木に想う

家も建てちゃうドア・家具も創っちゃう材木屋 加藤木材の社長の想う木の話

木は腐るのがいいんだな

2009-09-30 08:35:21 | 木(杉)の話
 昨日はお客様のとこで打ち合わせしてたら、これを見てくださってて「とこちゃんさんが・・・」なんておっしゃっていました。とこちゃんの忘れ去られそうなモノを大切に思う気持ちに共鳴してくださっているんでしょうね。

 昨日のとこちゃんのコメントをうけて、今日はここで僕がお話すると、木は腐るのが素晴らしいと思うんです。「簡単には腐らずに屋外にても劣化しずらい素材でありながら、最終的には土に還る。」からいいんです。

 もし自分が死後も分解されずに、まるで産業廃棄物のように、邪魔者あつかいされるモノであれば、人生観、世界観さえ違ったものになるでしょうしね。「すまないね。邪魔なゴミになって・・」とこの世を去っていくのはツライものです。

 僕はゼロになるから素晴らしいと思うんです。ゼロにならない物質はたとえそれが0.5でも0.7でも残る分、有害なダイオキシンやら何やら残してしまいます。私もやがて死んでゼロになります。けれども私の意志を大切に思ってくださって、その意思に沿う行動をとってくれる若い者がいれば、継続していきます。

 木はやがて分解されてゼロになるばかりか、その分解された己が新たな植物の生命を後押しする力(養分)になります。私が死んでも、その意思さえつながれば、肉体はなくなってもそれは大したことでははなく(まぁたいしたことだけどね)、終わることではなく、より広がっていくことになるんです。

 私は特定の宗教を信心していませんし、あえて強く影響を受けたのは「アイヌ文化」くらいですが、20年以上木に触れて、とげが刺さって、それを抜いて、木を燃やして、木の現場で仕事をしてきて、その過程で木に教わったことです。木はしゃべらないけど大切な事を教えてくれます。「適材適所の会」では「木育」なんていってますけどね。身の回りに木があれば、木は語りかけてくれます。

 誰でも可能なことです。「あいさつをしっかりすること。」「他者の気持ちをおもんばかること。」「優しくとも甘やかさずの事。」それら自分が大切だと思う事を口酸っぱく言い続ける事が、自分の死後も、その気持ちは誰かにつながって、肉体はゼロになっても気持ちは続くどころかより大きく広がって。きっともっともっと良い世の中になります。なりますように。
 

オガファーザー

2009-09-29 09:00:42 | 自然素材のお話
 弊社の壁にオガファーザーなる壁材を施工中です。古紙とウッドチップでできた壁紙です。紙も木からできてますから、ビニルより熱伝導率が低くて、「冬暖かくて夏暑くない」です。その上に白のエマルジョン自然塗料を塗ってるとこですが、塗らない方が多少でも熱伝導率は低くていいでしょうね。ちょっとだけど。

 身の回りのモノを触ってみてください。たとえば毎日触れる携帯電話。

 ほら冷たいでしょ。ビニルや金属やプラスティック・・・どれも冷たいでしょ。

 これらがお部屋を冷やしています。「温まりづらいけど冷えにくい、一度温まったらなかなか冷めない素材」がお部屋にあることによって、エアコンに頼らず、そしてやりようによってはエアコン不要な空間ができるんです。夏だって温まりずらいから部屋を暑くしない。

 工法も大切だけどまずは素材。素材の選定が結果を決定づけるといっても過言じゃないんです。

superfly の「box emotions」を聞いてたら

2009-09-28 13:48:39 | 想う話
 なんだか早々に聞き飽きてしまいました。ヴォーカルはとってもイイんだけど、曲とアレンジがヴォーカルほどにパンチが利いてない。と思うんです。

 聞き飽きないアルバムは、やはり曲、アレンジ(演奏)、ヴォーカルの三拍子がそろっています。「最初はヴォーカルだけをトレースして聞いていたのが、演奏やアレンジに引き込まれていって・・というように、するめイカのように噛めば噛むほど味がでてきます。」superflyは残念ながらカラオケで歌っているかの印象で、そういった面ではドリカムの吉田美和に似ています。あの人たちも圧倒的にボーカルの力(ちから)を前面に出してて、それをひきたたせる為に音はわざとチープにしてる感さえありますものね。

 建築に例えると「曲は素材」で「アレンジは工法(構造)」で「ヴォーカルはデザイン」でしょうか?

