木に想う

家も建てちゃうドア・家具も創っちゃう材木屋 加藤木材の社長の想う木の話

機械と偽装…含水率

2015-11-27 19:48:55 | 木(杉)の話

くい打ちのデータ偽装の件が話題になっています。

 

ぼくはこの件に関しましては承知していないのですが

木材に関してはデータ偽装というか…機械がアテにならない事を公表することにしますかね。

 

木材には「含水率」というのがありまして…

木材の内部に水分が多く含まれていると

建築工事に使用後に乾燥が進んで、水分が抜けると、その分の体積変化による

変形…割れ…などなど不都合があるので、木材内部に含まれる水分を図る「含水計」という機械で測るという出荷前検査などが

ある場合がございます。

 

木材の内部には必ず水分がありまして

これは人に例えるなら血液のようなモンでして

どんなに乾燥しても含水率が0%になることはありません。

 

炭になってもひょっとしたらあるかもしれませんね。

木材の水分ってそれくらいのものなんです。

水分があるから木材という形でいられる…という感じ。

 

「木」には成長を前提とした水分がありますから、それは木材になったら人間は不要。

されど木が長年大地にあって蓄えた精油分は放出させたくない。

精油分とは防虫効果…粘り強度…豊かな芳香=鎮静効果・・・・とうあれ。

この水分と精油分は別々のタンクに入ってたり、ビーカーに入ってる訳じゃなく

木材の内部に混在しているのです。

 

話は戻って、この「含水計」上記の水と精油分の区別ができないのです。

 

この含水計は木材の表面だけでなく

その内部の水分を測定できるという売り文句なのですが

「水と油」の違いがわからないのですよ。

 

それが証拠に…含水率18%くらいの精油部豊富な100年杉の赤味を加工して

「超仕上げ」という、あのカンナ屑がシュッとでる最終削り加工を施すと

なんと含水率が10ポイント以上あがって

30%くらいになっちゃうんです!!

 

(「尾鷲香杉」の床材は超仕上げ加工です。今はほとんどが紙やすり仕上げのような「サンダー仕上げ」になってしまっています)

 

カンナでシュッ!削った際に、精油部分が木材面に広がるでしょ。

それを水分と誤認するんだよね。たぶん。

 

だいたい百年も大地にあって

幾多の微生物と一緒に育って

その過程で数々の精油分や抽出成分を保有して

それらがまるで魔法のように空気を浄化させたり、眠れない人が眠れるようになったり…ということを

伐採後も半永久的に…ありがたい活動をしてくださる…

 

地球上でもっとも古くからいる生き物であって

更に大きさも命の長さも最大の生き物である神秘の生き物である木の内部を

たかだか3万円くらいの機械で読み取れる方がおかしい。

人間の内部を見る機械だって数千万円とかするんでしょ。

 

 

この写真は、もう7年くらい前に、三重県の尾鷲の畦地製材所さんで

この精油分と水分の誤認の話から

畦地製材所さんの敷地内で

含水率1ケタの杉材を探そうゲームをした際の写真です。

 

畦地さんのトコには精油分豊富な100年杉ばっかりですから

機械はその油分を水と誤認して

どれもカラカラに乾燥してるのに、どこを計っても数値は高めで

この敷地内には1ケタ台は無いよ。…とぼくが言って

じゃぁみんなで探しtみようや…でテスターをあてまくりました。

 

「あったで!!」

畦地くんの声がした方に向かってみると

古いほこりをかぶった建具に含水計をあててます。

「これはなぁ、うちのじいちゃんがあつらえた建具や。

もう30年くらいは、ほっぽってあったかなぁ…」

 

30年間放置で、はたして製作は何10年前なのか?

そしてこの杉の赤味部の材は、それからまた何年前に伐採されて乾燥期間として寝かされてたのかは

もはや知る由もないのですが

 ぼくらが芳香として感じる精油分を毎日まいにち微弱に放出し続けてきて

その量が、減ってきた数十年前の杉材を見つけて

ようやく1桁台の数値がでて、ゲーム終了になったという事です。

 

ですから「偽装」はもちろん良くないことなんだけど

だいたい機械があてにならんのよ。話にならんのよ。…という事があるんですよ~…というお話でした。

 

よく工務店の売り文句で

「弊社は必ず含水率20%を切った材量しか使用しません!」

…とかの売り文句がありますが、

 

ぼくの経験では、赤味が張った、素晴らしい杉の柱の自然乾燥材だと25%を切るのはキビシイでしょうから

それって、もともとの「粘り」に欠ける精油分が少ない柱なんじゃ?…とか

高温乾燥させて精油分を流出させちゃったパサパサの柱なんじゃないの?…とか

 

まぁ全てがそうだとは言わないけど

そういう角度からの検証も必要でしょ。

 

数字は共通の認識ができるし

機械は個体差が無くて、安定した実力を発揮するけど

それらをあくまでも目安として位置づけないと

 

目的と手段がごっちゃになって

肝心の品質が確保できない事って多いんじゃありませんか。

 

 

 

 

 

 


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