木に想う

家も建てちゃうドア・家具も創っちゃう材木屋 加藤木材の社長の想う木の話

助けるつもりが助けられて教わる

2014-04-30 09:35:56 | 想う話

そういう訳で、講演終了後はしこたま生ビール飲んで、起床。

この講演は無報酬なので生ビールが報酬だったのですね。ははは。

マチが消えてしまって、裏山の崖を這い上がって命をつないできた小野寺さんから…

杉の素晴らしさを広めて復興につなげていく丸平さんからお金をとれるわけもない。

生ビールはうけとったけど(笑顔)。

 

車で南三陸町を後にして、気仙沼へ移動。

「(一般社団法人)三陸野菜」さんが東北産の杉のプランターを仮設住宅に配布して、野菜をつくってもらって、日々の活力にしてもらって、更にその野菜を買い取って販売というプロジェクトをカタール政府よりお金をもらっておこなっています。

https://www.facebook.com/sanrikuvege(FBページ)

その応援に向かいます。

 

(昨夜の写真の右最前列が三陸野菜の代表の畠山さん、なんとまだ29歳!)

代表の畠山アキラくんは昨日の講演にも来てくれていて、丸平木材さんの社員さん達に「野菜買ってねPR」ができてよかった×2。

アキラ君は三陸野菜の事務所を丸平木材の杉で作るのがビジョンにあって

それを聞いて丸平さんも嬉しいし、アキラくんも隣町の基軸ある仲間に会えて嬉しい。

良かったよかった。

 

午前中に気仙沼の「耕作放棄地」に到着。

野球グランドくらいにカチカチになってる耕作放棄地で「無農薬・無肥料・無土壌消毒の土」の収集をします。

スコップで土をおこします。だけど土が固まってるから、それをまたスコップでザクザク砕きます。

それでもって、更にカレーのルーくらいの固まりになった土を踏みつぶします。

それを更にふるいにかけて袋詰めしていきます。

おぉ、さすが協和建築の吉田社長は日陰で作業しています。歳の功ですな。

しまったなぁ…ぼくは意地になって日向で作業します。

後で聞いたら、耕起してある場所があって、てっきりそこは何か植えるのかと思って遠慮してたんだけど

そこの柔らかい土を収集すればいい事がわかって、ぼくらの汗は無用とは言わずとも、過労だという事が判明(驚)。

 

「アキラぁ~はよ言えやぁ~」

 

午後からはmore treesさんの水谷事務局長さんとも合流。

http://more-trees.net/ 水谷さんが登壇されてる丸の内朝大学の生徒さん×2名の西村さんと榊原さんも来てくださいました。

 

「出勤前にお勉強…しかも森! あなた達は偉い!!」と本気で伝えつつ

しっかりと作業していただきました。

 

「適材適所の会」チームも事務局長の小川君と新婚の奥さまユキさんと岡本さんも合流。更には義理がたい丸平の小野寺社長まで参画!

午後からは賑やかに大勢で土収集…ススキの根っこ抜き…とハードなお仕事をしていきました。

ススキの根っこ退治があんなに大変だとは知らなかった。

やはり「やってなんぼ」ですな。

「ススキ、根っこ退治、ハード」で検索してる場合じゃないんだね。やはり。

「やる」「Do!」して人は学ぶのよ。きっと。

 

夜はまたしこたま生ビール飲んで

翌日は大島にワークショップのお手伝い。

昨日集めた土とプランターを配布して、野菜の作り方のワークショップをおこなうのです。

 

前日にみんなで資材を積みこんだトラックもフェリーに乗りこみます。

 

大島に到着後

三陸野菜の事務局長の畠山卓(たかし)君(=代表のアキラ君の弟さん)がワークショップを進めます。

 

ワークショップ終了後は資材を仮設住宅の方々の車に積むお手伝いをして終了。

長い長い2泊3日のお手伝いも、あっという間に終了。

 

大島唯一のスーパーの駐車場で

このプロジェクトの首謀者…中核者…リーダーのシンプルベジとエコ食品健究会の代表の久保さんが

http://simple-vege.jimdo.com/

http://ecoken-consulting.org/

 