 「素材、工法、デザイン」の三拍子そろった建築は長いこと飽きがこないだけでなく、長いことの使用に耐える建築でしょう。しかし特にこの「素材」に関しては、現在の我が国の建築では驚くくらい軽視されているんです。悲しいことです。

 最後にちょっとフォローですが、「box emotions」は決して凡作だとか買う価値が無いというわけではありません。良盤の部類でしょうし、まだまだのびしろがsuperflyにはあって、これからも注目でしょう。

適材適所の会

2009-09-27 11:46:04 | 適材適所の会
 昨夜は深夜1時近くまで「適材適所の会」のミーティング=MTGでした。今日は提出期限のデータがあるので出社してこれを記しています。

 適材適所の会=テキテキのMTGは他のMTGとは異質です。徹底的に互いにフィードバックしあいます。もちろん互いをリスペクトしあいながら、ですが不要な委縮、見て見ぬふりがほぼない感じで進みます。

 よく「その会は何のためにあるの?」と聞かれて
「会が存続し続けているだけで、意義はあるんだよ。」という親睦・懇親団体とは対極と言ったら大袈裟だけどそんな感じです。


 例えば現状持ちえていない事柄があるとします。その無い物ねだりをしてても、嘆き慰めあいをしててもしゃあないですよね。だからテキテキでは「なぜ私達は持ちえていないのか?」を徹底的にフィードバックしあうんです。そして「得るために必要なことを明確にします。」そしてその達成のために「各自が必要な行動」を導き出して現実とのギャップを埋めて、その埋めるまでの期間を更に明確にするんです。


 あとこれは僕たちの弱点でもあるんだけど、まずお金や個々の儲けの話でもめることはないんです。笑われるかもしれないけれど、真剣に森林の再生をやろう!と思ってて、「そうなれば私達にもなんかイイことあんべさ。」的な、浦島太郎ほど純粋に見返りを求めないカメ救出行為ではないけど、それでも少しヨコシマだけど、浦島太郎の集まりなんです。

 だからMTGも徹底的にやるんです。仕事を終えた疲れた身体でそこからまた無駄なことをしたくないんですね。1ミリでも前進しなきゃ嫌なんです。だから妥協がない。互いのスキルアップも含めて、「君のそういう考えは甘いと思う。」「君のそういうところはとてももったいないよ。」なんてことも言い合っちゃう場面もあるんです。ケンカじゃなくて、兄弟に近いノリかな。無償で目の前の同士がより向上するための苦言を呈しあう感じ。

 もちろんこんなのは少数だからできるMTGかもしんないけど、僕は理想の実現の為の1歩1歩を互いに進み合ってる感じがして、若返る(笑)。

 批判や指摘をするだけで前へ進まない人とか、うまくいったやつについてきゃいいさ的な人はいないんだな。

 写真は上から林産地において「杉の活用を語る」畦地(あぜち)君、国立筑波大付属中学校の授業での小川君、最後はスウェーデン大使館での講演での僕のサポートにまわってくれた左側に座ってるのが鈴木君です。

桧の価格

2009-09-26 09:11:58 | 工場の話
 あと10日ほどで結果がでるんですが、私、加藤政実も今が正念場です。いい詳細報告を10日後あたりに報告できるといいんですが・・・

 桧の造作材の加工をしていました。最近は机の上での仕事が増えて、たまにこうやって木に触れて仕事をすると、リフレッシュできます。この写真は普通のヒノキの造作材。木造の階段の笠木に使います。手すりですね。何丁か加工したんですが、1丁だけこんなに凄いヒノキがでてきました。



 写真でその雰囲気。気品が伝わるでしょうか。「総赤身(そうあかみ)」という全てが木の樹芯部寄りの赤身と呼ばれる部位からなる材です。精油分が多いので、艶、芳香、色気といいますか、気品が違います。

