる作品です!父親違いの四人の子供達を母親一人で育ててる貧困な家庭の物語なのに、なぜか、見終わった後、子供が欲しいなあ、って思ってしまったのが不思議!!!これぞ、ウォルター・サレスマジックなのでしょうか!!愛情を感じられる作品なのです!




質問:
この映画のインスピレーションはどこから得たのか。

ウォルター・サレス: 
Kaiqueの演じた役は、ブラジルで4、5年前、本当におこった事をモデルにしたんだ。映画は、事実に即して作られているんだ。若者と、自己を再発見する人々を描く映画を作りたかったから、僕はダニエラ・トマス(1995年に『Foreign Land』を共に監督した)と一緒に、裕福な日常生活をまず捨てたんだ。そうして今まで映画に出演した事がない俳優たちを集めた。この映画に出演している俳優たちの99パーセントが映画初出演なんだ。俳優だけじゃない、技術陣もだよ。




質問:
二人で監督する事について

ダニエラ・トマス:
ウォルターはとっても寛大な人間でね、私にこんなすばらしい経験を一緒にさせてくれるなんてほんと気が違ってるわよね。私達二人が作る映画って言うのは、ウォルターが一人で監督するときの映画とは全く違うんです。二人で居ると、10にも12にも20にもなる。どっちが上とかそういうことはまったくなく、スタッフみんなで作り上げた作品と言えるでしょう。俳優、技術、皆うちとけていて、カメラの後ろでは話が弾んでいました。すごく開放的で、なんでも話し合ったし、皆気持ちよく仕事ができた。大きな一つのファミリーみたいなものでした。みんなこの家族の一員でいることを喜んでいたわ。

ウォルター・サレス: 
二人で監督するって言うのは、集団で行う冒険っていう映画のアイデアにちょっと回帰するものだね。
時々こういうことを実験するっていうのは僕にとって興味深い事なんだ。こういうことは、いつもいつも行うのは難しい、でも、何本か一人で撮ってみて、集団って言う映画のエッセンスに帰ることができる、他者の視点によってさらに豊かになる映画について考える、そういうことは、とってもインスピレーションを生むし、ただこのプロジェクトを豊かにするだけではなくて、他のプロジェクトも豊かにするんだ。例えば、ダニエラと一緒に撮影するとき、結果は、自分一人で監督するときよりも、ざらざらとした粗野な感じになるような気がするんだ。でも僕はこの危険な感じがすきなんだ。二人でするときは、いつもより行動的だし、即興的だ。俳優たちをシーンに束縛しないし、俳優を追うよう心がける。カメラは、俳優の手助けのような役割をしているんだ。絶対にしないといけないというようなものはなくて、まったく予測していない事がおこる事がしょっちゅうだ。映画中の25~30パーセントがシナリオには書かれていない。とても自由で面白い。僕には時々こうした冒険が必要なんだ。


ウォルター・サレス(左)、ダニエラ・トマス(右)


質問:
サンパウロでの撮影について

ダニエラ・トマス:
サンパウロの町は、台本と同じくらいこの映画にとって重要。巨大都市で、逃げ場がないのです。リオと違ってね。リオは大きい町だけど、海がある。だから逃げ出すという可能性をまだ持っています。でもサンパウロにはなにもない。通りと、建物と、トンネルと、橋があるだけ。サンパウロって言う町は、世界の果てみたいな町。脚本を書き始めるにあたって、私たちはサンパウロに行きました。私はこの映画に登場する地区をまだ全部は知りませんでした。そこでまず町に溶け込んで、現状を理解しようとつとめました。映画に登場する地区は、シナリオを書き始めたときに選んだのです。理論的だったり、抽象的だったりといった場所ではないのです。私たちはこの地区の人々がどんな暮らしをしているのか知った上で書いたのです。


質問:
シナリオについて

ダニエラ・トマス:
劇的な展開が必要だったのです。あと、複数の登場人物間の移行もね。彼らが会うから移行するっていうんじゃなくて、川で言うと支流が本流に流れ込むような、そういう感じで話が進んでいく。彼らの物語がお互いに交わってゆく。映画は、交わり合い、またさらにとけ込んでゆく物語がまるで三つ編みにしたひもみたいになるように考えられています。それぞれの物語は独立したものではない。


質問:
父親の存在がないことについて

ウォルター・サレス: 
最近ブラジルにおいてある統計が発表されてね。それによると、父親の居ない家庭がおよそ25~28パーセントを占めるそうだ。統計学上驚くべき数字だよ。父親のいない家庭はどんどん増えていっている。その結果、母親一人で子供を育てる家庭、母親が父親と母親の役割を一度にしないといけない家庭、母親が戦わなければならない家庭というのにぶちあたる訳だ。僕にとって、母子家庭の母親って言うのは、精神的抵抗者という存在だね。この映画をみればよく分かるようにね。




ウォルター・サレス(左)、ダニエラ・トマス(右)


■『Linha de passe』
監督:ウォルター・サレス & ダニエラ・トマス
出演:ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ、サンドラ・コルベローニ、Ana Carolina Dias




「VIVAカンヌ映画祭2008」
6月8日(日)午前11:00ほか
詳しくは番組紹介にて
お楽しみに!