水谷さんに何やら、筋肉マンの必殺技をかけています。

水谷さんが口にくわえてるのは、昼食時にぼくらの島に来た理由を聞いて食堂の方々からいただいた、名産の「三陸わかめ」。若者バカ者はまったくうらやましい(笑)。

「集う、汗をかく、真剣に考える、飲む、笑う」

これの永遠のリフレイン。

若さバカさを私も多分にいただいた旅でした。

 

最後のこの写真は、ちょっと見ずらいけど大島の山にあった黒焦げの切り株から萌芽更新してる木の写真。

あの日の気仙沼はとにかく火の海で、この山も山火事になったそうです。

そんな燃えた木を伐ったのでしょうが、なんと!そこから新芽が芽吹いています。

なんと感動的な生命力。

あきらめずに前を向こうと木は語らずとも教えてくれています。

ありがとう。

 

この「ひこばえ」を2本生かし、伸ばしてこの木を二股の木にするには木の力だけでは無理で

人の情熱と汗が必要です。

億というお金をかけて松の模造品を作るのを、ぼくは安易に否定はしないが

この焦げた切り株がやがて二股の大木になる時こそ、それこそが「奇跡の木」だと思うのだがいかがだろう。

 

東北は未だ隣人の助けを必要としています。

その「助け」の種類が変わってくだけで、まだまだ「助け」は必要です。

 

そして「助ける」つもりが「助けられて」「学ばせてもらってる」のは、関東に住む私の方です。

 

東北に行かずに、東北で汗をかかずに、

この地球上には60億の人類がいるのに

ちっちゃなちっちゃな、たった3人~4人くらいの自分の核家族の幸せのみを追求していって

文句ばっか言って、自己の権利を主張していって、やがて死んでいく大人が哀れでならない。

 

「観光でいいから東北に行こう!」

 

 

 

 

 

 

 


丸平木材ここにあり!

2014-04-28 16:45:49 | 想う話

今年も宮城県は南三陸町~気仙沼に行ってきました。

到着したら、朝5時過ぎから(趣味の)船釣り。

穏やかな天候。この海が多くの人命を飲み込んだなんて、やはり想像がつかない。

 

マコガレイを釣りました。

13時半頃に陸にあがって、魚を会社に送って

2時半には丸平木材さんに到着。釣りをはさむ事でスケジュールを自分できつくしている感じ。

まるで釣りバカ浜ちゃんだな。俺って。

 http://maruhei-wood.co.jp/

丸平木材さんの社長の小野寺さんは

私の修業時代の後輩でもあり、歳も2個下と近く、私は彼を買っているし、応援している。

いつか折を見て・・・がかなっての訪問となりました。

南三陸町は、本当にひどい被害で、町ごと無くなってしまいました。

9mの地盤かさ上げ工事が行われてましたが、昨年からほぼ変わってない印象。

丸平木材さんの杉で弊社が製作した、プランターを置かせてもらっています。

丸平さんは東北の杉~宮城の杉~ではなく、更に限定された「南三陸の杉」にこだわっていて

訪れて、その意味がわかりました。

「赤身」の色が濃くも薄くもなく上品な「木あじ」

そうですね、静岡県は天竜の杉に似ていますかね。

「すっぴん美人」って感じかな。

 

いつも弊社で推奨してる「尾鷲香杉」のような濃厚なむせかえるかのような、濃厚な芳香とはまた違うんですな。これが・・・。

 

そこから地域産材活用のモデルハウスに移動して

4時から講演。丸平さんの全社員さん+設計士さんや林業家さんや工務店さんなどなど20人くらいかな。

 

(丸平木材さんの小野寺社長) 人物なんだな彼は。

 

今、全国で行われてる地域材の活用啓発はうまくいってないし、行くわけがない。

そこには杉しかないから、それをお金に変えるべく、補助金とか使って最新型の機械を入れて

「効率を上げて、安く生産すれば売れるはずだ。」

はダメだったでしょ。杉らしさをなくすような乾燥方法や、匂いもしないような安い杉になっちゃう製造方法の杉は魅力ないもん。

 

そうじゃなくて杉は素晴らしいんだ!