 今回は材取りの製材は僕がやって加工は他者がやって、検品を兼ねた面取り加工を僕がまたやったので「やっぱあの1丁は凄く仕上がったなぁ!」と僕も覚えがあってちょっと感激。

 以前にもお話しましたが、今回もたまたまなんです。たまたま1丁だけ他の5丁と次元の違う輝きをみせているんですが、「この1丁みたいな木で6丁全部そろえてくれ!」となると価格はおそらく1.5倍~2倍くらいすると思います。それくらい赤身というところは節跡が多くて無節のところが少ないんです。この1丁は貴重品なんです。

 だけど、たまたまだから今回もこの1丁も他の5丁と同価格なんです。木の価格が不透明という風評を聞きますが、僕は違うと言いたい。「木をご存じない人が価格を決めているから、変な価格が横行しているのです!」今回の僕の説明ができない人が価格を決めているから、エンドユーザーさんがぼったくられるような事がおきちゃう。

 木は「木を知ってる人から買った方がいい」僕じゃなくてもいいから、他の人でも木を知りし人から購入して、大工さんに取り付けてもらうなり、した方が絶対にいい。「適材適所の会」としてコンサルテーションをさせて頂いても、設計・施工者側のボッタクリによってひどい見積もりをもらっている人がいらっしゃる。国産材をある程度の価格で買っていただいて、持続可能な森林づくりにつなげていくのは大変ありがたいのですが、そんなのは山にお金が返りませんから、ただ設計・施工者側が不当に儲かるだけです。

 だいたい木材の在庫もしないで、右から左に流してるだけで、儲けようという輩が多すぎるんだよなぁ。木材を在庫していない人からは買わない。これは通用する鉄則。木はたくさん見て触れることのみが精通への道です。皆さんほんとにお気を付けくださいね。

25%削減

2009-09-24 08:57:48 | 森の話
25%削減なのだ。日本は欧米と非核しても省エネはかなり進んでいる国だから、この数値はかなり濃い。その達成には様々な技術革新が必要だが、私の耳に入っているのは2つ。

 ひとつはエネルギー面で、もうひとつは森林。

 ふたつとも現政権の耳には総選挙前から入っているそうだ。私はそれらのプロジェクトの中核にいるわけではありませんが、特に森林の方は、注意深く見守りたい。木は栽培可能な資源ですが、今は資源としての認知度が低い気がします。しかしこのプロジェクトはそういった面において画期的です。

 詳しくはお話できませんが、政治家さんもまったく根拠なく言ってるわけじゃないんですね。

お墓参り

2009-09-21 10:20:46 | 想う話
 昨日はゆっくりと休みました。お昼寝してたら亡き弟がでてきて、それも結構長い間久々に話せて嬉しかった。嬉しかったから、またすぐ寝たらでてくるかも。って寝てたら夕方まで寝てました。再び現れてはくれなかったけど、あんなに長いあいだ夢枕にたってくれたのはおそらく初めてです。

 だから今日は朝からお墓参りに行って、ちょっと会社によってこれを記しています。もうやる気満々でお墓をきれいにしに行ったんだけど、線香の煙もたっていて、ピカピカのお墓。きっと両親が来て僕らと入れ違いだったんでしょうね。明日は母を愛工房にお連れして親孝行をちょっとしようかと・・。ここのとこちょっと体調がすぐれないって言ってたから元気になってくれるといいな。

 明日は仲間のお医者さんや音楽アーティストさんにも現地の愛工房で会えそうだし、様々な分野の方々と共に「杉の復権と森林の再生」の1点でこれからもコラボしていきます。

土曜が赤字?!

2009-09-19 13:20:25 | 想う話
 携帯って高くなりましたね。買い換えた携帯のカレンダーが土曜日が青じゃなくて休日を示す赤字でビックリしました。僕は土曜は短縮授業でしたから、週休2日じゃなくてもまったく問題ないんですが、もはや世の中は土曜は完全に休日なんですね。

 ただ職人さんという職種は1日働いていくら。だとかこの決められた仕事を全部やっていくら。という報酬になるので、働く日数が少なくなると、それだけ収入が減ってしまうんです。この9月の大型連休もそれだけ収入が少なくなるということになります。土曜日も日曜日のように騒音が発生する建築工事は休むべきだという方も増えていて、実際土曜日に仕事ができない現場も増えてきました。

 職人さんとしては、きびしい時代ですが、建築現場のお近くにお住まいの方々も、こういう状況の中、職人さんたちは仕事をしているという事を知って頂ければありがたいです。工事中の騒音は確かに嫌なもんですが、土曜日に仕事をした分、工期はずいぶんと早く短縮されて、結果騒音からは早く解放されます。

 もちろん、施工業者側の近隣の方々への配慮は言うまでもありません。自分が近隣の方々になった気持ちでなければなりません。互いが相手の立場になった考えを少しするだけで、ずいぶんと良い方向に進むはずです。

マンションの中を探検しよう 3

2009-09-18 08:37:07 | 現場の話
 壁に耐火ボードを張ったらこういう状態になります。床がちょっと白いのはボードの粉です。マンションは分業化が進んで、この現場は鋼製スタッド屋さん→大工さん→床あげ屋さん→ボード屋さん→床仕上げ屋さん→大工さんが幅木施工→クロス屋さんという感じにそのお部屋の主役の職人さんが変わります。大工さんはクロス以外は本来何でもできるから、ひとりでいいんですが、それぞれのエキスパートたる方々の方が作業が早くて、こういうリレーになっちゃっています。とはいえ大工さんが床あげまではやる場合も多いんですが、驚かれる方も多いと思いますけど、床の仕上げのフローリングと耐火ボードは、新築マンションではほとんど大工さんは張りませんね。

 木造の大工さんは昔のようにもう全部やります。どちらがいいというのは難しいけど、責任の所在はその方がはっきりしていますよね。

 このようにマンションというのは基本的にコンクリートの箱として強度が確保できていますので、その内部空間を部屋4つにしようが、お子さんたちが巣立って行ったので、大きなワンルームにしようが、趣味の部屋としての機能性をもたせようが自由にできます。木造はその構造体としてどうしてもその壁を撤去しちゃダメな壁とかがありますからね。

 ただしマンションも水周りの位置だけはたいして変えられないですね。こっちの自由度は木造が勝ります。コンクリの箱から共有する給排水管を通って外部に出しますので、そこまでのアプローチに制約があるんですね。

 このマンションは下の部屋は早く仕上げてモデルルームにするそうなので、また探検しましょう。後報致します。

 

マンションの中を探検しよう 2

2009-09-17 09:42:20 | 現場の話
 コンクリートの箱だったとこに「ケイテン」だとか「スタッド」と呼ぶ鋼製の間仕切り材を建てます。この現場は高級賃貸マンションなので、床も上がっていますね。コストダウン仕様だとコンクリートの上に直接床材を貼る工法が主流ですから、床とコンクリートとの間にクリアランスがあるのかないのか?はマンション選びの際のポイントになりますね。そりゃぁもちろん床があがってる方が全然いい。リフォームの際の自由度が違いますから。

 壁の間仕切り材もかつては木だったんですが、今は鋼製がスタンダードです。価格が安い点と材が均一な為、木のように「良し悪し」を見ながら、「重要な曲がってほしくない場所には良い木を使って、曲がりそうだけど、そういう木は得てして強いので、短く切って使う。」という目利きが不要なんですね。なんだかさみしい話です。これらの鋼製スタッドの施工は大工さん以外の仕事でしたが、最近はそれじゃ仕事が少なくなってきたので、大工さんも施工をするようになってきました。弊社はよく言われるんですが、鋼製スタッドは施工しません。木質に限らせて頂いています。

 最初に鋼製スタッドを見たのは映画「ダイハード」だった気がします。ブルースウイルスが工事中のビルで暴れまわってるシーンで、「アメリカは壁が鉄なのかよ。」って思った気がします。だけど今じゃ日本も鉄になっちゃいました。