現代人は杉不足なのさ!!杉でもっと元気になれるし、幸せになれるはず。

その素晴らしさを生かす為の付加価値をつけて販売していって

その付加価値分こそ、日本中の林産地が得るべきなのさ!!!

 

「南三陸杉」のブランド化はもっと大きく「杉の素晴らしさ」を広める事が唯一の方法さ!!!

 

おぉ~盛り上がりました。

「実は仙台で杉にしたら、満足に歩けない人が元気になっちゃった事例があったんですが、今日の話を聞いて、納得できました。」とはある設計士さんの弁。

 

杉でみんな元気!杉で地方も元気!!、南三陸はもっと元気!!!

 

夜は小野寺さんにしこたま飲ませてもらいました。

お世話になりました。

 

「あの桜の下の看板まで津波は来ました。ぼくもあの崖を駆けあがって、命がつながりました。土のかさ上げ工事であの桜も今年で身納めかもしれません。加藤さん見ていってやってください。」

 

おぉ、がんばれよ丸平木材!小野寺さん!!

俺は応援してっからな。

 


汗をかかずに死ねるか!

2014-04-21 19:36:07 | 工場の話

気仙沼周辺の仮設住宅へ配布する「野菜作りの為のプランター」の第1弾が出荷されました。

弊社は大型トラックが入れるんだけど、それでも狭いので…4トン車で2回積みに来て

広い運送屋さんの構内で大型トラックに積み替えて運びます。

 

21日(月)の午前中には南三陸町に到着します。

 

そんなこんなで、今週末は、ぼくも25日に南三陸町で講演してから

翌日に気仙沼に入って、耕作放棄地の土(=無農薬・無肥料・無土壌消毒の土)収集や

野菜作りプランターのワークショップのお手伝いに行ってきます。

 

「適材適所の会」関係では、ぼくを含めて4名が気仙沼に入って

やはり4名で参加のmore treesさんチームと合流して、いろいろ作業してきます。

 

「上から目線」に聞こえるかもしれませんが

「助ける」事に理由はいらないはずです。

 

助ける種類、必要なニーズが変わっていくだけで

まだまだ隣人は・・・同胞は・・・仲間は・・・「助け」を必要としています。

自分の得意分野(仕事でも可)にて社会貢献。

 

こういう機会をいただけて、ぼくは本当に感謝しています。

「東北で汗をかかずに死ねるか!」の気持ちでしたので

本当に感謝しています。

水谷さん、久保さんありがとう。

 

「助け」のお返しは、ぼくに返ってこなくとも全然OK

ぼくの息子とかまだ見ぬ孫とか…

たまたま同じ町内の人とか…

ぼくの友人の孫とか…  ははは。

 

リターンがなければ動かない人にはわかるまい。

 

楽しくやってきますね~。

 


杉の違い。わが社の杉は黄色い白太

2014-04-12 20:43:12 | 「尾鷲香杉」の違い

弊社へのメールでのお問い合わせ。

そしてお電話でのお問い合わせ。

そしてそして、交通不便な弊社まで来社されてのお問い合わせの大半が「杉の違い」についてのお話なので

ここらで一度記させていただきたい。

 

この「杉の違い」なんですが

逆に申し上げると「杉は同じ」と考える人が、いかに多いかという事の裏返しにもなります。

 

たった数年しか存在しない魚だって…

関アジ、関サバ、松輪サバ、金華サバ…地域によって脂の乗った魚のブランドがあるのに

森に数十年~数百年存在する杉が同じと考える人が多いのは何故なのでしょうか?

 

弊社に在庫されている杉と桧は、超低温乾燥装置の「愛工房」を使っている、三重県の畦地製材所さんから買ったモノです。

 

ところが今はちょうど、東北の杉で仮設住宅の方々にプランターを配布して野菜を作ってもらおう!というプロジェクトのプランター作りの東北の杉があるので比較をしてみましょう。

ちょうど「すのこベッド」の在庫が切れてしまったので、それを作りながら材の比較の写真を撮ってみました。

 

まずはこの写真。いかがでしょうか?上に乗っかってるのは東北の板です。穴が4か所開いています。これはそうだな・・・樹齢だと40年とかそれくらいじゃなかろうか。

その東北の40年の杉板の下の最下部の板が樹齢100年くらいの弊社の杉。その上の大きな節がある…そう鬼太郎のオヤジのような大きな節があるのが樹齢150年くらいの弊社の杉。その上に映ってる板も樹齢150年生のうちの木。いずれも「すのこベッド」用の板です。

この写真で上の木と下の3枚の木の脂分=精油分の違いがわかりますでしょうか?

あぁたいがいの人はわからないでしょうね。

 

それでは2枚目の写真。

これも上部に乗っかってるのが東北のプランター用の板。

その真下の板は樹齢150年の三重県産+愛工房の弊社の杉板。

150年の弊社の板は、ちょうど上半分くらいが赤身で下半分くらいが白太(しらた)になっています。

東北の杉板は全部白太です。

色の違いがわかりますか?

プランター用の白太はほんと白いけど、弊社の在庫の板は黄色っぽいでしょ。

わかるかな?

精油分豊富な杉の板の白太は黄色ぽいのです。

 

 

(杉の丸太の赤いトコを赤身(あかみ)外側の白いトコを白太と言います)

 

 

それでは3枚目。フラッシュを焚いたら工場内の照明光は消えたけど、精油分の少ない上に置いてある杉がテカッテしまいました。それでも下の杉との白さ…黄色さの違いはお分かりいただけるでしょう。

 

外に持ち出して自然光の下で撮ってみました。

これだとわかるでしょ。

同じ白太なのにぜんぜん違うでしょ。

 

下の板は濃厚な甘い芳香がする精油分豊富な板(成長の遅い高樹齢の木を愛工房で乾燥した弊社在庫品の杉)で、上の板(成長の早い低樹齢の木を他の乾燥装置を使用)は香りも薄い板です。

まぁこの比較は相手がちょっと極端だったけど、関アジしかわからない人が多いので、極端な木で比較してみました。

 

最後にこの写真。

 

左側の2枚は、やはりプランター用の樹齢40年くらいの成長の早い東北の板。左が白太で右が赤身(黒っぽいけどね)が入ってる板。

右の2枚は、「尾鷲香杉」の床板をとる丸太の更に外側でとった、三重県産の樹齢100年+愛工房の弊社在庫品です。左が白太で右が赤身(やはり黒っぽいけどね)の板です。

 

もう1度言うね…

一番左から・・・・

「(精油分の少ない)白太の杉」

「(精油分の少ない)赤身の杉」

「(精油分豊富な)白太の杉」

「(精油分豊富な)赤身の杉」

・・・・・ってことはいちばん左と右から2番目は同じ杉の同じ部位で

やはり左から2番目と一番右は同じ杉でしかも同じ部位ということになります。

 

写真でもその色気、木あじ、光沢・・・品格・・・全てがまったく違うのが、私にはわかるのだがいかがだろう。

 

こういう高樹齢+愛工房の板が身近にあって

「よく眠れる」とか様々な感想をいただくのですが

それは何の違いかと推察すれば、精油分の量だと思われるのですが、もっとロマンのある言い方をすれば

 

「木力(きじから)の違い」・・・・・・という感じか。

「同じ杉じゃん。」の考えはもってのほか。杉ほど個体差の激しい生き物は人間以外にはぼくは知らない。

「杉は人のごとし」の個体差の激しさである。

 

最後にもうひとつ。

「木力の見極め方は?」の問いに関しては

「PCやらスマホやらで調べったって、さっぱり見る目は向上しません。とにかく実物を数多く見る事のみが、目利き上達への唯一の方法だ。」と、いつもお答えしています。

 

これもまさに「杉は人のごとし」。

 

人を数多く見てきた人のみが「人を見る目」があるのと

同じようです。

 

おあとがよろしいようで・・・ではまた。